2014年10月17日

【もしベビ】制約とクリエイティビティ

ムスメが生まれたことで出来なくなったことを悲しんで生きるより、ムスメが生まれたことで見えるようになった景色を楽しんで生きていこう、と思わせてくれた台風後の青空。ベランダに寝転んで空を見る機会なんてねんねのムスメがいなければ絶対になかっただろうし、そうやってみる空がこんなに美しいなんてきっとずっと知らなかった。

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経験上、制約がある方がクリエイティビティが発揮されることを知っています。ムスメが生まれたことで発生したたくさんの制約を、クリエイティビティに変換して仕事をしていこうと思います。



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2014年09月24日

【もしベビ】育児と仕事の両立生活とリスク・マネジメント

9月1日から仕事復帰して、ばたばたと過ごしているうちにムスメは5か月になりました。今のところ病気もせずにすくすく成長してくれているのが何よりもの親孝行です。病気は母親からもらった免疫が切れる6か月目くらいから増えるそうなので、警戒しなくてはいけないのはこれからだと思いますが。

復帰して3週間が経ちますが、とりあえず突発事項以外の対応には慣れてきました。復帰直後は出産前の自分からしてみたらありえないようなポカミスをやらかして「ああ、これが育休後に信頼を失うってことなんだな」と実感しましたが、この件は結果的には大事にならず、むしろごく初期に緊張感を持てるきっかけになったのでいい学習機会だったと今は思っています。脳みそが錆びついているんじゃないかというのが一番心配だったのですが、私の場合育休は正味5ヶ月で、頭だけを使う仕事(ゼミ指導)は産後1ヶ月でSkypeを使って再開したし、スポットのミーティングや講師業を2ヶ月で再開してあまりブランクを開けなかった成果なのか、思ったより大丈夫でした。それより、ささやかな配慮とかカンの感度というか、産前はあまり頭を使わなくても勝手に身体が反応してこなしていた系のタスクの腕が鈍ってますね。たとえていうなら、お茶のお点前は忘れていないけれど、畳のヘリを踏んでしまう感じ。「ささやかな配慮が足らない」だけでは大きな問題にならないのですが、それによって信頼を失ったりリカバリーに時間を取られて結果として仕事がやりにくくなる、という感じで間接的には大きなダメージをもたらします。復帰後徐々にこのカンは復活してきましたが、5か月の育休でこれなら、3年間も休んだらもうもとには戻れないだろうなーと思いますね。なので出産後も仕事を続けたい、仕事と育児を両立させたいと思っている方がいたら、1年も待たず、なるべく早いタイミングで復帰することをおすすめしたいです。仕事じゃなくても、プロボノやイベントのお手伝いのような「仕事じゃないけど仕事としての振る舞いを求められる場」でいいと思いますが、身体を鈍らせないようにしておくと復帰が楽かと思います。(※意見には個人差があります)

そういう小さなトラブルはあるものの、大きなトラブルは経験せずに今のところ両立生活を送れています。この穏やかな両立生活を支えている一番大きな要素は周り人の理解や協力ですが、活かせている経営学の知識という観点から言えば、リスク・マネジメントの知識だと感じています。

リスクとは組織(両立生活で言えば夫婦)に損害を与える可能性のある不確実性のことで、事象が顕在化する可能性やタイミング、その影響度合いなども含んだ概念です。そして、リスクは常に潜在的に存在し、完全に排除するのは不可能であるという考え方をします。なので、リスク・マネジメント(リスク管理)とは、リスクを完全に排除することができないが最小化し、かつ顕在化したときの組織に対するマイナスの影響を最小限に抑えるための管理活動と言えます。

リスク・マネジメントのサイクルはこんなかんじ。
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で、私は@リスクの発見(洗い出し)とAリスクの分析・測定に自分の力を注ぎました。本格的に忙しくなる10月ではなく、あえて9月のまだ仕事に余裕がある間に復帰したのも、繁忙期突入前の時期を使って両立生活で起こりうるリスクを洗い出しておきたかったのです。現時点では仕事も余裕がある時期だし、夫もいるので私のフレキシビリティは高く、だからついもっと仕事をしたくなるのだけど、復帰前に聞いた「育児と仕事を両立させるためには、フルパワーで日常を送らない。子どもの病気などどうしても発生する突発事項に割くための余力を常に残した状態で日常を確立することが大事で、そのためにリソースに投資すべき」というアドバイスを念頭に、まずは現仕事量で恒常的に余裕が出る状態、つまりいざというときにリスク対応ができる状態を目指しているわけですね。有能な経営者は一見ヒマそうにしていますが、日常的に余裕を保っているからこそ突発事項の早期発見・早期対処ができるので深刻な経営危機にならないわけで、そういうのが理想形です。

ついでに復帰3週間で感じた、両立生活に大事だと思う条件を言語化しておきます。
1)夫婦どちらかが時間の使い方の裁量権が大きい仕事についていること。育児は18時-21時あたりがラッシュアワーになるので、例えばその時間は育児に充て、仕事の総量はそれ以外の時間帯でカバーすればいいというワークスタイルはとてもとても便利です。
2)仕事も家事も段取りがすべて。子どもがいると使える時間や打ち手に圧倒的な制約を受けてしまいますので、出産前にはトラブルが発生してからでも対応できていたことができなくなります。なので仕事も家事も、計画の部分に頭をたくさん使うようになりました。アウトソースも可能な限り検討します。でもそうしたらけっこうな時間短縮が実現できたので、いままでは無駄が多かったんだなーと実感します。
3)ムスメが元気で夜よく寝てくれること。夜によく寝るので元気、という因果関係もあるみたいですが、うちのムスメは4か月になった頃から9時間まとまって寝るようになったので、すごく楽になりました。おかげで私も睡眠時間が確保できるので、自分の体調管理に役立っています。
4)信頼できる保育者と出会うこと。ムスメに関する心配ごとがないと仕事に集中できますが、今頃ムスメ大丈夫かな〜という心配をしながらだと、生産性は著しく下がりますね。病児保育のフローレンスさんがスタッフの質にすごくこだわっている理由が腑に落ちました。(フローレンスさん、静岡にも進出してほしい)
5)母親だけでなく、たとえ短時間でも夫婦二人で育児ができる時間を確保できること。育児はスポットで大人の手が4本ほしい瞬間が訪れるので、夫婦二人が揃って育児ができる時間帯があるかないかはかなり違います。18-21時のラッシュアワーに揃うことができれば理想的。もし通勤時間が長いことが障壁になっているのなら、多少家賃が高くなっても職場の近くに引っ越せばだいぶ楽になると思います。極端なことを言えば、18時にいったん帰宅して21時以降に職場に戻ることだってできるわけで(私は大学院時代に一時そういう生活をしてました)。

トラブルさえなければ、育児と仕事の両立生活はとても得るものが多いです。たとえば、仕事上ではいかに豊かな発想ができるか、脳みそを柔らかくしておくことができるかが大事なのですが、ある日ムスメが絵本を口で味わっている姿を見て、「本イコール目で楽しむものだという枠にとらわれていた自分」に気づくことができました。こういうインサイトは自分と同じ常識を持つ人に囲まれていると得られないので、私の想定の範囲をぐんぐん超えてくるムスメを観察することは非常に面白く、とてもいい気分転換になっています。

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絵本チョーウメー状態のムスメ


ムスメが3か月のときにこの本で紹介されていた睡眠トレーニングを実施したおかげで、私の睡眠時間は安泰になりました。
フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密 -
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2014年08月31日

【もしベビ】仕事復帰の準備


あっという間にムスメは4ヶ月になり、そして私は9月1日から大学の仕事にフルタイムで復帰します。産後1ヶ月目からSkypeでのゼミと打ち合わせを再開し、産後2ヶ月からスポットの仕事を再開してはいたけれど、これが本格的な復職ということで、いろいろ準備をしています。今振り返ると、Skypeゼミで脳みそ使っていたり、スポット仕事で仕事モードを味わっておいたりしたことは、いい準備体操になりました。変化は段階的に取り入れたほうが適応しやすいので、まずはコソダテライフ100%で適応して、そこから仕事ライフの割合を徐々にあげていくというプロセスがとれたのはよかったなあと感じています。ちなみに復帰してしばらくは、保育園ではなく育休中のオットにムスメをみてもらいます。そして私がコソダテと仕事の両立に適応した頃にムスメを保育園に預けはじめ、ムスメが保育園に適応した頃にオットが仕事に復帰する、という戦略で行く予定です。

さて復帰にあたっての準備とそこで感じたことを。

1)ハハの職住近接化のための引越し
我が家は私が静岡と東京で、夫が東京本社だけど普段はクライアント常駐で、という拠点が定まらない働き方をしています。いちおう二人の家を都内と東海道新幹線と羽田へのアクセスがいい武蔵小杉に借りていたけれど、夫は大阪とドイツでホテル暮らしをしていたし、私は普段は静岡のワンルームに居たので、出産前の1年でその家にいたのは週末だけ。これじゃ家賃が勿体無いね、かつ誰も東京にいないなら東京に家借りる必要ないね、という話になり、出産を機に母親の職住近接化をはかろうということで主要拠点を静岡に移しました。そもそも新幹線だと東京-静岡って50分くらいなのです。で、新居を選ぶ上では、まずムスメを入れたい保育園を選定しました。そして、そこに通わせることを前提として、送迎の動線を踏まえた私の職場へのアクセス(車通勤)と、夫の職場へのアクセス(新幹線)という条件を設定し、その中で家を選びました。家より保育園が制約になると思っていたので、先に保育園を選ぶというのは最初から考えていたことですが、静岡市では車での送迎が出来るので思ったより候補が多く取れました。あと経験上、電車は新幹線より在来線のほうがよく止まるので、新幹線の駅から歩けるというのは大事。また、ムスメがいることで夜や週末のおでかけが制限されるので、だったら家で仕事や打ち合わせが出来るようにしておこうと、リビング広めのおうちを選びました。

で、さっそく8月末のゼミ合宿を我が家で開催。こんなかんじでムスメのお世話をしつつ、学生のプレゼンを聞く。赤ちゃんなので当然泣くし、ミルクもオムツも必要ですが、家だとぜんぜん問題ないです。物理的な状況をクリアして、相手が許容さえしてくれれば、仕事と子育てのミックスはわりと出来るなと思いました。
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2)家事の徹底的な効率化
コソダテと仕事を両立させた日常生活を送るうえでのタスクを整理して、手を抜くところとかけるところを分ける。私が譲れないのは、ムスメに機嫌よく対峙することと、仕事でのパフォーマンスを落とさないこと。となると家事は徹底的に効率化を進めなくてはいけないし、仕事ではパフォーマンスを落とすような仕事の引き受け方をしてはいけない。そしてさらに細分化すると、家事のうち、洗濯は全自動洗濯乾燥機のフル活用+機械がやってくれない「畳む」工程はやらずに済ませる(ハンガー管理&しわにならないものはそのまま)ことにして、メンバー毎の洋服かけと洗い終わった洗濯物入れを導入しました。掃除は、私は掃除が嫌いなくせに部屋が散らかってると心がすさむタイプなので、ものは最小限にして、定期的なルンバとマキタのコードレスクリーナーで都度対応することに。これで、週末に重たい掃除機を出してきてかけるという工程(←大嫌い)を放棄できます。また、出産直後から導入している「お花を飾れるだけの心の余裕を保つ」という管理は続けます。そして料理は、これまで人が夕食の下ごしらえを朝のうちにやっているという話を聞いてもその合理性が理解できなかったのですが(どうせかかる時間は同じなんだから夕方一気にやっちゃえばいいじゃんと思っていた)、出産して腑に落ちました。子どもは寝る時間が早いので帰宅してから寝るまでの一連の作業をする時間が圧倒的に短いのと、夕方は子供の機嫌が悪いからそっちに手がとられて料理をするための身体が空かないんですね。であれば、朝30分早起きして夕方の時間をセーブするというのは合理的です。というわけで復帰前に、朝に下ごしらえしておき夕方20分で料理をする練習をしてみましたが、これならムスメがグズグズ泣いていても何とかなりますね。また、週末に1週間分のメニューを決めて買出しを済ませておく、というフローも導入することにしました。で、このメニューを考えるところがまた面倒くさいので、月曜は魚料理、火曜は豚肉料理、というように大枠を設定し、その中でつくるものを決めることに。適度な制約があるほうが頭はクリエイティブに使えるので、主菜の素材という制約を設定したことで却って普段手を出さないような料理も視野に入ってきました。
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3)情報収集
コソダテの難しさは、未経験分野が多いということだと思っています。そのため想定できないことが多くて、対策が後手後手に回っちゃうわけですね。で、あとからでは対応できない不可逆的なものがとても多い。だから自分がこれから直面する状況だったり課題だったりをあらかじめ知っておくということが問題解決につながると思っているんですが、そのためにもママ友ネットワークは大事。自分の親の世代だと時代が違いすぎて参考にならないので、少し前に同じ経験をしている人からの情報をたくさん持つのが大事だなーと実感しています。私の場合、育児休暇中のママ友と一緒にやっている勉強会が、すごくいい情報収集の機会になっています。そこで数ヶ月後はこういう状態になるのね、イヤイヤ期ってこんな感じなのね、ということが想定できることですごく対策がしやすいし、今やるべきことがわかります。普段は大人に囲まれているムスメも、近い月齢の子どもと会うのは刺激になるみたいです。

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ムスメを抱っこしながらファシリテーション

4)コソダテのアウトソースサービス洗い出し
基本的には夫婦で子どもをみるにせよバックアップ体制は厚くするに越したことはないと、静岡市ファミリーサポートセンター(平常時の一時預かりボランティア)、静岡市子育て支援ヘルパー(専門業者による家事代行)、静岡市緊急サポートセンター(病時保育)に登録。これらの行政サービスは安くて助かるけど、市民のボランティアに立脚しているので需給バランスがとれておらず、いざというときにどこまで頼れるかは正直不安。フローレンスさんとかアズママさんとか静岡進出しないのかなあー。なので、夫が復帰するまでにベビーシッターさんを探します。プロ意識の強いいい方がいればぜひ教えて下さい!

整理してみると、コソダテライフのマネジメントってプロジェクト・マネジメントだなーと思いますね。そしてそう考えたら急に楽しくなったw。定義と計画フェーズを終えたので、また実行してみてのズレなどもまとめていけたらいいなと思います。

プロジェクトマネジメントを学ぶためのお勧め書籍。
世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント -
世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント -

しかし、経験してみて実感するけど、「育休」って休業ではあるけど休暇ではないよねえー。子育てと仕事の両立体制を整えるための準備休業なんですね。


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2014年08月19日

Before & After

Before
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After
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2014年08月10日

【もしベビ】男性の育児参加と形式知化のススメ

先日、自治体が開催しているムスメの三ヶ月健診に行ってきました。私は食事をしに入った店でもオペレーションの改善余地を考えるのが好きですが、この健診のオペレーションは久しぶりに経験するレベルのカオスでした。医師や保健師といったプロフェッショナルが担当する領域(診察)はともかく、それ以外のところはボランティアの年配女性たちが仕切っていたのですが、ここのところがもう本当にカオス。ベビは思い通りにならないので生産性の追求に限界があるということは理解できますが、暑い夏の日に無駄に時間をかけられるのはベビがかわいそうなので、もうすこし洗練されたオペレーションを確立してくれるとありがたいなーというのが本音でした。ただ、このボランティア女性たちはとても人当たりがよく、子育て中のお母さんの力になりたいというオーラを全身から出しているので、もし私が育児に悩みを抱える母親だったらとても救われるだろうなとも思いました。(あ、もちろん私も悩みがないわけではないのですが、解決するべき課題というレベルにブレークダウンしてしまっているので話を聞いてもらうだけで解決するという類の悩みは抱えていないのです)

私はリーダーシップ研修をさせていただくことも多いのですが、リーダーシップとは組織の目的を達成するためにメンバーに与える影響力のことであると説明しています。そして下図のような2つの軸、すなわち@構造づくり軸(目的達成のためにすべきことを明確にする力)と、A人間関係軸(目的達成のために組織のメンバーの関係性に配慮する力)の複合的な力としてリーダーシップを捉えています。リーダーシップ理論はたくさんありますが、これに類似した2軸で説明されているものが多く、このあたりにご興味がある方は、ロビンスの「【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ」(ダイヤモンド社)をお読みください。
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で、男性vs女性というカテゴリーで話をするのは乱暴だということは十分認識しつつも、日々マネジメント人材の育成に携わっていて感じることとして、女性はこのリーダーシップの2軸のうち人間関係軸が優位で、構造づくり軸が弱い人が多いですね。ネットワークは形成しやすいし、男性だけの会議にありがちな非建設的なプライド合戦にならない等の強みはあるのですが、一方で現場の仲は良いけれどいつまでたっても仕事が進まなかったり、仕事が俗人的になりすぎてオペレーションの改善が進まなかったり、という特徴が女性の多い現場にはあるように感じます(あくまで印象論です)。そしてコソダテ現場では、そのデメリットに直面することが多いなーと思ったりします。コソダテの苦労に対する配慮や共感も大事だけど、構造づくりを疎かにするといつまでたってもオペレーションの生産性が低く、関係者を疲弊させてしまうYO!

野中郁次郎先生は経験や勘に基づく知識のことを「暗黙知」、それに対して文章や図表で表現できる知識のことを「形式知」と表現し、個人のもつ暗黙知を形式知に変換することで作業の効率化や新たな発見につながるというナレッジ・マネジメントを提唱しています。で、コソダテタスクは比較的形式知化が進んでおらず、暗黙知のカタマリになっていると感じます。妊娠・出産にまつわる一連のタスクを当事者として経験する女性と、妊娠出産を当事者としては経験できない男性とでは、情報や経験値の非対称が大きく、どうしても女性側にコソダテの暗黙知が集積してしまいます。なので、もし男性にもコソダテに参加してほしい、チームでのコソダテをやりたいと思ったら、女性側は暗黙知をひたすら形式知化する必要があるし、この作業をさぼると暗黙知の領域が広がり、男性が手を出しにくくなるということを分かっておいたほうがいいのかな、と思います。暗黙知をひたすら形式知化する作業は若干面倒ではありますが、男性は構造づくり軸が優位な人が多いので、形式知化されたタスクを改善してくれるので結果的に楽になったりします。

うちの夫婦は、一緒に育児をすることが前提だったので、出産前からコソダテタスクの形式知化を意識していました。産後生活をイメージしてタスクを整理し、主なボトルネックである私の身体はベビのお世話に集中させるとして、それ以外のタスク(主に家事全般)は夫が担当するということを決めました。そして夫は、共働きの3種の神器、ルンバ・全自動選択乾燥機・食洗機を活用し、近くに住む義母に定期的にお惣菜を差し入れてもらうように依頼し、Amazonファミリーをはじめとするネットショッピングを登録し、タスクリストをEvernoteで作って共有し・・など家事の機械化とアウトソースをがんがん進めました。結果的には利用しなかったのですが、いざというときに頼れるよう世の中にある子育てサービス(産後ドゥーラ、ファミリーサポート、育児支援ヘルパー事業、シルバー人材事業等々)も調べておきました。その結果、出産するころには私がまったく家事をしなくても回るようなしくみが出来上がっており、実際に私は産後1ヶ月間、家事を一切しませんでした。

出産後も、私が新たに得たコソダテに関する暗黙知を形式知化して伝えるところまでをがんばると、それを受けて夫がタスクとして整理し、我が家のオペレーションをどんどん改善してくれました。コソダテといいつつも実際には家事のウェイトがほとんどなので、育児タスク以上に家事タスクの効率化がコソダテを楽にするというのは、自分だけでは気付かなかったかもしれません。そして、夫がもたらしてくれた一番大きな気づきは、100%母乳の育児にこだわることの非合理性やリスクでした。

母乳については、いろんな根拠のない神話があります。病院や親には100%母乳で育てることを薦められることが多いですし、なんとなく母乳量が多いのがいい母親の証ではないかという妙な思考回路にもはまりがちです。ただ母乳は出産したら誰でもビュービュー出るというものではないので、多くの女性は母乳の生産量が少ないことに悩み、ストレスを募らせたりします。私も出産直後は母乳量が少なくてミルクを足していたのですが、早く100%母乳で育てられるように頑張らなきゃという(今考えると謎な)モードに陥り、母乳が少ないことにイライラを募らせていたのですが、「母乳がミルクに勝る科学的根拠は見当たらないし、ムスメを観察してるとミルクより母乳がいいというこだわりはなさそうだから、苦なく出るならともかく、ストレスためてまでは母乳を頑張る必要はないんじゃないの」と夫に指摘されて我に返りました。そして、母乳とミルクの混合で育てるという方針を決めました。

授乳って幸せな時間だし、ベビがママ(という母乳サプライヤー)に執着してくれるのも承認欲求が満たされて嬉しいですね。だから100%母乳をあきらめるということは母親としての特権を手放すような気がして感情的に抵抗があったんですが、それでも混合育児を決めたのは、私が母乳にこだわればこだわるほどこの幸せを夫とシェアすることが出来なくなるんだと気付いたこと、ムスメが母乳しか受け付けないようになってしまうことのリスクという、2つの理由からでした。100%母乳に伴うリスクは意外とみんな教えてくれませんが、母乳だけで育てていると、3ヶ月くらいするとベビが哺乳瓶を受け付けなくなることがあるのです。ミルクの味が嫌、哺乳瓶の感触が嫌などいろんな理由はあるようですが、こうなると夫にすらベビを預けることが出来なくなるので母子べったりライフを送らざるを得なくなるし、また震災などの強いストレスで母乳が急にでなくなることがあるそうで、そうなると哺乳瓶を使える使えないは死活問題です。だからなるべく母乳でがんばるにしても、ある程度はミルクや哺乳瓶に慣らしておいたほうがいいんですが、母乳がんばらなきゃモードになっているときにはなかなかそこまで頭が回らないですね。私の場合は100%母乳に伴うリスクを予め分かっていたわけではないけれど、たまたま夫と二人で育児をしていたことで100%母乳へのこだわりを早期に捨てていたので、結果的に助かりました。

自分の判断力や実行力が落ちているときに、客観的に分析して構造づくりを進めてくれる存在は非常にありがたいし、男性が育児に参加する意義というのはこういうところにあるんじゃないかなと思います。そして、その意義を最大限に発揮するためにも、女性はコソダテタスクの形式知化を怠ってはいけないと思います。

組織論の基本的思考に、生存し続ける組織とは、優秀な組織ではなく環境変化に適応できる組織であるという考え方がありますが、コソダテ組織も全く一緒だなあと思います。優秀な夫婦でなくても、変化に適応していれば家庭は回っていくのだろうし、そのためにもチームとして改善を進め、適応力を高めていきたいなと思います。

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パパとムスメのおそろいシマシマ。

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混合育児の強い味方、ピジョンの「母乳実感」。混合で行く場合はこちらを使っておくとニップル・コンフュージョンに陥りにくいようです。



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