2015年09月02日

【もしベビ】育休制度があるから両立できる、は本当か?

今年の夏は、女性管理職育成に関する原稿を書いております。それに関していろいろ調べている中で、なかなか面白いデータを見つけたので紹介してみます。

女性のキャリアと育児の両立は、1991年の育児休業法の制定および2001年の改正によって、制度面での充実は図られてきています。現在育休制度は8割以上の企業で利用されており、子どもを産んでも復職できるというのは当たり前になりつつあります。いわゆる均等法世代は「産休(8週間)のみで育休なし」で復職している人が多いことを目の当たりにして、改めて制度の整備が進んだことの恩恵を実感しました。

こちらは育児休業取得率の推移。在職中に出産した女性がいた事業所に占める女性の育児休業者は順調に増えており、制度の利用自体は進んでいるといえます。

育児休業取得率の推移.jpg
(出所:厚生労働省「平成26年度雇用均等基本調査」)

ただし、この数字には出産前に離職した女性が母数に含まれていないため、結婚・出産という女性のライフイベントを経た就業状態の変化としては、国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」 のデータを参照しました。調査期間は1985年から2009年で、この間には1986年の「男女雇用機会均等法」、1991年に成立・1995年に改正された育児休業法があり、制度が就業にどのように影響を与えてきたかを分析するにはふさわしいデータと言えます。ここから、結婚前、妊娠前に就業していた女性に限定して就業を継続した者の割合のデータを調べます。

まず、結婚前後にどう就業状態が変化するかですが、結婚退職が37.3%から25.6%に減少していることから、いわゆる「寿退社」は減少傾向にあることがわかります。すなわち、結婚というライフイベントが就業状態に与える影響は小さくなってきていると言えます。

結婚に関する就業状態の変化
結婚時における女性の就業状態.jpg
(出所:国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」)

しかし、これが出産になると話が別です。育休制度が整ったことで育休を利用して就業継続する人の割合が5.7%から17.1%と急激に増えているのは事実なのですが、全体の割合を見るとこれは育休なしで就業継続をする人から転換しているだけであることが分かります。

第1子出産に関する就業状態の変化
第1子出生時における女性の就業状態.jpg
(出所:国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」)

つまり、女性全体をみたときに、出産を経ても継続就業をする人の割合としては24.0%から26.8%とほとんど増えていないどころか、出産を機に退職する女性の割合は37.4%から43.9%に増加しています。妊娠前から無職である女性が35.5%から24.1%に減少していることをあわせて考えると、育休制度が出来たことでこれまでは働くこと自体を諦めていた層が職につくようにはなったが、かといって実際に出産を経ても継続就業するわけではない、という仮説が浮かび上がってきます。つまり、育休制度という出産後をカバーしている施策の充実は「就業」には影響するものの、出産後の就業継続には直結しているわけではない(別の要因がある)と考えられるわけです。

結婚・出産というライフイベントがキャリアに大きく影響する女性は、常に先のことを考えて行動しています。就職するときは、「この会社で妊娠しても大丈夫かな?」を考えて育休制度の有無をチェックしています。そして実際に妊娠・出産が視野に入ってくると、「この会社で出産後に復職しても働けるかな?」を考えるわけですが、ここでは育休制度よりもっと先の、育児をしながら働くための環境整備をチェックしているはずで、ここで「NO」と思えば転職や離職、あるいはフリーライダーとしての就業継続、ということになるのだと思います。

経験を積んだ人材を流出させたくなければ、ここで「YES」と思えるような施策が必要であり、それは決して「育休制度」ではない、というのが私の結論です。




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2015年08月28日

KOKUYO様のWorMo’的ワークスタイルに取り上げられました

KOKUYO様の「WorMo’的ワークスタイル」に育休プチMBA勉強会を取り上げていただきました。勉強会の雰囲気そのままのステキな写真をたくさん載せていただきましたので、ぜひご覧ください。

wormo.jpg
2015.7.28


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2015年08月18日

【もしベビ】コドモにとってのリアルとバーチャル

なつやすみは保育園もお休みになるので、ムスメと一緒にたっぷり過ごしました。今回のもしベビはそこで気づいたことを。

まず、チームラボアイランドの「学ぶ!未来の遊園地」というイベントに行ってみました。「最新のデジタルテクノロジーを使い、子どもたちが同じ空間で、自由に体を動かし、互いに影響を与えながら、共同的で創造的でアートな体験を楽しむ」というもので、デジタルテクノロジーは1歳3ヶ月のムスメにはまだ早いだろうと思いつつも、どういう反応を見せるのかなーという興味で連れて行ってみました。

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カラフルで楽しい

結論として、まだそれほど楽しまなかったです。最初は非日常空間とたくさんのコドモにテンション上がってましたが、コンテンツ自体はふーんて対応。ケンケンパや絵を描くことができないからまあ仕方ないのですが、興味を持たない本質的な理由は何かな?と観察してみたところ、原因はインタラクティブ・コミュニケーションじゃないからではないかと感じました。

趣旨が趣旨なので、デジタルテクノロジーとはいえかなりインタラクティブなつくりになってはいるんですが(例:ケンケンパで自分の踏んだところから映像が変わる)、反応が返るまでの微妙なタイムラグや手触り感のなさが、ムスメにしてみればそれが「自分の行為に対する反応」なんだということが分からないようで、それが興味を持たない理由である印象でした。もう少し大きくなってバーチャルという概念を理解すればバーチャルとリアルの融合に興味を持つし楽しむのだろうけど、1歳児はまだまだリアルの世界すら理解しきれていないもんね。バーチャルを楽しむにはリアルを理解していることが前提なんだなというのが実感できました。

そこで、次はリアルな世界を体験させようとこども向け動物園に行ってみました。園内でエサを買って羊さんにあげさせてみたところ、すんごく楽しそう!夢中になりすぎて、終始おくちパカー状態でした。自分があげたニンジンに羊さんが反応するというのが、ムスメ的にとても興奮するみたいです

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羊さんにつられて自分も口が開いてしまうムスメ


この2つの事例を比較して感じたこと。

自分の行為に反応が返ってくるという経験は、Bandura(1977)が、提唱した自己効力感(self-efficacy, ある結果を生み出すために必要な行動をうまく行うことが出来るという確信)につながります。自分の働きかけに周りが反応するということを学習すれば自然に働きかけをするようになるし、反応しないと学習すれば働きかけをしなくなります。ちなみに後者は学習性無力感といってウツ病の症状でもあります。「こどもに自己効力感を持たせる」というのは私のコソダテにおける目的関数の1つなのですが、だから小さいときはテレビよりも反応が返ってくるコミュニケーション、具体的には人や動物とのふれあいが意味あるんだなーと腑に落ちました。

ムスメの存在は、人の学習プロセスを理解するうえで非常に参考になっています。ありがとねー。

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posted by Kokubo at 07:04| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | もしベビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月30日

育休プチMBA勉強会がNHKで取り上げられました。

育休プチMBA勉強会をNHKで取り上げていただきました。4/9の「たっぷり静岡」、4/14「おはよう静岡」、5/12「おはよう日本」の3回です。最初は静岡県内の放送だったのですが、NHK局内での評判がよかったらしく、全国版に格上げしての放映となったそうです。放送の内容はシェアできないので、文字おこししたものをこちらで紹介させていただきます。

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撮影風景

  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆ 

アナウンサー
「産休育休のために長期間職場を離れる女性の中には、復職後に仕事のスキルの低下や、育児と仕事の両立に悩む人が少なくありません。そうした中、育休中に会社組織の運営についての経営学を学び、復帰後の仕事に活かそうという取り組みが始まっています。」

(ナレーション)次々と集まる赤ちゃんを抱えた女性たち、育休取得者向けの勉強会です。オムツ替えや授乳が自由にでき、子どもと一緒でも参加できます。参加者はおよそ20人。そのほとんどが管理職ではありません。しかし、学ぶのは管理職や経営者向けの経営学です。経営のスペシャリストを養成するビジネススクールと同じ討論形式で学びます。

参加者
「利益率を変えないけど売り上げは落ちますみたいな形でどこかを担保してあげる」「面白いですよね(社内の)政治交渉も」

(ナレーション)育児をしながら勉強会を立ち上げた国保祥子さん。経営学の専門家で管理職の育成などに携わってきました。育児で時間に制限がある女性にとっては、管理職でなくても経営学が助けになると考えています。

国保
「日々の業務や経営の現場のなかで起きている問題解決のための知見の塊という風に経営学は言えると思うんですね。効率的に問題解決するために経営学を勉強しておくべきだろうと思っています。」

(ナレーション)参加者の一人、塩澤香さんです。鉄道会社で5年間働き、新規事業の立ち上げなどに携わってきました。しかし復職後は以前のような残業を伴う仕事はできないと感じています。そんな塩澤さんが勉強会で役に立つと感じたのはプレマネバランスという考え方でした。管理職が自分でやらなければならない仕事と部下に任せる仕事を適切に分類して、部署として最も高い成果をあげようという手法です。塩澤さんはこの方法を応用した働き方ができないか、上司に提案しようと考えています。復職後時間が制約されれば担当できる仕事の量は減ります。そこで、もともとの仕事を一人で行う部分と上司や同僚と共同して行う部分に分類。自分でできる仕事の量は減りますが、会社への貢献度は大きく減らないのではと考えました。

塩澤香さん
「全体を俯瞰的に見て、組織として成果をあげていく生産性の高い仕事をしていく。そういった提案というのは、どんな部署でもできるし、そういったものを活かしていかなければ自分は通用しなくなるんじゃないかと考えています。」

(ナレーション)勉強会の参加者の中には、管理職として成長していくヒントを得た人もいます。田中しほさんです。幹部候補として航空自衛隊に入隊。2年目で管理職になり30人ほどの部下をもつようになりました。しかし、上司の指示をうまく部下に伝えられず反発を受けることもあったといいます。

田中しほさん
「仕事でも上から言われたことをそのまま下にながしていただけだったなと。」

(ナレーション)田中さんが勉強会で最も参考になったのが目標咀嚼(そしゃく)という管理職に求められる能力です。上からの指示を部下ひとりひとりが納得できる具体的な指示へとかみ砕いて伝える技術です。勉強会に参加して足りなかった能力が明確になったことで管理職として成長できるのではないかと感じています。

田中しほさん
「自分は全然できていないんだけど、どうしたらいいんだろうと頭の中ではずっと考えていたんですけど、理論的に勉強したり、ディスカッションでいろいろな人の意見を聞いて、そういう視点もあるのかと学んだりとか、そういうインプットが育休中にできて良かったなと。」

(ナレーション)育児と仕事の両立をめざす女性たちにとって、経営学はひとつのヒントになっていました。こうした勉強会に企業も注目しています。先月中旬、企業の人事担当者向けに行われた報告会です。商社やメーカー、IT企業などおよそ40社が集まりました。女性たちの意識にどんな変化が起きたのか、勉強会の成果に耳を傾けました。

国保
「制約人材が経営参画意識を高めるということに繋がっていることがひとつ、それから、個人プレーから脱却してチームプレーを意識するきっかけになっています。」

大手印刷会社労務担当者 
「育休中の自分たちが会社の一員であるということを意識しつつ、育休復帰するまでの助走期間と捉えて育休期間をおくっている人とそうでない人と差が出てくると思いますので、非常におもしろいなと正直思いました。」

国保
「制約をもっているけど、企業に貢献したいという気持ちはあるので、(復職者と企業の)お互いの気持ちがきちんと歩み寄れるように、この勉強会がそういう存在になれればいいなと思っています。」

(ナレーション)育休中に経営者や管理職の視点を学ぶ女性たち。職場復帰後の活躍に期待がかかります。

女性キャスター 
「育児をしているとやっぱり時間に制限がありますから、制限されたりとか、仕事をこれまで以上に任せられないと思われがちなのですが、今回のような学ぶ場があると、やっぱり以前よりも高いパフォーマンスができたりとか、仕事に対しても前向きに取り組めそうですよね。」

男性キャスター 
「そうですよね。やはり今、国だったり企業でも女性の管理職をどんどん登用していこうという動きがある中で、育休明けの女性ももちろん管理職を目指したいという女性もいらっしゃいますから、こうした勉強会がひとつの後押しになるかもしれません。」

女性キャスター 
「勉強会の参加者の中には経営学を学んだことをきっかけに将来、管理職を目指したいと考える女性が増えているということです。」

男性キャスター 
「ご紹介した勉強会の活動は育休プチMBA勉強会のFacebookでも紹介しています。今は、新年度からの参加者も募集しているとのことです。詳しくはご覧のアドレス(https://www.facebook.com/ikukyu.mba)を参考になさってください。」

  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆ 

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かぶりつきで自分の出ている番組を見るムスメ。ビデオデッキやケーブルに手を出すので、ゼミ生にもらったベビーサークルを使ってムスメに荒らされては困るものをガードしています。



posted by Kokubo at 15:55| 神奈川 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 育休プチMBA勉強会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月24日

AERAに載りました

育児休業中にマネジメントを学ぶ「育休プチMBA勉強会」(詳細こちら)がAERA2015年6月29日号に取り上げられました。「勉強しないと生き残れない」という特集の中で、「育休と育児退職をハンディにしない 子連れ勉強会で管理職の視点を持てば、復職後の自分をイメージできる」というタイトルで取り上げていただいています。

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仕事を好きであるほど出産で現場を離れることはとても不安なのですが、その不安を少しでも軽減できたらいいな、仕事のために子育てを諦める人も、子育てのために仕事を諦める人も減るといいなと思っています。私たちの少し上、いわゆる均等法世代の女性たちは、子どもを持つことや自分で育てることを諦めなければ仕事を続けられなかったと理解していますが、当時の先輩たちの戦いがあったおかげで少なくとも育休制度自体は当たり前に存在する社会になっています。その事実を作った先人にまずは感謝して、その上で私たちの世代でもう少し良くしてから次の世代に渡したいなと思っています。

でも実はこの勉強会、私としてはあんまり「女性向け」だとはとらえていません。育休や時短の社員がいる組織はマネジメントをちゃんとしないとカオスに陥りやすいので、その解決策を提示したいと思っています。つまり仕事と子育ての両立問題は、個人ではなく経営課題であり、だから経営学で解決しましょうというのが私のスタンスです。私は会社組織にも男性にも社会に対しても、育てていただいたという気持ちの方が強く、今でこそ子どもがいる側ですが、出産前はずっと子どもをもつ社員を迷惑だと感じる側におりました(笑)。だから、両方の世界を見ているからこそできることを追求していきたいな、自分の要望を伝えつつも相手の要望も取り入れてWIN-WIN関係を作っていきたいなと思っています。


posted by Kokubo at 06:46| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 育休プチMBA勉強会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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