2018年03月23日
2016年12月31日
育休プチMBA勉強会について2017
育休プチMBAでは、育休から復職して働く人に必要な実践力を以下の3つに定義し、これらの力をビジネス・スクール(経営大学院)等の実務家育成の場で活用されているケースメソッド教育によって習得することを目指しています。詳細については、育休プチMBAを監修するワークシフト研究所のページをご覧ください。
育休プチMBAについて
【メディア掲載歴】
プレジデントオンライン: 授乳しながら学べる「育休MBA」
ハフィントンポスト: ママが育休中に、授乳しながらMBAを学んでみた【女性の働きかた】
NHKニュース: 「おはよう日本」「おはよう静岡」「おはよう東海」
日経DUAL: 赤ちゃん片手に経営を学ぶ「育休プチMBA勉強会」育休ママ達の「経営を学びたい」という声から生まれた会。関係者が全員育休中という場で、参加者が学ぶものとは?(上)
日経DUAL: 育休中ママの人材価値を上げるMBA勉強会の実力 「子育て中だからこそ管理職になる意義がある」。その会で学んだママ達が続々と「管理職」を目指すようになる理由とは?(下)
AERA2015年6月29日号: 「仕事を離れる」を武器に変える方法
WorMo’的ワークスタイル: マネジメント思考で働き方が変わる
経営プロ連載(2015年10月)女性が管理職になりたがらないほんとうの理由 第1回/第2回/第3回/第4回/第5回
週刊エコノミスト寄稿(2015年12月15日号) 「女性活躍」が進まない本当の理由 業務軽減だけでは“ぶら下がり”に
Saison CHIENOWA 「マネジメント思考」は育児にも活かせる。週末プチMBA研究会に参加してみた
(2017/2/3」更新)
2016年05月19日
2016年05月16日
2016年02月15日
2016年02月08日
2016年01月20日
2015年08月28日
KOKUYO様のWorMo’的ワークスタイルに取り上げられました
2015年06月30日
育休プチMBA勉強会がNHKで取り上げられました。
育休プチMBA勉強会をNHKで取り上げていただきました。4/9の「たっぷり静岡」、4/14「おはよう静岡」、5/12「おはよう日本」の3回です。最初は静岡県内の放送だったのですが、NHK局内での評判がよかったらしく、全国版に格上げしての放映となったそうです。放送の内容はシェアできないので、文字おこししたものをこちらで紹介させていただきます。
撮影風景
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
アナウンサー
「産休育休のために長期間職場を離れる女性の中には、復職後に仕事のスキルの低下や、育児と仕事の両立に悩む人が少なくありません。そうした中、育休中に会社組織の運営についての経営学を学び、復帰後の仕事に活かそうという取り組みが始まっています。」
(ナレーション)次々と集まる赤ちゃんを抱えた女性たち、育休取得者向けの勉強会です。オムツ替えや授乳が自由にでき、子どもと一緒でも参加できます。参加者はおよそ20人。そのほとんどが管理職ではありません。しかし、学ぶのは管理職や経営者向けの経営学です。経営のスペシャリストを養成するビジネススクールと同じ討論形式で学びます。
参加者
「利益率を変えないけど売り上げは落ちますみたいな形でどこかを担保してあげる」「面白いですよね(社内の)政治交渉も」
(ナレーション)育児をしながら勉強会を立ち上げた国保祥子さん。経営学の専門家で管理職の育成などに携わってきました。育児で時間に制限がある女性にとっては、管理職でなくても経営学が助けになると考えています。
国保
「日々の業務や経営の現場のなかで起きている問題解決のための知見の塊という風に経営学は言えると思うんですね。効率的に問題解決するために経営学を勉強しておくべきだろうと思っています。」
(ナレーション)参加者の一人、塩澤香さんです。鉄道会社で5年間働き、新規事業の立ち上げなどに携わってきました。しかし復職後は以前のような残業を伴う仕事はできないと感じています。そんな塩澤さんが勉強会で役に立つと感じたのはプレマネバランスという考え方でした。管理職が自分でやらなければならない仕事と部下に任せる仕事を適切に分類して、部署として最も高い成果をあげようという手法です。塩澤さんはこの方法を応用した働き方ができないか、上司に提案しようと考えています。復職後時間が制約されれば担当できる仕事の量は減ります。そこで、もともとの仕事を一人で行う部分と上司や同僚と共同して行う部分に分類。自分でできる仕事の量は減りますが、会社への貢献度は大きく減らないのではと考えました。
塩澤香さん
「全体を俯瞰的に見て、組織として成果をあげていく生産性の高い仕事をしていく。そういった提案というのは、どんな部署でもできるし、そういったものを活かしていかなければ自分は通用しなくなるんじゃないかと考えています。」
(ナレーション)勉強会の参加者の中には、管理職として成長していくヒントを得た人もいます。田中しほさんです。幹部候補として航空自衛隊に入隊。2年目で管理職になり30人ほどの部下をもつようになりました。しかし、上司の指示をうまく部下に伝えられず反発を受けることもあったといいます。
田中しほさん
「仕事でも上から言われたことをそのまま下にながしていただけだったなと。」
(ナレーション)田中さんが勉強会で最も参考になったのが目標咀嚼(そしゃく)という管理職に求められる能力です。上からの指示を部下ひとりひとりが納得できる具体的な指示へとかみ砕いて伝える技術です。勉強会に参加して足りなかった能力が明確になったことで管理職として成長できるのではないかと感じています。
田中しほさん
「自分は全然できていないんだけど、どうしたらいいんだろうと頭の中ではずっと考えていたんですけど、理論的に勉強したり、ディスカッションでいろいろな人の意見を聞いて、そういう視点もあるのかと学んだりとか、そういうインプットが育休中にできて良かったなと。」
(ナレーション)育児と仕事の両立をめざす女性たちにとって、経営学はひとつのヒントになっていました。こうした勉強会に企業も注目しています。先月中旬、企業の人事担当者向けに行われた報告会です。商社やメーカー、IT企業などおよそ40社が集まりました。女性たちの意識にどんな変化が起きたのか、勉強会の成果に耳を傾けました。
国保
「制約人材が経営参画意識を高めるということに繋がっていることがひとつ、それから、個人プレーから脱却してチームプレーを意識するきっかけになっています。」
大手印刷会社労務担当者
「育休中の自分たちが会社の一員であるということを意識しつつ、育休復帰するまでの助走期間と捉えて育休期間をおくっている人とそうでない人と差が出てくると思いますので、非常におもしろいなと正直思いました。」
国保
「制約をもっているけど、企業に貢献したいという気持ちはあるので、(復職者と企業の)お互いの気持ちがきちんと歩み寄れるように、この勉強会がそういう存在になれればいいなと思っています。」
(ナレーション)育休中に経営者や管理職の視点を学ぶ女性たち。職場復帰後の活躍に期待がかかります。
女性キャスター
「育児をしているとやっぱり時間に制限がありますから、制限されたりとか、仕事をこれまで以上に任せられないと思われがちなのですが、今回のような学ぶ場があると、やっぱり以前よりも高いパフォーマンスができたりとか、仕事に対しても前向きに取り組めそうですよね。」
男性キャスター
「そうですよね。やはり今、国だったり企業でも女性の管理職をどんどん登用していこうという動きがある中で、育休明けの女性ももちろん管理職を目指したいという女性もいらっしゃいますから、こうした勉強会がひとつの後押しになるかもしれません。」
女性キャスター
「勉強会の参加者の中には経営学を学んだことをきっかけに将来、管理職を目指したいと考える女性が増えているということです。」
男性キャスター
「ご紹介した勉強会の活動は育休プチMBA勉強会のFacebookでも紹介しています。今は、新年度からの参加者も募集しているとのことです。詳しくはご覧のアドレス(https://www.facebook.com/ikukyu.mba)を参考になさってください。」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
かぶりつきで自分の出ている番組を見るムスメ。ビデオデッキやケーブルに手を出すので、ゼミ生にもらったベビーサークルを使ってムスメに荒らされては困るものをガードしています。
撮影風景
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
アナウンサー
「産休育休のために長期間職場を離れる女性の中には、復職後に仕事のスキルの低下や、育児と仕事の両立に悩む人が少なくありません。そうした中、育休中に会社組織の運営についての経営学を学び、復帰後の仕事に活かそうという取り組みが始まっています。」
(ナレーション)次々と集まる赤ちゃんを抱えた女性たち、育休取得者向けの勉強会です。オムツ替えや授乳が自由にでき、子どもと一緒でも参加できます。参加者はおよそ20人。そのほとんどが管理職ではありません。しかし、学ぶのは管理職や経営者向けの経営学です。経営のスペシャリストを養成するビジネススクールと同じ討論形式で学びます。
参加者
「利益率を変えないけど売り上げは落ちますみたいな形でどこかを担保してあげる」「面白いですよね(社内の)政治交渉も」
(ナレーション)育児をしながら勉強会を立ち上げた国保祥子さん。経営学の専門家で管理職の育成などに携わってきました。育児で時間に制限がある女性にとっては、管理職でなくても経営学が助けになると考えています。
国保
「日々の業務や経営の現場のなかで起きている問題解決のための知見の塊という風に経営学は言えると思うんですね。効率的に問題解決するために経営学を勉強しておくべきだろうと思っています。」
(ナレーション)参加者の一人、塩澤香さんです。鉄道会社で5年間働き、新規事業の立ち上げなどに携わってきました。しかし復職後は以前のような残業を伴う仕事はできないと感じています。そんな塩澤さんが勉強会で役に立つと感じたのはプレマネバランスという考え方でした。管理職が自分でやらなければならない仕事と部下に任せる仕事を適切に分類して、部署として最も高い成果をあげようという手法です。塩澤さんはこの方法を応用した働き方ができないか、上司に提案しようと考えています。復職後時間が制約されれば担当できる仕事の量は減ります。そこで、もともとの仕事を一人で行う部分と上司や同僚と共同して行う部分に分類。自分でできる仕事の量は減りますが、会社への貢献度は大きく減らないのではと考えました。
塩澤香さん
「全体を俯瞰的に見て、組織として成果をあげていく生産性の高い仕事をしていく。そういった提案というのは、どんな部署でもできるし、そういったものを活かしていかなければ自分は通用しなくなるんじゃないかと考えています。」
(ナレーション)勉強会の参加者の中には、管理職として成長していくヒントを得た人もいます。田中しほさんです。幹部候補として航空自衛隊に入隊。2年目で管理職になり30人ほどの部下をもつようになりました。しかし、上司の指示をうまく部下に伝えられず反発を受けることもあったといいます。
田中しほさん
「仕事でも上から言われたことをそのまま下にながしていただけだったなと。」
(ナレーション)田中さんが勉強会で最も参考になったのが目標咀嚼(そしゃく)という管理職に求められる能力です。上からの指示を部下ひとりひとりが納得できる具体的な指示へとかみ砕いて伝える技術です。勉強会に参加して足りなかった能力が明確になったことで管理職として成長できるのではないかと感じています。
田中しほさん
「自分は全然できていないんだけど、どうしたらいいんだろうと頭の中ではずっと考えていたんですけど、理論的に勉強したり、ディスカッションでいろいろな人の意見を聞いて、そういう視点もあるのかと学んだりとか、そういうインプットが育休中にできて良かったなと。」
(ナレーション)育児と仕事の両立をめざす女性たちにとって、経営学はひとつのヒントになっていました。こうした勉強会に企業も注目しています。先月中旬、企業の人事担当者向けに行われた報告会です。商社やメーカー、IT企業などおよそ40社が集まりました。女性たちの意識にどんな変化が起きたのか、勉強会の成果に耳を傾けました。
国保
「制約人材が経営参画意識を高めるということに繋がっていることがひとつ、それから、個人プレーから脱却してチームプレーを意識するきっかけになっています。」
大手印刷会社労務担当者
「育休中の自分たちが会社の一員であるということを意識しつつ、育休復帰するまでの助走期間と捉えて育休期間をおくっている人とそうでない人と差が出てくると思いますので、非常におもしろいなと正直思いました。」
国保
「制約をもっているけど、企業に貢献したいという気持ちはあるので、(復職者と企業の)お互いの気持ちがきちんと歩み寄れるように、この勉強会がそういう存在になれればいいなと思っています。」
(ナレーション)育休中に経営者や管理職の視点を学ぶ女性たち。職場復帰後の活躍に期待がかかります。
女性キャスター
「育児をしているとやっぱり時間に制限がありますから、制限されたりとか、仕事をこれまで以上に任せられないと思われがちなのですが、今回のような学ぶ場があると、やっぱり以前よりも高いパフォーマンスができたりとか、仕事に対しても前向きに取り組めそうですよね。」
男性キャスター
「そうですよね。やはり今、国だったり企業でも女性の管理職をどんどん登用していこうという動きがある中で、育休明けの女性ももちろん管理職を目指したいという女性もいらっしゃいますから、こうした勉強会がひとつの後押しになるかもしれません。」
女性キャスター
「勉強会の参加者の中には経営学を学んだことをきっかけに将来、管理職を目指したいと考える女性が増えているということです。」
男性キャスター
「ご紹介した勉強会の活動は育休プチMBA勉強会のFacebookでも紹介しています。今は、新年度からの参加者も募集しているとのことです。詳しくはご覧のアドレス(https://www.facebook.com/ikukyu.mba)を参考になさってください。」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
かぶりつきで自分の出ている番組を見るムスメ。ビデオデッキやケーブルに手を出すので、ゼミ生にもらったベビーサークルを使ってムスメに荒らされては困るものをガードしています。
2015年06月24日
AERAに載りました
育児休業中にマネジメントを学ぶ「育休プチMBA勉強会」(詳細こちら)がAERA2015年6月29日号に取り上げられました。「勉強しないと生き残れない」という特集の中で、「育休と育児退職をハンディにしない 子連れ勉強会で管理職の視点を持てば、復職後の自分をイメージできる」というタイトルで取り上げていただいています。
仕事を好きであるほど出産で現場を離れることはとても不安なのですが、その不安を少しでも軽減できたらいいな、仕事のために子育てを諦める人も、子育てのために仕事を諦める人も減るといいなと思っています。私たちの少し上、いわゆる均等法世代の女性たちは、子どもを持つことや自分で育てることを諦めなければ仕事を続けられなかったと理解していますが、当時の先輩たちの戦いがあったおかげで少なくとも育休制度自体は当たり前に存在する社会になっています。その事実を作った先人にまずは感謝して、その上で私たちの世代でもう少し良くしてから次の世代に渡したいなと思っています。
でも実はこの勉強会、私としてはあんまり「女性向け」だとはとらえていません。育休や時短の社員がいる組織はマネジメントをちゃんとしないとカオスに陥りやすいので、その解決策を提示したいと思っています。つまり仕事と子育ての両立問題は、個人ではなく経営課題であり、だから経営学で解決しましょうというのが私のスタンスです。私は会社組織にも男性にも社会に対しても、育てていただいたという気持ちの方が強く、今でこそ子どもがいる側ですが、出産前はずっと子どもをもつ社員を迷惑だと感じる側におりました(笑)。だから、両方の世界を見ているからこそできることを追求していきたいな、自分の要望を伝えつつも相手の要望も取り入れてWIN-WIN関係を作っていきたいなと思っています。
仕事を好きであるほど出産で現場を離れることはとても不安なのですが、その不安を少しでも軽減できたらいいな、仕事のために子育てを諦める人も、子育てのために仕事を諦める人も減るといいなと思っています。私たちの少し上、いわゆる均等法世代の女性たちは、子どもを持つことや自分で育てることを諦めなければ仕事を続けられなかったと理解していますが、当時の先輩たちの戦いがあったおかげで少なくとも育休制度自体は当たり前に存在する社会になっています。その事実を作った先人にまずは感謝して、その上で私たちの世代でもう少し良くしてから次の世代に渡したいなと思っています。
でも実はこの勉強会、私としてはあんまり「女性向け」だとはとらえていません。育休や時短の社員がいる組織はマネジメントをちゃんとしないとカオスに陥りやすいので、その解決策を提示したいと思っています。つまり仕事と子育ての両立問題は、個人ではなく経営課題であり、だから経営学で解決しましょうというのが私のスタンスです。私は会社組織にも男性にも社会に対しても、育てていただいたという気持ちの方が強く、今でこそ子どもがいる側ですが、出産前はずっと子どもをもつ社員を迷惑だと感じる側におりました(笑)。だから、両方の世界を見ているからこそできることを追求していきたいな、自分の要望を伝えつつも相手の要望も取り入れてWIN-WIN関係を作っていきたいなと思っています。
2015年06月14日
育休プチMBA勉強会が「始まった理由」と「続けている2つの理由」
最近メディア取材が増えており、勉強会の起源を訊かれることが多いのですが、実はこの勉強会、「始まった理由」と「続けている理由」が別なんですよね。なのでそこをちょっとまとめておこうと思います。
勉強会が始まった理由
育休プチMBA勉強会は、NPO法人マドレボニータが提供する産後女性向けエクササイズ教室の「にんぷクラス」(吉祥寺)で第2子妊娠中だった岡野美佳さんと第1子妊娠中だった私がであったことがきっかけです。はじめての妊娠でいろいろ不安が多かった私は、クラス後に経産婦である美佳さんからお茶に誘われてとても嬉しかったことを覚えています。マドレさんが提唱している「産褥ヘルプ」を実践してみようと、4月に出産した私のところに美佳さんとマドレの事務局を務めている太田智子さんがおかずをもって遊びにきてくれました(余談ですがその時に持ってきてもらったセロリ入りきりぼし大根がとてもおいしくて真似するようになり、今ではムスメの大好物になっています)。はじめての新生児子育てでわからないことが多かった私は、ここぞとばかりに先輩ママのお二人に質問させてもらいました。
で、そこでご飯を食べながら雑談していたときに、私が仕事でマネジメント研修を提供していることを知った美佳さんが発した「前から経営を勉強したいと思っていたんですけど、どこでどう勉強するのが良いですかね?」という質問が、私には1つの大きな転機となりました。というのも、普段から企業や行政機関に経営能力開発プログラムを提供する仕事をしていますが、そういった場で女性を見かけることは非常に少ないですし、いてもほとんど発言しなかったりします。なので、そういう学習意欲がある女性がいること自体が新鮮でした。また、実践的なマネジメントを学びたいのであれば、ケースメソッドを使ったディスカッション授業にするのが一番効果的だと私は思っていますが、同じ授業を女性相手にやったときにいったいどんなディスカッションになるのか、男性とどう違うのかを知りたいと思いました。あと、私は出産後は仕事のパフォーマンスもモチベーションも落ちてしまうのだろうと考えていたのですが、美佳さんは「第一子出産後のほうが営業成績が良くなった」と話しており、その現象がとても興味深かったのです。
で、美佳さんが人集めと場所提供を担当してくれるなら、私がプログラムと教材を用意しますという話になり、5月に出産した美佳さんの体調が回復するのを待って、7月に第1回を開催しました。ディスカッション授業は人がいないと成り立たないので、こういう学習機会に興味を持つ育休中の女性がどれくらいいるのかは未知数でしたが、敏腕営業のみかさんはちゃんと人集めをしてくれました。それで、2週間に1度ほど美佳さんちのマンションに集まってディスカッションするという勉強会が始まりました。これが勉強会が「始まった」理由。
勉強会を続けている2つの理由
で、勉強会をやってみたら面白い人にたくさん会えたし、企業目線からみたら想定外の思考回路をするということも分かり、企業と女性社員のミスコミュニケーションってこういう構造になっていたんだーなるほどーと気づかされることがたくさんありました。また、勉強会のプログラム開発のために子育て女性を取り巻く職場環境を調べたのですが、その結果分かってきたことは、女性が仕事と子育てを両立しにくいという問題は、女性の能力以上に、企業の構造上の問題、つまり経営課題であるということでした。たとえば子育てと仕事の両立を阻む最大の課題は長時間労働なのですが、その裏には残業をよしとする文化だったり、生産性の低い業務オペレーションだったり、コミュニケーション機能不全の組織だったりがあるわけです。その一方で女性は意外なことに出産後のほうが実は就労意欲が高いというデータがありましたし、実際に勉強会に集まる人をみていてもそれは実感できました。みんな子どもがいても仕事はしたいと思っている、にもかかわらず職場環境のせいでその貢献意欲が発揮されていない、そしてそういう意図しないぶらさがり人材の存在が組織全体のモチベーションを下げている、という構造が明らかになりました。そしてこれは企業側に悪気があるわけではなく、優秀な女性には結婚出産を経ても長く勤めて欲しい、出産後もぶら下がらずに戦力になってほしいと考えているにも関わらず、制約を抱えた人材をどうマネジメントすれば活用できるのかその具体的な方法が分からなくて困っているということも分かってきました。
であれば、この問題は制約人材側の能力開発(特に思考の転換)と、管理職のマネジメントスキル開発(制約人材を活用するスキル)、そして残業文化の変革(含む業務改善)で解決できるなという結論に至りまして、そして、これは私の専門知識で解決策を提示できる領域だということに気づきました。で、経営学の専門家であり母親という自分の立ち位置を活かして、この女性の両立問題から透けて見える経営課題の解決を研究テーマにしようと決めました。これは、専門家としての職業上の「続けている」理由。
もう1つは個人的な理由です。仕事柄、20代の女性と話をする機会が多いのですが、その多くの人が「子どもは欲しい。でも仕事と両立できるとは思えない」と考えていることが分かりました。私から見たら十分優秀な女子たちが、「私は両立できるとは思えないから、こどもか仕事かを選ばなくてはならない」と思ってるんですよね。どうしてもキャリア構築期と出産適齢期が重なってしまう女性にとって、出産とはすなわち「仕事経験を積むチャンス」を逃すということに等しいです。メディアに出ているキラキラワーキングマザーは実母のフルバックアップが透けて見えるので真似できる気がしない一方で、ごく身近で子育てしながら仕事をしている人はいわゆる「ぶら下がり」状態になっているのを見るわけです。その状況では、「普通の人間である自分に、仕事と子育ての両立は無理」と考えてしまうのはごく当たり前ですよね。つまり、こどもが欲しくないわけじゃないけど、「子どもかキャリアか」を選べなくて出産を先延ばしにしてしまう人が少なくないと感じています。だから、こどもとキャリアは二者択一ではない、こどももキャリアもどっちもとれるということが分かったら、もっと気軽に出産に踏み切る人が増えるだろうとずっと思っていました。
なので、この勉強会によって育児期間を能力開発期間に変えられるということ、キャリアと育児を両立しているスーパーじゃないウーマンがたくさんいることを多くの人に知ってもらえれば、キャリアを諦める覚悟をせずとも子どもを持てるんだと考えられるようになれるかなと思ったんですよね。つまり「こどもを持つ=キャリアを諦める」という方程式を崩したいのです。周りの人へのヒアリングや、仕事で触れるデータたちをみても、女性たちは「こどもが欲しくない」とは思っていません。でも「育てる自信がない」とは思っています。であれば、彼女たちに育てる自信を持たせることが大事ではないでしょうか。こどもが欲しくないという意思は尊重する必要があるし、産みたくても産めない人には配慮をすべきです。でも子どもが欲しいという意思があるし、産むことも出来るけど、育てる自信がないという人に対しては、この勉強会が解決策になるんじゃないかと思ったんですね。つまり私は、少子化対策には子育て支援ではなく両立支援の方が効くと考えているわけです。これが、もう1つの「続けている理由」です。
こういった想いを持ちつつ勉強会を主宰しておりますので、勉強会の参加者を増やすことも大事ですが、勉強会の存在を当事者以外にも広く知らしめること、そして勉強会をちゃんと継続することも、それ以上に大事だと思っています。問題意識やビジョンに共感してくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひご協力をお願いします!
いろんなきっかけをもたらしてくれた大好きなムスメと。
勉強会が始まった理由
育休プチMBA勉強会は、NPO法人マドレボニータが提供する産後女性向けエクササイズ教室の「にんぷクラス」(吉祥寺)で第2子妊娠中だった岡野美佳さんと第1子妊娠中だった私がであったことがきっかけです。はじめての妊娠でいろいろ不安が多かった私は、クラス後に経産婦である美佳さんからお茶に誘われてとても嬉しかったことを覚えています。マドレさんが提唱している「産褥ヘルプ」を実践してみようと、4月に出産した私のところに美佳さんとマドレの事務局を務めている太田智子さんがおかずをもって遊びにきてくれました(余談ですがその時に持ってきてもらったセロリ入りきりぼし大根がとてもおいしくて真似するようになり、今ではムスメの大好物になっています)。はじめての新生児子育てでわからないことが多かった私は、ここぞとばかりに先輩ママのお二人に質問させてもらいました。
で、そこでご飯を食べながら雑談していたときに、私が仕事でマネジメント研修を提供していることを知った美佳さんが発した「前から経営を勉強したいと思っていたんですけど、どこでどう勉強するのが良いですかね?」という質問が、私には1つの大きな転機となりました。というのも、普段から企業や行政機関に経営能力開発プログラムを提供する仕事をしていますが、そういった場で女性を見かけることは非常に少ないですし、いてもほとんど発言しなかったりします。なので、そういう学習意欲がある女性がいること自体が新鮮でした。また、実践的なマネジメントを学びたいのであれば、ケースメソッドを使ったディスカッション授業にするのが一番効果的だと私は思っていますが、同じ授業を女性相手にやったときにいったいどんなディスカッションになるのか、男性とどう違うのかを知りたいと思いました。あと、私は出産後は仕事のパフォーマンスもモチベーションも落ちてしまうのだろうと考えていたのですが、美佳さんは「第一子出産後のほうが営業成績が良くなった」と話しており、その現象がとても興味深かったのです。
で、美佳さんが人集めと場所提供を担当してくれるなら、私がプログラムと教材を用意しますという話になり、5月に出産した美佳さんの体調が回復するのを待って、7月に第1回を開催しました。ディスカッション授業は人がいないと成り立たないので、こういう学習機会に興味を持つ育休中の女性がどれくらいいるのかは未知数でしたが、敏腕営業のみかさんはちゃんと人集めをしてくれました。それで、2週間に1度ほど美佳さんちのマンションに集まってディスカッションするという勉強会が始まりました。これが勉強会が「始まった」理由。
勉強会を続けている2つの理由
で、勉強会をやってみたら面白い人にたくさん会えたし、企業目線からみたら想定外の思考回路をするということも分かり、企業と女性社員のミスコミュニケーションってこういう構造になっていたんだーなるほどーと気づかされることがたくさんありました。また、勉強会のプログラム開発のために子育て女性を取り巻く職場環境を調べたのですが、その結果分かってきたことは、女性が仕事と子育てを両立しにくいという問題は、女性の能力以上に、企業の構造上の問題、つまり経営課題であるということでした。たとえば子育てと仕事の両立を阻む最大の課題は長時間労働なのですが、その裏には残業をよしとする文化だったり、生産性の低い業務オペレーションだったり、コミュニケーション機能不全の組織だったりがあるわけです。その一方で女性は意外なことに出産後のほうが実は就労意欲が高いというデータがありましたし、実際に勉強会に集まる人をみていてもそれは実感できました。みんな子どもがいても仕事はしたいと思っている、にもかかわらず職場環境のせいでその貢献意欲が発揮されていない、そしてそういう意図しないぶらさがり人材の存在が組織全体のモチベーションを下げている、という構造が明らかになりました。そしてこれは企業側に悪気があるわけではなく、優秀な女性には結婚出産を経ても長く勤めて欲しい、出産後もぶら下がらずに戦力になってほしいと考えているにも関わらず、制約を抱えた人材をどうマネジメントすれば活用できるのかその具体的な方法が分からなくて困っているということも分かってきました。
であれば、この問題は制約人材側の能力開発(特に思考の転換)と、管理職のマネジメントスキル開発(制約人材を活用するスキル)、そして残業文化の変革(含む業務改善)で解決できるなという結論に至りまして、そして、これは私の専門知識で解決策を提示できる領域だということに気づきました。で、経営学の専門家であり母親という自分の立ち位置を活かして、この女性の両立問題から透けて見える経営課題の解決を研究テーマにしようと決めました。これは、専門家としての職業上の「続けている」理由。
もう1つは個人的な理由です。仕事柄、20代の女性と話をする機会が多いのですが、その多くの人が「子どもは欲しい。でも仕事と両立できるとは思えない」と考えていることが分かりました。私から見たら十分優秀な女子たちが、「私は両立できるとは思えないから、こどもか仕事かを選ばなくてはならない」と思ってるんですよね。どうしてもキャリア構築期と出産適齢期が重なってしまう女性にとって、出産とはすなわち「仕事経験を積むチャンス」を逃すということに等しいです。メディアに出ているキラキラワーキングマザーは実母のフルバックアップが透けて見えるので真似できる気がしない一方で、ごく身近で子育てしながら仕事をしている人はいわゆる「ぶら下がり」状態になっているのを見るわけです。その状況では、「普通の人間である自分に、仕事と子育ての両立は無理」と考えてしまうのはごく当たり前ですよね。つまり、こどもが欲しくないわけじゃないけど、「子どもかキャリアか」を選べなくて出産を先延ばしにしてしまう人が少なくないと感じています。だから、こどもとキャリアは二者択一ではない、こどももキャリアもどっちもとれるということが分かったら、もっと気軽に出産に踏み切る人が増えるだろうとずっと思っていました。
なので、この勉強会によって育児期間を能力開発期間に変えられるということ、キャリアと育児を両立しているスーパーじゃないウーマンがたくさんいることを多くの人に知ってもらえれば、キャリアを諦める覚悟をせずとも子どもを持てるんだと考えられるようになれるかなと思ったんですよね。つまり「こどもを持つ=キャリアを諦める」という方程式を崩したいのです。周りの人へのヒアリングや、仕事で触れるデータたちをみても、女性たちは「こどもが欲しくない」とは思っていません。でも「育てる自信がない」とは思っています。であれば、彼女たちに育てる自信を持たせることが大事ではないでしょうか。こどもが欲しくないという意思は尊重する必要があるし、産みたくても産めない人には配慮をすべきです。でも子どもが欲しいという意思があるし、産むことも出来るけど、育てる自信がないという人に対しては、この勉強会が解決策になるんじゃないかと思ったんですね。つまり私は、少子化対策には子育て支援ではなく両立支援の方が効くと考えているわけです。これが、もう1つの「続けている理由」です。
こういった想いを持ちつつ勉強会を主宰しておりますので、勉強会の参加者を増やすことも大事ですが、勉強会の存在を当事者以外にも広く知らしめること、そして勉強会をちゃんと継続することも、それ以上に大事だと思っています。問題意識やビジョンに共感してくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひご協力をお願いします!
いろんなきっかけをもたらしてくれた大好きなムスメと。
2015年06月12日
日経DUALさんに載りました
自分も読者として読んでいる、日経DUALさんに育休プチMBAを掲載していただきました。
赤ちゃん片手に経営を学ぶ「育休プチMBA勉強会」
育休ママ達の「経営を学びたい」という声から生まれた会。関係者が全員育休中という場で、参加者が学ぶものとは?(上)
育休中ママの人材価値を上げるMBA勉強会の実力
「子育て中だからこそ管理職になる意義がある」。その会で学んだママ達が続々と「管理職」を目指すようになる理由とは?(下)
特に勉強会に参加した人にどんな効果があったかをヒアリングしていただいた(下)はお勧めです。この美佳さんの写真が本当にステキ。
赤ちゃん片手に経営を学ぶ「育休プチMBA勉強会」
育休ママ達の「経営を学びたい」という声から生まれた会。関係者が全員育休中という場で、参加者が学ぶものとは?(上)
育休中ママの人材価値を上げるMBA勉強会の実力
「子育て中だからこそ管理職になる意義がある」。その会で学んだママ達が続々と「管理職」を目指すようになる理由とは?(下)
特に勉強会に参加した人にどんな効果があったかをヒアリングしていただいた(下)はお勧めです。この美佳さんの写真が本当にステキ。
2015年05月11日
育休プチ勉強会(2014年度)の研究報告
育休プチMBA勉強会は、育児休業を取得して産育休取得前と同じ企業・団体に復職する従業員(以下、育休復職者)を対象に、休業中のスキルアップおよびスムーズな復職を支援するために開催している勉強会です。(詳しくはこちら:育休プチMBA勉強会について)。
2014年4月生まれの娘を妊娠中に知り合ったみかさんとの雑談から端を発し、2014年7月から始まった当勉強会は、2014年12月までのメンバーの自宅で開催するスタイルでは計11回の勉強会を開催しましたが、回を重ねるごとに主に口コミで参加者が増え、最終的には男性を含むのべ107人が参加しました。2014年11月に少子化ジャーナリストの白河桃子氏がプレジデントオンラインの記事にして下さったことで参加希望の問い合わせがさらに増加しましたので、それを機にこれまでの勉強会に参加した約30人の育休者で「勉強会運営チーム」を組織し、全5回、のべ92名が参加した勉強会の運営業務をボランティアとして担いました。
この勉強会の集大成として、学習効果を以下の3つの観点で調査しました。
@勉強会参加による意識変化
A運営チーム業務経験(プレイヤー)から得た意識変化
B運営チーム業務経験(マネジャー)から得た意識変化
@は勉強会に参加することによる学習効果、ABは運営チームによる2015年1〜3月の勉強会の運営業務を通じた学習効果です。以下に順を追ってみてゆきます。
@勉強会参加による意識変化
実際に勉強会に参加した参加者のアンケート及びインタビューから、以下のことが確認されました。
1)勉強会の参加によって、参加者の就労意欲及び組織への貢献意欲は高まる
2)勉強会の前後で、自己啓発から組織貢献学習へ思考が変化する
3)勉強会への参加によって管理職へのキャリアパスを描こうとする意欲が高まる
4)勉強会への継続参加は意欲をより高める、参加回数が多いほど変化の度合いが大きくなる
これらの結果から、当勉強会は参加者の経営参画意識を高めていると言えます。一般的に思考トレーニング系の能力開発は習得までに非常に時間がかかるのですが、子育てと両立できる学習環境を用意することによって、育児休業という現場を長期間離れざるを得ない期間が学習機会となりえることが分かります。詳しいプログラムデザインコンセプトについては、報告書の第2章で紹介しています。
A運営チーム業務経験(プレイヤー)から得た意識変化
運営チームを対象に、制約のある人材がプレイヤーとして組織に貢献できるようになるために必要な意識変化について調査しました。勉強会で学んだ「マネジメント視点」を活かし、時間等制約がある中でも「生産性を向上しつつ、仕事を抱え込まず、成果を出す」働き方にシフトするためにはどのような意識変化が必要であったかを、メンバーからのアンケートとヒアリングをもとに分析した結果、次の5つの要素が重要であることが分かりました。
1)ビジョンや組織目標などの前提条件を共有する
2)役割分担を明確にする
3)全体最適を考えてメンバーに託すようにする
4)病児発生等による業務離脱に対するリスク管理を行う
5)コミュニケーションの量が生産性向上に影響することを意識する
制約人材は罪悪感から悪気なく業務を抱え込む傾向があるのですが、これら5つの要素を職場は仕組みとして提供し、制約人材本人も意識することで、制約があっても組織に貢献することが出来ると考えられます。
B運営チーム業務経験(マネジャー)から得た意識変化
自身も制約人材でありながら中間管理職として運営チームを率いたマネジメントチームを対象に、制約人材として管理業務を担うことの意識変化について調査したところ、以下のような結果が得られました。
1)事前トレーニング、離脱時のルール整備によって制約人材でも管理職への興味は高まる:マネジメントチームのメンバーは全員、着任時には不安を抱えていました。その理由は、管理職経験がない、能力不足だと感じる、何をやればよいかがわからない等です。しかしプロジェクトが終了した頃には、管理職に対するイメージがポジティブな方向に変化したことがヒアリングから分かっています。但し、制約人材が管理職を務めるためには、事前のトレーニングや離脱時のルールの明確化による不安の解消、そしてフレキシブルな働き方を認めることが重要であると言うことも分かりました。
2)制約人材が管理職として働くためには、時間・場所・作業方法に関するフレキシビリティが重要:物理的に顔を合わせる機会がないことをカバーするため、定例会議はSkype、リアルタイムのコミュニケーションにはFacebookのメッセージ機能と、ICT技術を活用しました。また会議は主に朝5時に行われていましたが、これは制約人材の働きやすい時間が非制約人材のそれとは異なることへの対応です。さらに子どもの病気等による離脱リスクを常に抱えているため、作業の可視化や離脱時のルールを整備することで、組織として業務を円滑に進めるよう工夫が常になされていると制約を持っていても安心して働くことが出来ることが分かりました。
3)制約人材である部下を活躍させるためには、モチベーションの管理が重要:なぜ制約人材は特にモチベーションが大事なのかというと、まず女性は自己評価が低いことから遠慮をしがちであるからである。さらに制約のある人材は長時間労働が出来ないことで罪悪感を抱えているため、通常以上に気を遣う傾向がありますが、必要以上の気遣いは業務の生産性を低下させることにつながります。そのため罪悪感を持たせない環境を作り、高いモチベーションを維持させることが、チームの生産性をあげるためには重要です。
そして育休プチMBA勉強会の実践をもとに、制約人材活用・女性管理職育成について以下のような提言を行いました。
@制約人材活用への提言
育休中の人材を対象とした本勉強会では、時間や場所の制約を抱えた人材のマネジメント上の知見を蓄積してきました。この実践をベースに制約人材を活用するための方法として下記3点を提言します。
1)労働力不足社会に適応するために、すべての人材が働きやすい職場環境をつくる
2)業務効率化と労働時間以外の評価指標の導入で労働生産性を上げる
3)望まないぶら下がりや離職を生む職場環境を改善する
A女性管理職育成への提言
育休中の人材を対象とした当勉強会は参加者の97.5%が女性であったことから、ここでの実践をベースに女性管理職の育成・登用に関する方法として下記4点を提案します。
1)管理職の実践力醸成を登用「前」に行う
2)仕事の面白さを経験できる機会を早めに与える
3)社会的地位や金銭的報酬以外にもインセンティブを設計する
4)“すべての人材が働きやすい職場づくりを実現できる”人材を管理職に登用する
※なお提言の前提として、ここでいう「女性」とは、子どもを持って働く母親およびその予備軍のことを指しており、女性を管理職に登用したいと思っているが、子育てとの両立が難しいこと等を理由に断られるといった課題を抱えた企業に向けた具体的解決策の提示です。決して全ての女性が子どもを持つべきだという価値観に基づいたものではないということを予め明記しておきます。
B社会問題解決への提言
女性活用の遅れや低い出生率といった日本の社会問題に対する提言としては以下4点です。
1)育休を能力開発期間にすることで女性管理職を増やすことが可能になる
2)育休を能力開発期間にすることで出生率が向上する可能性がある
3)育休復職者が企業をこえて両立の実践知を共有することで女性のM字カーブ解消へ
4)喫緊の課題は保育所等の社会インフラを整えること
今後到来する労働人口不足社会では、子育て女性を含む全ての制約人材を活用できるかどうかが企業の生存を左右すると思われます。その時に企業と働く人の双方のハッピーにつながるような、制約人材のマネジメント知見の蓄積、制約人材の能力開発の機会提供、それが当勉強会の目的です。めざしているのは、企業経営課題と社会問題の解決であり、決して女性の権利主張ではないことを強調させていただきます。
より詳しくお知りになりたい方はこちらの報告書をご覧ください。
2014年4月生まれの娘を妊娠中に知り合ったみかさんとの雑談から端を発し、2014年7月から始まった当勉強会は、2014年12月までのメンバーの自宅で開催するスタイルでは計11回の勉強会を開催しましたが、回を重ねるごとに主に口コミで参加者が増え、最終的には男性を含むのべ107人が参加しました。2014年11月に少子化ジャーナリストの白河桃子氏がプレジデントオンラインの記事にして下さったことで参加希望の問い合わせがさらに増加しましたので、それを機にこれまでの勉強会に参加した約30人の育休者で「勉強会運営チーム」を組織し、全5回、のべ92名が参加した勉強会の運営業務をボランティアとして担いました。
この勉強会の集大成として、学習効果を以下の3つの観点で調査しました。
@勉強会参加による意識変化
A運営チーム業務経験(プレイヤー)から得た意識変化
B運営チーム業務経験(マネジャー)から得た意識変化
@は勉強会に参加することによる学習効果、ABは運営チームによる2015年1〜3月の勉強会の運営業務を通じた学習効果です。以下に順を追ってみてゆきます。
@勉強会参加による意識変化
実際に勉強会に参加した参加者のアンケート及びインタビューから、以下のことが確認されました。
1)勉強会の参加によって、参加者の就労意欲及び組織への貢献意欲は高まる
2)勉強会の前後で、自己啓発から組織貢献学習へ思考が変化する
3)勉強会への参加によって管理職へのキャリアパスを描こうとする意欲が高まる
4)勉強会への継続参加は意欲をより高める、参加回数が多いほど変化の度合いが大きくなる
これらの結果から、当勉強会は参加者の経営参画意識を高めていると言えます。一般的に思考トレーニング系の能力開発は習得までに非常に時間がかかるのですが、子育てと両立できる学習環境を用意することによって、育児休業という現場を長期間離れざるを得ない期間が学習機会となりえることが分かります。詳しいプログラムデザインコンセプトについては、報告書の第2章で紹介しています。
A運営チーム業務経験(プレイヤー)から得た意識変化
運営チームを対象に、制約のある人材がプレイヤーとして組織に貢献できるようになるために必要な意識変化について調査しました。勉強会で学んだ「マネジメント視点」を活かし、時間等制約がある中でも「生産性を向上しつつ、仕事を抱え込まず、成果を出す」働き方にシフトするためにはどのような意識変化が必要であったかを、メンバーからのアンケートとヒアリングをもとに分析した結果、次の5つの要素が重要であることが分かりました。
1)ビジョンや組織目標などの前提条件を共有する
2)役割分担を明確にする
3)全体最適を考えてメンバーに託すようにする
4)病児発生等による業務離脱に対するリスク管理を行う
5)コミュニケーションの量が生産性向上に影響することを意識する
制約人材は罪悪感から悪気なく業務を抱え込む傾向があるのですが、これら5つの要素を職場は仕組みとして提供し、制約人材本人も意識することで、制約があっても組織に貢献することが出来ると考えられます。
B運営チーム業務経験(マネジャー)から得た意識変化
自身も制約人材でありながら中間管理職として運営チームを率いたマネジメントチームを対象に、制約人材として管理業務を担うことの意識変化について調査したところ、以下のような結果が得られました。
1)事前トレーニング、離脱時のルール整備によって制約人材でも管理職への興味は高まる:マネジメントチームのメンバーは全員、着任時には不安を抱えていました。その理由は、管理職経験がない、能力不足だと感じる、何をやればよいかがわからない等です。しかしプロジェクトが終了した頃には、管理職に対するイメージがポジティブな方向に変化したことがヒアリングから分かっています。但し、制約人材が管理職を務めるためには、事前のトレーニングや離脱時のルールの明確化による不安の解消、そしてフレキシブルな働き方を認めることが重要であると言うことも分かりました。
2)制約人材が管理職として働くためには、時間・場所・作業方法に関するフレキシビリティが重要:物理的に顔を合わせる機会がないことをカバーするため、定例会議はSkype、リアルタイムのコミュニケーションにはFacebookのメッセージ機能と、ICT技術を活用しました。また会議は主に朝5時に行われていましたが、これは制約人材の働きやすい時間が非制約人材のそれとは異なることへの対応です。さらに子どもの病気等による離脱リスクを常に抱えているため、作業の可視化や離脱時のルールを整備することで、組織として業務を円滑に進めるよう工夫が常になされていると制約を持っていても安心して働くことが出来ることが分かりました。
3)制約人材である部下を活躍させるためには、モチベーションの管理が重要:なぜ制約人材は特にモチベーションが大事なのかというと、まず女性は自己評価が低いことから遠慮をしがちであるからである。さらに制約のある人材は長時間労働が出来ないことで罪悪感を抱えているため、通常以上に気を遣う傾向がありますが、必要以上の気遣いは業務の生産性を低下させることにつながります。そのため罪悪感を持たせない環境を作り、高いモチベーションを維持させることが、チームの生産性をあげるためには重要です。
そして育休プチMBA勉強会の実践をもとに、制約人材活用・女性管理職育成について以下のような提言を行いました。
@制約人材活用への提言
育休中の人材を対象とした本勉強会では、時間や場所の制約を抱えた人材のマネジメント上の知見を蓄積してきました。この実践をベースに制約人材を活用するための方法として下記3点を提言します。
1)労働力不足社会に適応するために、すべての人材が働きやすい職場環境をつくる
2)業務効率化と労働時間以外の評価指標の導入で労働生産性を上げる
3)望まないぶら下がりや離職を生む職場環境を改善する
A女性管理職育成への提言
育休中の人材を対象とした当勉強会は参加者の97.5%が女性であったことから、ここでの実践をベースに女性管理職の育成・登用に関する方法として下記4点を提案します。
1)管理職の実践力醸成を登用「前」に行う
2)仕事の面白さを経験できる機会を早めに与える
3)社会的地位や金銭的報酬以外にもインセンティブを設計する
4)“すべての人材が働きやすい職場づくりを実現できる”人材を管理職に登用する
※なお提言の前提として、ここでいう「女性」とは、子どもを持って働く母親およびその予備軍のことを指しており、女性を管理職に登用したいと思っているが、子育てとの両立が難しいこと等を理由に断られるといった課題を抱えた企業に向けた具体的解決策の提示です。決して全ての女性が子どもを持つべきだという価値観に基づいたものではないということを予め明記しておきます。
B社会問題解決への提言
女性活用の遅れや低い出生率といった日本の社会問題に対する提言としては以下4点です。
1)育休を能力開発期間にすることで女性管理職を増やすことが可能になる
2)育休を能力開発期間にすることで出生率が向上する可能性がある
3)育休復職者が企業をこえて両立の実践知を共有することで女性のM字カーブ解消へ
4)喫緊の課題は保育所等の社会インフラを整えること
今後到来する労働人口不足社会では、子育て女性を含む全ての制約人材を活用できるかどうかが企業の生存を左右すると思われます。その時に企業と働く人の双方のハッピーにつながるような、制約人材のマネジメント知見の蓄積、制約人材の能力開発の機会提供、それが当勉強会の目的です。めざしているのは、企業経営課題と社会問題の解決であり、決して女性の権利主張ではないことを強調させていただきます。
より詳しくお知りになりたい方はこちらの報告書をご覧ください。
2015年03月30日
育休プチMBA勉強会・研究報告書2015
育休プチMBA勉強会(任意団体:代表:静岡県立大学 助教 国保祥子)は、育児休業中の従業員(以下「育休者」とする)を対象としてケースメソッドを用いて行ったマネジメントの勉強会の成果について、3月13日に研究報告会を行いました。その際に使用した資料をもとに報告書を作成しましたので公開いたします。
要 約 育休プチMBA勉強会2015研究報告書サマリー
報告書 育休プチMBA勉強会2015研究報告書
報告会は、人事やダイバーシティ推進室の方を対象として、東京・丸の内の慶應丸の内シティキャンパスにて行いました。新卒採用が解禁になり、非常に忙しい時期であるにもかかわらず多くの方にお越しいただきました。
隣室は、タスカジさんのベビーシッターを手配して、運営チームメンバーの臨時託児室となりました。丸の内に15名の乳児がいるというのは不思議な光景でしたが、非常に癒される空間でもありました。
勉強会の運営と研究報告を共にやりきったメンバーは、ママ友の域を超えて同志です。
当日の様子は、The Huffington Postにも取り上げていただきました。
ママが育休中に、授乳しながらMBAを学んでみた【女性の働きかた】
今後到来する労働人口不足社会では、子育て女性を含む全ての制約人材を活用できるかどうかが企業の生存を左右すると思っていますが、その時に企業と働く人の双方のハッピーにつながるような、制約人材のマネジメント知見の蓄積、制約人材の能力開発の機会提供が当勉強会の目的です。目指しているのは、企業経営課題と社会問題の解決であり、決して女性の権利主張ではありません。そして大学生をはじめとする次の時代を生きる女性・男性たちには、「子育てとキャリアは両立できる、しかも楽しく」ということを伝えていきたいと考えています。
要 約 育休プチMBA勉強会2015研究報告書サマリー
報告書 育休プチMBA勉強会2015研究報告書
報告会は、人事やダイバーシティ推進室の方を対象として、東京・丸の内の慶應丸の内シティキャンパスにて行いました。新卒採用が解禁になり、非常に忙しい時期であるにもかかわらず多くの方にお越しいただきました。
隣室は、タスカジさんのベビーシッターを手配して、運営チームメンバーの臨時託児室となりました。丸の内に15名の乳児がいるというのは不思議な光景でしたが、非常に癒される空間でもありました。
勉強会の運営と研究報告を共にやりきったメンバーは、ママ友の域を超えて同志です。
当日の様子は、The Huffington Postにも取り上げていただきました。
ママが育休中に、授乳しながらMBAを学んでみた【女性の働きかた】
今後到来する労働人口不足社会では、子育て女性を含む全ての制約人材を活用できるかどうかが企業の生存を左右すると思っていますが、その時に企業と働く人の双方のハッピーにつながるような、制約人材のマネジメント知見の蓄積、制約人材の能力開発の機会提供が当勉強会の目的です。目指しているのは、企業経営課題と社会問題の解決であり、決して女性の権利主張ではありません。そして大学生をはじめとする次の時代を生きる女性・男性たちには、「子育てとキャリアは両立できる、しかも楽しく」ということを伝えていきたいと考えています。
2015年01月28日
【もしベビ】育休プチMBAについて
友人と立ち上げた育休者向け勉強会「育休プチMBA勉強会」ですが、先日授乳しながら学べる「育休MBA」としてプレジデントオンラインに取り上げていただいたことで、問い合わせが増えてきました。この勉強会に関する情報源がまだ存在しないので、とりあえずこのページにビジョンを載せておこうと思います。参加ルール等も、確定次第追加していきますー。
【育休プチMBA勉強会について】
1. 運営理念
“子どもを持ちながら働く”が本人・家族・企業にとって当たり前になる社会の実現
2. 運営方針
(1)赤ちゃん連れでも安心のバリアフリーな環境で学ぶ機会に
会場内はおむつ替え・授乳可能。赤ちゃんと一緒に安心して学ぶことができる場を提供します。
(2)時間や場所などの制約を持ちながらも組織に貢献するための思考技術を学ぶ機会に
MBA同様の本格的な教材を使い、マネジメント思考の徹底したトレーニングを通じて復職後、時間や場所等の制約がある中でも組織に貢献する為の思考技術を提供します。
(3)志を同じくする仲間と出会う機会に
復職後に組織で活躍したい志をもつ多様な業界の人とのディスカッションを通じて、互いに切磋琢磨し合う仲間と出会う機会を提供します。
3. 運営ビジョン
・子どもを持ちながら働く”ことが当たり前だと捉える個人や企業が増える
・育休復職後、時間や場所などの制約を持ちながらも成果をもたらし、組織に貢献できる人材が増える
4. 提供する価値・サービス
(1)経営者視点での思考トレーニング
時間や場所などの制約を持ちながらも経営に資する存在となりえるための思考トレーニング。
(2)次世代組織を研究する教員監修のMBA同様の本格的な教材を利用。
慶応ビジネス・スクール公式などの本格的な教材を使って、MBA同様の経営者視点でのディスカッション。監修・指導は、次世代の組織のあり方を研究する国保助教。
(3)志を同じくする仲間との出会い
子どもを持ちながら働くために必要な知恵やノウハウ共有、精神面でのフォローをしあえる同志との出会い
【活動内容】
このビジョンのもと、現在は月1の勉強会を開催しています。勉強会自体は既に受け入れキャパシティを超えた参加希望をいただいておりますが、2015年3月に同年4月に復職するメンバーで発表会を行う予定でして、こちらは広く参加していただけるように現在準備を進めています。
【育休プチMBA勉強会について】
1. 運営理念
“子どもを持ちながら働く”が本人・家族・企業にとって当たり前になる社会の実現
2. 運営方針
(1)赤ちゃん連れでも安心のバリアフリーな環境で学ぶ機会に
会場内はおむつ替え・授乳可能。赤ちゃんと一緒に安心して学ぶことができる場を提供します。
(2)時間や場所などの制約を持ちながらも組織に貢献するための思考技術を学ぶ機会に
MBA同様の本格的な教材を使い、マネジメント思考の徹底したトレーニングを通じて復職後、時間や場所等の制約がある中でも組織に貢献する為の思考技術を提供します。
(3)志を同じくする仲間と出会う機会に
復職後に組織で活躍したい志をもつ多様な業界の人とのディスカッションを通じて、互いに切磋琢磨し合う仲間と出会う機会を提供します。
3. 運営ビジョン
・子どもを持ちながら働く”ことが当たり前だと捉える個人や企業が増える
・育休復職後、時間や場所などの制約を持ちながらも成果をもたらし、組織に貢献できる人材が増える
4. 提供する価値・サービス
(1)経営者視点での思考トレーニング
時間や場所などの制約を持ちながらも経営に資する存在となりえるための思考トレーニング。
(2)次世代組織を研究する教員監修のMBA同様の本格的な教材を利用。
慶応ビジネス・スクール公式などの本格的な教材を使って、MBA同様の経営者視点でのディスカッション。監修・指導は、次世代の組織のあり方を研究する国保助教。
(3)志を同じくする仲間との出会い
子どもを持ちながら働くために必要な知恵やノウハウ共有、精神面でのフォローをしあえる同志との出会い
【活動内容】
このビジョンのもと、現在は月1の勉強会を開催しています。勉強会自体は既に受け入れキャパシティを超えた参加希望をいただいておりますが、2015年3月に同年4月に復職するメンバーで発表会を行う予定でして、こちらは広く参加していただけるように現在準備を進めています。