2012年06月30日

土佐山視察

高知に仕事で行ったついでに、土佐山アカデミーを視察してきました。普段から仕事であちこち行く機会があるので、そのついでに本格的な調査に入る前の探索的調査(ようは研究のネタ探し)をしています。

土佐山アカデミーは、色んな面で大変興味深く、調査に入りたいなーと思える事例で、中期的に見守りたいなと思わされました。今年は手掛けたいものがたくさんあって、嬉しいけど悩む・・・。

さてさて、現地ではアカデミーの方に土佐山の案内もしていただきました。ありがとうございますー!せっかくなので少し写真で土佐山の紹介をしてみます。


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土佐山はこういうところ。絵に描いたような中山間地です。でも高知市内から車で30分で、「すぐそこにある中山間地」という感じです。馬路村が2時間かかることを考えると不思議な近さ。

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以前ある女性誌の宿特集でみたときから気になっていた「オーベルジュ土佐山」。地域住民が作った会社で運営しているホテル事業というだけでも興味深いのだけど、単に女性に人気の素敵な宿としても名を知られていて、それが両立しているというのが希少だなーと。この特徴的な梁の使い方は、地元の伝統的な建築手法なんだそうです。随処に野の花が飾ってあるのも豊かな感じです。

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この緑に囲まれたテラスは素敵―。緑と水って落ち着く・・・。

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地元名産の生姜を使ったジンジャーエール。本当に「生姜!」って味わいで、生姜が沈殿してるのが見えますか?ジンジャーエールなんだから言われてみれば当たり前なんだけど、人工的な香料に慣れているとちょっと驚きました。


数時間の土佐山の滞在を終えて、高知に戻ってホテルで1つ目のお仕事(遠隔授業の講師)。でもその前に、30分だけ時間を作って高知市内のひろめ市場に行く。

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ここの塩タタキは高知出張のお楽しみ!ポン酢じゃなくて塩で食べられるタタキは絶品です。仕事前なのでノンアルコールなのが悔しい(笑)。

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はちきん地鶏が妙に美味しそうに撮れたので、ついでに載せてみる。この子たちのおかげでこの後の仕事もがんばれたよー。


お世話になった皆様、ありがとうございました。


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2012年06月27日

フューチャーセンターについて話してきました

6月10日に、フューチャーセンターウィークのイベントで、静岡県立大学でやっているフューチャーセンターの取り組みについて話す機会を頂きましたので、行ってきました。

場所は、名古屋城の隣にある名古屋能楽堂です。久しぶりの名古屋!!時間が無かったので友人に会うことはできませんでしたが、懐かしい風景をたくさん見てきました。

この日は超快晴。夏が近いんだなーと思わされる空です。
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イベントは盛況。自分でイベントを企画するようになって集客の大変さを思い知りましたので、集客力のあるイベント主催者は素直に尊敬します。
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国保ゼミが静岡県立大学でやっているフューチャーセンターの取り組みを紹介させてもらったのですが、前提知識の無い人にいきなりフューチャーセンターの定義等から入っても消化しにくいだろうなと思い、フューチャーセンターを活用して「茶の和ロール」を開発したI田ちゃんにプロジェクトの経緯を話してもらいました。具体的にどんな活動が動いていて、どんな場面でフューチャーセンターが役に立ったのか、具体的な事例ベースで見ると分かりやすいんじゃないかと。ちなみにこのプレゼンストーリーを考える際にも、フューチャーセンターは使いました(笑)。

社会人の前でも堂々とプレゼンするI田ちゃん。逞しい。もう私は帰ってもいいんじゃないか。
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I田ちゃんの後に、少しだけ設計思想等のしくみの部分を私がお話させてもらいました。私は社会人と学部生との両方の教育に携わっているので「学生しかない強み」の部分がとてもよく見えるのですが、そのあたりを重点的に伝えてみました。当日の資料を置いておきますので、もしよろしければダウンロードしてご覧ください。
フューチャーセンター紹介資料@FC名古屋.pdf

終了後の懇親会では、世界の山ちゃんにいきましたよー。実は名古屋時代は手羽先を食べたことがほとんどなかったので、新鮮な気持ちでいただきました。濃い味付けは名古屋メシだなーって思いますね。

ランチのきしめん&天むすと、山ちゃんの手羽先。きしめんにシャチホコのなるとがのってる!
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こうやってお話をする機会をいただくと、自分たちがやっていることを言語化するきっかけになりますので、有難いですね。





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2012年04月18日

国保ゼミ2011年度の活動報告書をつくりました

国保ゼミ発足2年目にあたる、2011年度のゼミ活動報告書をつくりました。
色んな方のご支援で学生たちが貴重な経験をさせていただいていることに感謝をこめて。

国保ゼミ活動報告2011表.pdf
国保ゼミ活動報告2011裏.pdf

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(※ご自由にダウンロードください)



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2012年04月16日

cbook2.0と、大学生の開発プロジェクトについて

国保ゼミ1期生の鈴木くんが手掛けていたcbookプロジェクトが、このたび新メンバーにて生まれ変わります。その名も、cbook2.0プロジェクト。引き続き、数学研究室とのコラボです。

スタートアップのメンバーが卒業でかなり入れ替わったのを機に、このアプリの目的というかビジョンを、フューチャーセンターにてゼロベースで再検討しました。私も大昔にシステム導入に携わっていたことがありますけど、使われるシステムになるかどうかは要件定義次第。特に今回は、既存の業務をシステム化するわけではなく、世の中に存在しないアプリを作って周囲の人の行動に変化をもたらすタイプのプロジェクトなので、要件定義を想像でやらなくてはならないところが難しい。

ちなみに、このタイプのアプリの好事例は“すごい時間割”だと思います。大学生がタイムスケジュールをシェアすることで新たな価値を生み出すスマフォアプリ。これ、開発者は現役大学生ですが、設計思想が素晴らしい。この時間割を介して繋がるというニーズがあることに気付けたのは、現場をよく理解していたからだと感じる一方で、実際にアプリというものが現れた時、その存在がもたらすインパクトの大きさにもわくわくします。この目の前の人の困りごとを解消することと、世の中に与えるインパクトの大きさをイメージすることとのバランスが非常に大事と思います。

さてcbook2.0は、ミーティングの結果、”県大生が世界一気軽に自分の「やりたい」を見つけられる/伝えられる場をつくる”という目的を設定しました。この日のミーティングはとてもいい雰囲気で進み、2つの組織が一緒に新しいことを始める際のわくわく感に満ちたものになりました。数研と国保ゼミでは専門性が違うので、気にするポイントや議論の進め方も違うのですが、その違いを互いにリスペクトし、いい方向に利用し合っているという感じでした。まずはそういう空気を共有することが大事なのではないかと思います。

議論の記録。
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ビジョン決定後の記念撮影、皆いい顔してます!
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そして後日通りかかった数研の部屋のドアの前にはこんな張り紙が・・・(ポストイットに注目)。コラボを楽しんでもらえてるのだなあと、嬉しくなりました。
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2012年03月30日

四銀「経営情報」に寄稿しました

四国銀行が発行している機関紙「経営情報」に寄稿させていただきました。
静岡県立大学でやっているフューチャーセンターの紹介です。


四銀「経営情報」2012-3.No.125.pdf


よろしければご覧ください。


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2011年11月28日

島根県の海士町に行ってきました。

ちょっと古い日記になりますが、島根県・隠岐諸島にある海士町に行ってきました。島根県だけど、アクセス的には鳥取県の米子空港経由が近いです。ラストワンマイル(といいつつ100マイルくらいですが)は、本土からのフェリー約3時間の旅です。
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この海士町、面積33.5㎢、世帯数1,100世帯、人口2,451人(2007年8月末)といういわゆる離島にありがちな人口動態を見せる、少子高齢化の町です。しかし海士町は、大きな地理的ハンディを抱えつつもなぜかIターンが多いことで有名なのです。今回はそこを探りに行ったわけではないけど、ヒアリングの機会をいただいて見えてきたことがあるので、少し記録しておきます。

海士町の風景。海が近いところが、さすが「島」。
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島!!
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一方でこんな田園風景があるのが意外。
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それではまず、海士町に関するデータをいくつか。

fig.1 島根県平均・県庁所在地の松江市・海士町の年齢構成比較(2010)
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fig.2 海士町の人口推移(〜2005)
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fig.3 海士町の年齢別人口(2005)
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fig.4 海士町の人口動態の変化
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fig.3をみると、20代前半がポコンと少ないのが分かりますでしょうか。これは、島に大学がないため高校や大学への進学のために子どもが島を出るものの、島内に就職口がないためにそのまま帰ってこられなくなるからなんだそうです。その結果、島内の小中学生にとっては身近なロールモデルが不在という状況となり、自分の将来のビジョンを描けなくなっていたとのこと。生産年齢人口減少は税収減に繋がるので好ましい状況ではありませんが、さらに若年層が欠落していることでその下の世代が将来ビジョンを描くことができず、島で暮らす将来を描くことができず、島外への人口流出が加速し・・・という流れになるそうで。そこで、このあたりの世代を外部の人材で補うことにしたんだそうです。

同時に、この町の再建のためには地域の人の意識変革が必要だと判断した町の役場の人たちは、外部の人との交流でそれをもたらそうとしました。しかし東京から海士町に来るには、交通費としてかなりの金額がかかるため、20代若者が訪れるには負担が大きすぎる。そこで考えたのがAMAワゴンという、交流プログラムです。2006年から、これで大量かつ継続的に若者を島につれてこれるようになりました。そして、島に若者の姿が見えるようになったことで、子どもが島の良さを見直し、自分の将来について前向きに考えるようになり、そして子どもが島のよさを見直したことで、親も見直すようになったんだそうです。

公務員という立場でこういった企画を実現するのは相当ご苦労が多かったようですし、ずいぶん批判もされたようですが、数年たって効果が見えるようになってからは周りの理解が進んだそう。今回お話をうかがって、私はこの企画がこの町の大きなターニングポイントだと感じましたので、素晴らしいご英断だったと思いますし、実施に携わった多くの方の行動に敬意を感じます。実は、個人的には、これまでなぜ若者を地域に大量に連れて行くのか、はたしてその活動が短期的な観光収入以外のどこに貢献するのかということを疑問に思っていました。外部の人が短期間だけ地域を訪れて騒ぎ、地域コミュニティをかき回して帰っていくという現象を見て、何が目的なのかどういう効果があるのかいまいち納得できていなかったのですが、今回のお話を伺って腑に落ちました。また、問題構造と解決のメカニズムが理解できたことで、自分のフィールドで再現することも可能だと思います。意義深いヒアリングでした。

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ちなみに、海士町にとっては1999年が大きな節目となっています。第三次海士町総合振興計画、通称「キンニャモニャの変」では、平成の大合併の時代に合併を拒否した町として、町職員が生き残りをかけて「自らが汗を流して、わが町の自慢になる顔を作ろう」と目標を掲げたそうです。某課長は財政を見ていたこともあるのでしょう、「夕張市(破綻)への道が見えていた。自分たちが変わる以外に道が無い、というところまで追い詰められた」という当時の危機感を語ってくださいました。しかし自分の身を削らない改革を行政が一方的に押し付けても町民に支持されないだろうということで、三役・議員・教育委員・職員が給料カットを受け入れ、改革のための資金を捻出したそうです。これもまたすごい判断ですが、確かに、自分は安全なところにいる人にお前は変われって言われたところで、耳を傾ける気にならないよねえ。海士町ではその結果、「役場の職員がそこまでやっているのに自分たちは何もしなくていいのかと住民が思うようになった」そうです。

その意識変革をベースとして、いくつか産業を興して育てています。環境が環境なので、第一次産業に注力せざるを得ないということで、島外で販売し外貨を稼ぐための新しい産業を次々に打ち出しています。

海士町の外貨獲得戦略@ 牡蠣の養殖
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海士町の外貨獲得戦略A 隠岐牛
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そのほかにも、特殊なCAS冷凍技術で輸送するイカ、天然塩の製造、ナマコ養殖などの産業を見学させていただきました。


それから、今回の海士町訪問では、昔KBSの地域起業家養成講座を受講してくれていたOBとか、ちょうど同時期に視察に来ていたいろどりの横石さん社員さんたちと再開する機会となり、非常に嬉しかったです。一晩など、ご自宅にお招きいただき、とれたての海の幸満載のごはんをいただきました。都会にいるとあまり誰かのお宅にお邪魔することってないので、とても新鮮で、とても楽しかったです!

「さっき釣ってきました」というイカとサザエ。うまー!
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ふくぎ茶のパンナコッタという名作が生み出されたのも目撃しました。
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教育って、伝達する知識情報だけでなく、こういった繋がりを生み出す効果もとても大きいと思います。こうやって人のつながりが生まれ、続いていくのって大変ありがたいこと。改めて自分は幸せな仕事をさせていただいてるなあと感じます。


ここにも海士町レポートが。
地域再生の現場から: 海士町の新たな挑戦 〜「最後尾から最先端へ」〜




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2011年10月27日

井川紀行(秋編)

8月に続きまして、またもやお仕事で井川に行ってまいりました。
前回の訪問はこちらで紹介しています。
井川紀行・その1(SL編)
井川紀行・その2(生活編)
井川紀行・その3(ノルディックウォーキング編)

今回は10月ということで、紅葉には少し早い秋を堪能してきましたので、そのご紹介を。今回は宣材を撮ってもらうためにカメラマンさんが同行しましたので、一部プロの写真が混ざっています。「Photo by Yoshinori Mochizuki」の記載があるものがそれです。ブログ用ということで私の方でリサイズしてますが、オリジナルはもっともっとキレイな写真なのですよー。


さて、今回のツアー日程、1日目の朝は嵐のような土砂降りでした。こんな天気の中、果たして行って楽しいのかな〜という不安にかられましたが、SLの駅に着いたころには小雨になっていましたよ!さすが自称晴れ女!

今日もSL乗るよー!(さすがプロの写真はキレイ)
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Photo by Yoshinori Mochizuki
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Photo by Yoshinori Mochizuki
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Photo by Yoshinori Mochizuki  

小雨は降るものの、車窓からの茶畑を楽しみつつSLの終点千頭駅まで行く。千頭駅から赤い車両がカワイイ井川線に乗り換え。
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Photo by Yoshinori Mochizuki
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Photo by Yoshinori Mochizuki

SLの始発駅を出る頃は、千頭駅から先の井川線が大雨のために一部運休しており、井川まで行き着けるのかどきどきでしたが、途中で全線復旧のアナウンスが入る。やった!保線の皆さんお疲れ様ですー!!

無事井川についたものの、この日はまだ雨が降っていたため、散策は止めて現地の方との打ち合わせを実施。色んな意味ある情報交換が行われ、なんとなく記憶に残る打ち合わせになりそうな気がしたので、写真にて記録しておく。こういう、その時の空気をリマインドさせる写真が私は結構好きです。
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夜は宿「ふるさと」のご主人と飲みながら話す。
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Photo by Yoshinori Mochizuki

このご主人はなんと「猟師」で、鹿だの熊だの猪だのの猟の話をしてくれる。これがすんごい面白い。こういう野生の獣も市場があって、鹿は○円、猪は○円とかいうのが決まっているそうです。猟師さんの話をまともに聞くのって初めて。リアルなお話に大爆笑の夜でした。お膳には熊肉や鹿肉、山野草・薬草のてんぷらやヤマメなど、ご主人が山で採ってきたものがずらりと並びます。うまし!


翌日は見事に晴れました。この日は、宿のご主人に連れられてしいたけ狩りとはちみつ採集へ。

しいたけモリモリ!
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Photo by Yoshinori Mochizuki

これを手でもいで採集します。
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Photo by Yoshinori Mochizuki

はちみつ採集は、ちょっと危ないので体験ではなく見学で。網を被ってます。
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Photo by Yoshinori Mochizuki

初めて見る「採りたてのはちみつ」はこんな美しい金色でした。
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そのほか、湖のそばでノルディックウォーキングをやったり、
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Photo by Yoshinori Mochizuki
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Photo by Yoshinori Mochizuki

地元のお祭りの餅撒きに参加したりして、
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Photo by Yoshinori Mochizuki

2日目は過ごしましたー♪

それにしても、なぜか訪問するたびに井川が好きになっていきます。なんでかなー?あの地元の人たちが醸す緩やかな空気のせいでしょうか。日本の良さが凝縮して残っているような感じがするのです。何となく、ほっとするし、肩の力が抜ける。


井川ツアーは11月、12月も実施する予定です。11月はほとんど枠が埋まっているけれど、今後参加を希望する方は国保までご連絡ください。ウェイティングリストに載せておきます。



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2011年08月24日

学生に読ませたい図書「私の1冊」(大学広報誌より転載)

現在勤務している静岡県立大学には、「はばたき」という名の広報誌がありまして、そこに教員がオススメ図書を紹介するリレーコラムがあります。このたびその原稿を依頼されまして、寄稿しましたので、こちらにも転載しておこうと思います。

オリジナルはこちらに。

 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ 

"ハーバードからの贈り物(原題:Remember Who You Are)"
デイジー・ウェイドマン

私は経営学の研究者として、マネジメント(経営)という感覚が一般的でないところに、マネジメントを適用する研究をしています。元々マネジメントとは効率的な目的達成のために開発されてきたツールであり、利益最大化を目的とするケースが多いものの、非営利組織がより効率的な運営を行う行動もマネジメントです。その中で、マネジメントを行うリーダーのよしあしで組織が幸せになったり不幸せになったりするのを見てきました。そのため現場を統括するリーダーに適切なマネジメントの研究と教育を行うことで、生き生きと働く現場の人を増やしていきたいと考えています。

ところで「リーダー」というと、多くの人は組織のトップではない自分には無縁だと考えがちです。しかしリーダーとは、リーダーシップを発揮する人のことであり、リーダーシップとは影響力のことです。役職に関わらず、影響力をうまく行使することで誰もがリーダーとなる要素は持っています。そしてリーダーシップに関する私の座右の書が、この本です。ハーバード・ビジネススクールでは、講義の最後の1コマを使って、学生すなわち未来のリーダーに向けて教授陣が訓話を贈る慣習があり、本書はその訓話を収録したものです。これから社会に羽ばたいてゆく教え子たちに、ビジネスやアカデミックのフィールドで多くの実績を積んだ教授陣が、自らの経験に基づいたエピソードを添えて、「自分はどのようなリーダーでありたいのか」を考えるきっかけを与えています。

私は、目指すところが分からずに迷いの多かった20代の頃に本書と出会いました。自分がリーダーに値するとは思っていませんでしたが、社会とどのように関わっていきたいかの指針をもらいました。本書には15の訓話が載っていますが、面白いことに自分の状態によって心に響く章が異なります。以前は理解できなかった章が後日読むと腑に落ちることも多く、いつしか自分の成長の定点観測としてこの本を開くようになりました。例えば、大学院修士課程でこれからのキャリアに迷っていたときは、自らに与えられた幸運を認識する重要性とそれに伴う責任について、九死に一生を得た登山での滑落事故の経験から語った『転落から高みへ』が、理想の姿と現実の不甲斐ない自分とのギャップに苦しんでいたときには、著名なリーダーも不完全であったことを語る『完璧を求めるな』が心に残りました。

他にも、元民間企業CEOの教授が、権力と地位を持った自分の影響力を正しく認識していなかったことで愚かな指示をしたという自らの失敗談を添えて語る『まずい食事と真実』、経営者の決断で人生を変えられる従業員は、誰かの父親や母親、息子や娘であることを忘れるなと、そのような従業員の一人であった母親に育てられた教授が語る『サラの物語』、故障によってバスケットボール選手生命を絶たれ、アクシデントの結果としてなった大学教員に天職を見出した教授が、今ここで経験していることには終わりがあることを意識し、大切にしなさいと語る『今という瞬間を生きよ』、不条理な試験の思い出とともに、正解を当てることより、限られた情報の中で持てる知識を使ってロジックを組み立てて仮説を立てる経験のほうが実社会では大事だと語る『剝製の鳥』、従業員が貴方のために働くのは、権力を持っているからではなくいい将来へ導いてくれると信じるからだと心理学者の教授が語る『なぜ人はあなたのために働くのか』、などの印象的な物語が本書には載っています。

なおこの原稿を書くために久しぶりに読み直しましたが、今の自分に響いたのは最終章の『自分を見失うな』でした。その教授は自分を見失うことなく高みを目指し続けることの重要さを両親から教わりましたが、その両親と同じく「貴方を信じている、貴方なら出来る」というメッセージを学生に送り続けることが、大学教員の仕事だと考えています。

ハーバードからの贈り物 (Harvard business school press) [単行本] / デイジー・ウェイドマン, 幾島 幸子 (著); ランダムハウス講談社 (刊) ハーバードからの贈り物/ デイジー・ウェイドマン, ランダムハウス講談社

Remember Who You Are: Life Stories That Inspire the Heart and the Mind [ハードカバー] / Daisy Wademan (編集); Harvard Business School Pr (刊) Remember Who You Are: Life Stories That Inspire the Heart and the Mind / Daisy Wademan; Harvard Business School Pr


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2011年08月20日

井川紀行・その3(ノルディックウォーキング編)

井川紀行・その2に続きまして、その3ではツアーのデザインの部分を少し。

この観光商品開発プロジェクト、井川ツアーの目玉として、「ノルディックウォーキング」との組み合わせはどうだろうか?と考えています。

ノルディックウォーキング(以下NW)の詳細はリンク先を見てもらうとして、個人的に井川×NWがいいなと考えている理由は;
・井川の標高や気候がNW向きである
・自然を楽しみつつ、腰や膝に負担のかからない有酸素運動が出来る
・やりながらこら話が出来るので、親睦を深めやすい(ゴルフと一緒)
・まだ知名度が低いスポーツなので話題になりやすい

そして今回は、とりあえず井川×NWの可能性を探ろう!ということで、ポールをお借りしてひたすら(total5時間)歩きまくりました。写真のモデルは、今回同行してくれたS藤くんN嶋ちゃんです。


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スタート!

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最初は町の集落を抜けて。

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こうやって林の中の道路を歩きます。車はあんまり通りません。

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NWのいいところは体力差があっても一緒に楽しめるところ。しかも歩きながらたくさん話が出来るのに、かなりの全身運動なのです。そしてあまり意識しないけれど、このポールには相当助けられてます(外すと急激に疲れることで分かるのです)。

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林を抜けると、井川湖(ダム湖)があります。天気も快晴!

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しばらく歩くと、井川湖にかかる井川大橋が見えてきました。

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井川大橋は吊り橋です。渡ってみる。

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吊り橋の上はこんな感じ。なんと車も通れるのです。(私は怖くて通る気にならないけど)

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橋の上からはこんな眺め。重なる山が美しい。

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この写真だけ、クリックで拡大します。橋の上からの風景です。

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橋を渡ってからは、また違う風景に。

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非常に静岡らしい風景ですよね〜。

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湖のほとりに降りてみる。釣り人がいました。

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また緑深く・・・

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小さな滝があったり、

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渓流があったり。

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獣道も歩く。

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獣道を抜けたところに船着き場があり、旗をあげて合図をしておくと迎えにきてくれます。

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迎えにきてくれた渡し船で村に帰り、ツアーは終了。


結論として、井川×NWは楽しいです!終わった後はいい運動をした、という疲れ方でした。話す時間が長いので、一緒に行ったメンバーともすごく打ち解けられました。

 ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇


井川紀行3部作はこれにて終了ですが、想像していた以上に井川には魅力が多いということがよくわかりました。後はこれをどう戦略的に位置づけて、どうやって売りこんでいくかです。一旦出かけてみれば惹きつけられるものはたくさんありますし、口コミにも乗りやすそうなのですが、問題は最初の1回。数多くある観光地の中から、最初どうやってこの地を選び出し、静岡から片道4時間(ちなみに車だと2時間)の道のりを足を運ぶ気にさせるか。ここをちゃんと考えないと、「いいものを作ったのに売れない」というありがちなパターンに陥るんだろうなと思います。井川にしかない何かをどうやって・どの層に伝えていけばいいかなあー。宜しければご意見くださいませ。

また、10月にモニターツアー第2弾を企画しています。行ってみたいな〜という方がいましたら、ご連絡ください。この時期は紅葉が美しいと思いますよ。






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2011年08月18日

井川紀行・その2(生活編)

井川紀行その1に続いて、その2では、井川での生活や人の側面を紹介したいと思います。

井川では、観光協会会長さんと地域に住む中学3年生の3名(これが全員)にご案内をいただきました。普段大学生には接している私ですが、中学生は久しぶり。話合うかしら?と思っていたのですが、この3人がすんごい素敵!男の子2人と女の子1人なんですが、すごく仲良しで、井川への想いから将来の夢までいろいろ語ってくれました。(プライバシーのため解像度を落としています)
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現在井川には、中学生が8人、小学生が5人、幼稚園児が6人いるそうです。井川は高校がないため、中学を卒業すると皆村を出て行きます。でも、高校や大学を卒業した後に井川に戻ってきたいと思っても、村内では仕事が無いために難しいんだそうです。その結果として村内には20代30代の人がほとんどいないそうで、ロールモデルの不在ゆえに、彼らは自分の10年後20年後がイメージできないとのこと。

今回の仕事は観光商品を開発することで井川への訪問者を増やし、地域の活性化に繋がることを目的としていますが、一方で私は、外から人を一時的に呼んでくることが地域のためになるとは限らないとも考えています。だいたい、それは外部の人間が一方的に決めることでもないと思う。なので、まずは井川の将来を担う人材にヒアリングをしてみたかったのです。ぶっちゃけ、ここで外から人が来ることが好ましいと思われないなら観光商品を開発する意味はないよね〜と思いつつ。

単刀直入に「井川に外から人が来るのは嬉しい?」と尋ねた私に対する回答は、
「嬉しい。寂しくないから。行事とか一緒にできたらいいなと思う。」
「嬉しい。人が減って高齢化が進んでるけど、色んな人が来ると活性化する。井川のいいところを知ってほしい。」
「普通。来てもらっても何も出来ないから。でも、村を案内してって言われれば嬉しい。事前に言われれば準備しておく」
というものでした。

また、「20年後の井川はどうなっていてほしい?」という質問に対する回答は、
「人口が減っているので、無くなっちゃうんじゃないか」
「年15人づつ減っているので、将来が計算出来てしまう。悪いことならいっぱい想像できる」
「交通の便が悪いので人が来ない、人がいないからお店が成り立たない」
「いっぱい人がいて、気軽にどんどん遊びに来る人がいてほしい」
「井川に人が来て、いいところだということを分かってほしい。そして住んでくれたらもっといい」
「現状を保つのが最低ラインで、明るくなればもっといい」
「変わらないのが一番。どうしても変えないといけないのなら、一部だけ」
「変わってほしくないのは優しいところ、近所づきあいがいいところ、人柄、自然」
「職場環境と雇用は増えて欲しい」

などが出てきました。しかも、びっくりするほどしっかりとした受け答えをしてくれる。
ううむ、自分は中学生のときにこんなに地域の将来のことを考えていたかなあ・・・。

自分のことを顧みてふと恥ずかしくなったりもしましたが、とりあえず彼らの意見を聞いて、外から人が来るきっかけを作ることは多少なりとも井川の人に喜んでいただけそうだというのが確認できたので、頑張ってツアー商品を作ろうという気持ちになりました。そして、彼らのような地元の中学生に案内役をやってもらうことで、彼らにとっては珍しい、若い人との接触を増やすことが出来ればいいなと思います。

彼らには、少し村を案内してもらいました。

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吊り橋。揺らすなあーーーー!!まじで怖いよここ。

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南アルプス井川観光会館“えほんの郷

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村の光景はこんな感じ。

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黒沢明の映画や、奥信濃ロケで撮影された「阿弥陀堂だより」を彷彿とさせます。


そして夜は民宿に泊まる。今回お世話になったのは「民宿やまいち」。民宿って久しぶりだなー!と私は思っていたのですが、同行した20代前半の2人はそもそも民宿というものに泊まったことが無かったらしく、すごく新鮮だったようです。曰く「私の年代だと、あのような民宿に泊まった経験があまりないので、とても新鮮で楽しかったです。まるで本当のおばあちゃん家に来ているような感覚でした。湧水が垂れ流しだったり、風呂場が温泉だったり、おばあちゃんがものすごく親切だったり、今回の旅で一番の思い出です」とのこと。

これは、30代の私にとっては意外な感想でした。私にとっては懐かしいものが、20代の人には新鮮なのですねえ。実際に訊いてみないと分からないことが多いんだなあ、とモニターツアーの重要性を改めて認識しました。余談ですが、SLに関しては「博物館でしか見たことがないから、これって本当に動くんだあと思いました」という感覚でした。ほお〜。


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とっても正しい民宿、という雰囲気。N嶋ちゃん曰く「おばあちゃんちに来たみたい」

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夜ごはんには地元でとれたあまごや野菜が並びました。しみじみ美味しい。

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おひるごはんには、そうめんをいただきました。

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この光景は、まさにおばあちゃんちで過ごす夏休み。

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お世話になった民宿のおかみさん。


井川紀行その3(ノルディックウォーキング編)に続きます。




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2011年08月15日

井川紀行・その1(SL編)

ただいま静岡市の産学連携事業として、静岡の井川(いかわ)という地域の活性化に繋がる観光商品の開発を手掛けています。

そのプロジェクトのために先日井川に行ってきましたので、そのレポートを3回に分けてお届けします!

今回はまずその1。往路のSL編です。



井川は市町村合併で現在静岡市葵区の一部となっていますが、もともとは「井川村」であり、静岡市街地より約60km、車でおおよそ2時間ほど走った山の中にあります。標高は約670mで、市街地とは5℃前後の気温差があり、夜はエアコン要らずです。

井川地区は、かつてはダム建設で栄えました。1957年(昭和32年)に完成した井川ダムは高さ100m超の中空重力式コンクリートダムであり、手掛けた中部電力としては初めての大プロジェクトだったとのこと。なおこのダム建設に伴って、550戸の井川村集落のうち主要集落193戸が水没することになったそうです。

井川地区はこのダムに多くを支えられています。1931年には金谷駅-千頭駅間(本線)、1954年に千頭駅から井川駅までの区間(井川線)が開通し、ダム建設用の資材や林業用の木材を運搬しました。大井川鐵道は資材運搬専用鉄道ではあったものの、貨車の後に客車を連結して井川村住民も無料で乗せたとのこと。井川線は開通後しばらくは中部電力の運営でしたが、1959年に大井川鐵道に経営が委譲されました。しかしこの語、井川村の人口は1961年の約8,400人をピークに減少し続けています。ちなみに人口はWikipediaの井川村を見ると650人となっていますが、静岡市の統計情報を見ると井川地区の418人となっており、井川村と井川地区では定義が違うのかしら、と思わされます。
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名鉄グループである大井川鐵道は、静岡駅から約30分のJR東海道線金谷駅と千頭駅を結ぶ本線、千頭駅と井川駅を結ぶ井川線に分かれており、本線は蒸気機関車(SL)の動態保存、井川線は日本唯一のアプト式鉄道という、お好きな方にはたまらない感じの路線となっています。なお本線は1日23本のうち3本がSLによる運行で、SL分はメールによる予約制をとっていますが、動きを見ていると、どうやら受付がメールなだけで処理自体が自動化されているわけではないもよう(笑)。裏で誰かが頑張っている姿を想像すると、なんか和むわぁ。ちなみに所要時間は、静岡→金谷(30分)、金谷→千頭(90分)、千頭→井川(110分)で、約4時間で3,660円の行程です。

それにしても、静岡にSLがあるなんてびっくりしました。
そして第1回目のモニターツアーは、私にとっても初めての井川訪問・SLデビューだったので、わくわくですよ!

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金谷駅からSLに乗りこみます。

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中はこんな感じ。レトロかわいい。

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車窓からの眺めは、こんなだったり、

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こんなだったり、

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こんなだったり。静岡らしいぃぃい!

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名物おじさん的な乗務員さんが登場し、ハモニカを吹いてくれるというおまけ付き。

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千頭駅に到着。ここから井川線に乗り換えます。

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井川線のアプト式の列車は赤くてカワイイ。

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赤いベンチシートがこれまたレトロかわいい。

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トンネルの高さに合わせてあるため天井が低いのです。ほら、ジャストサイズ。

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そして車窓はこんなかんじ。

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こんな風に林の中を延々と進みます。

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と思ったら橋も渡る。足元はすぐ渓谷なので、高所恐怖症の方はちょっと辛いと思います。

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周りには吊り橋がいっぱいあった。井川につくまでに10個くらい見た気がする。

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井川ダム。

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井川駅に到着後、井川地区に入るには陸路もありますが、井川湖の渡船を使うのがオススメ。

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出航後はこんな風景が広がります。この日は雨の後だったので少し水が濁っていますが。

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少し遠回りして井川湖にかかるつり橋「井川大橋」をくぐり、(このつり橋、車が通れるんです)

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井川の集落(本村)に到着です!


往路のSL編はここまで。その2(生活編)に続きます。




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2011年07月27日

メンバーの自主性を損なわない介入について

最近、ゼミ生が先輩としての行動を取るようになってきています。

先輩の自覚をもった行動、すなわち後輩の成長に責任を負った立場として自分を認識することは両者にとっていい成長のきっかけになるので、いいねいいね〜、と思いながら眺めていますが、どうも後輩の自主性を損なわないように介入するのが難しいらしい。どこまで手を出していいのか分からない、と言う声を複数人から聞いたので、参考までにレクチャーをしておこうかな〜と。

リーダーシップの理論の1つに、パス・ゴール理論というのがあります。

“パス・ゴールという用語は、優秀なリーダーは道筋(PassではなくPath)を明確に示して従業員の業務目標(Goal)達成を助け、障害物や落とし穴を少なくすることによりその道筋を歩きやすくし、結果として組織の全体的な目標にかなうという確信に由来する。この理論を開発したハウスは、「支持型」「支援型」「参加型」「達成志向型」の4つのリーダーシップ特性を規定した。この理論ではリーダー行動とその結果との関係性を結びつける2種類の状況変数・条件適合変数(環境的条件即応要因と部下の条件即応要因)を提案している。“(ロビンス「組織行動のマネジメント」10章より)

昨年の組織行動論で使った教科書なので、詳細は該当箇所を是非読んでください。

この理論を使ってリーダーの統制行動を整理すると、
 1)リーダーの役割は、メンバーの目標達成を助けること。
 2)リーダーの仕事は、メンバーが目的達成に必要な方向性や支援を与えること
 3)リーダーがメンバーや環境に欠けるものを補完する場合は好業績に繋がる
となります。

そしてこれを実際の下級生指導の現場にあてはめてみると、以下の通り。
 1)上級生の役割は、下級生が目標を達成するために支援すること
 2)上級生は、下級生が目標を達成するために目指すべき方向を示し、達成するため
  に必要な知識やツール等を十分に持っているかを確認する
 3)もし知識やツール等を持っていないければ、何が足りないのかを見極めて補完する
  ・そもそも何をすべきか分からない →目標を再提示する、具体的にイメージ出来るまで説明する
  ・目標を達成するための具体的な方法が分からない →具体例を提示する
  ・方法は分かっていてもチームでそれを共有していない →共有するための手助けをする
  ・共有していてもそれが自分たちで出来るか分からない →支援しつつやらせてみる
  ・ダメだしされたやり方の何が問題なのかが分からない →理由を説明しながらダメ出しをする

要はメンバーに何が足りないのかを見極めて、それがメンバーが自分で補えなさそうであればリーダーとして介入して、補ってあげる。自分たちで補えそうなら見守る。という単純なお仕事なんですが、これはチームが直面しているタスクの特性と、メンバーたちの性質にも大きく依存しまして、チームによっては最初から後方支援で大丈夫なところも、初動のところで多くの介入が必要なところもあります。但し、いずれにせよ必要なのは丁寧な観察です。観察なき介入は、たいていの場合逆効果になります。

なお経験値が足りないうちは、積極的に介入しても大丈夫です。例えば経験が少なくてやり方が分からないなら、他のグループのやり方を伝える等で、経験を補ってあげます。自分たちが出来るという自信がないなら、言葉をかけることで自信を補ってあげます。で、そのうちメンバーが経験と知識を蓄積し、メンバー間のコミュニケーションもスムーズになって自信をつけてきたら、リーダーは経験や自信を補うことは辞めて、後方支援にシフトします。つまり、リーダーはメンバーの成長に応じて、統制行動を変化させる必要があるということでもあります。

自主性を尊重するというのは、手を出さないということではなく、「相手のペースに合わせて」必要な手出しをするということだと私は思います。


【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ [単行本] / スティーブン P.ロビンス (著); 木 晴夫 (翻訳); ダイヤモンド社 (刊)
【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ [単行本] / スティーブン P.ロビンス (...


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2011年07月20日

チャレンジする場としての大学

昨年、静岡県立大学に着任し、ゼミ生を持つようになってから、ゼミの教育方針として、プロジェクトを担当してもらっています。基本は全員がそれぞれ自分でテーマを見つけて「リーダーとして」プロジェクトを1つ回すとともに、一方自分がリーダーでないプロジェクトはチームメンバーとしてサポートします。

このプロジェクト担当システム、学生が持っていた問題意識を後押しする形でなんとなく始まったのですが、やってみるととても学びが多いです。やっていく中でどういう教育効果があるのかもかなり見えてきたので、いちど整理するためにも書きとめておこうと思いました。

学生のチャレンジその@大学カイゼンプロジェクト
ここにも少し書きましたが、「身の回りの改善ポイントを自ら見つけて改善する」プロジェクトで、学生たちに自分の働きかけで周りが変わっていくことの楽しさを知って欲しいなと思ったことが直接のきっかけです。かなーり紆余曲折はありますが、学生意識調査、大学への提案活動、学外有識者とのコラボレーションなどを経験する中で、問題発見・解決能力だけでなくコミュニケーション能力が磨かれているなあと感じます。

興味深いことに、他所の大学でこのプロジェクトを紹介すると、すごく学生が反応してくれます。反応する理由を詳しく聞いてみると、意外にも学生は自分の大学を良くすることに潜在的な興味があるのですね。大学のルールは誰かが勝手に決めて押しつけてくるものだと思っている限りでは文句しか言わないのでしょうけれど、自分たちで改善余地があるということを認識することで、どんどん自分の大学を良くしてくれるんじゃないかと思います。

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学生のチャレンジそのAオープンゼミ
ゼミ生が企画したテーマで講師を招き、学生と学外の社会人が一緒に学ぶセミナー「オープンゼミ」を定期開催しています。これもここに少し書きましたが、最終的には40人くらいを学生3人で回せるようになっていました。今は2期生が入って体制を整え直しているため少しお休み中なのですが、このイベントはかなり学生の成長に繋がります。その理由を考えてみたところ、やるべきことがかなりパターン化しているので、リーダーとしてPDCAサイクルを回すための程よいトレーニングになるんですね。また、顧客の反応が分かりやすく、成果が目に見えやすいというのも効果があると思います。

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学生のチャレンジそのB新入生交流ツアー
当学部では、数年前から新入生のための交流合宿を実施しています。これまでは教員がほぼ全てのアレンジを担当していたのですが、より新入生に年齢の近い上級生がしたらいいんじゃないかと、今年はツアー内で実施するアクティビティ含め、3年生に企画・運営をやってもらいました。約1カ月前から何度もミーティングを繰り返し、迎えたツアーは「新入生の不安を解消する」という目的を十分に達成するものだったと感じていますが、同時にこのツアーを通じて、上級生たちが大きく成長しました。

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その理由を考えるに、上級生たちが後輩のために一生懸命企画を練っていく中で「先輩の自覚」が強くなったこと、またチームビルディングのアクティビティを通して新入生によるチームの発達段階を目の前で観察したことで、グループがチームになることの効果や、リーダーの楽しさを実感したことだと思います。つまり、終わってみれば下級生への価値だけでなく、上級生にとってのリーダーシップ・トレーニングとしてもまたとない機会だったのです。これは私にとっても大きな発見で、こういう機会は活用しなければなと思いました。社会においては、リーダーシップを発揮出来る人がとても価値を持ちますが、リーダーシップもいきなりやれといわれて出来るものではないので、練習の場があったほうがいいんじゃないか、それが大学だったらいいんじゃないかと思っています。

このツアーに関してはリーダーのS矢くんがゼミブログに感想を書いていますので、そちらもどうぞ。

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学生のチャレンジそのC学内SNSアプリの開発
ゼミ生のS木くんが中心となって、情報技術系の学生と一緒に、facebookを活用したアプリを開発しています。学部活性化というか、学部内の経営系を学ぶ学生と情報技術系を学ぶ学生との融合を目指しました。まあ、想定内のいろんなあんなこんながあるようですが、このプロジェクトを経てS木くんはびっくりするくらいリーダーとして成長しました。自分がその組織で出せる価値は何か?どうやったら周りが動いてくれるか?というところを徹底的に追及した結果だと思います。適度なプレッシャーは人を成長させますね。S木くんは「適度」じゃない!と言うかもしれませんが(笑)、外部クライアントがいないだけでもずいぶん違うと思います。ちなみにS木くんは、このプロジェクトでの経験で卒論を書くようです。


学生のチャレンジそのDフューチャーセンター
先日設立宣言したものの、中身の作り込みはまだまだこれからの大学内フューチャーセンター。学生たちと一緒に、世の中に未だ存在しないものを、自分たちで考えて創りだそうと頑張っています。先日はゼロックスさんのフューチャーセンターと、某社を見学し、クリエイティブ会議のやり方を聞いてきました。学生たちにも色んな感想や学びがあったようですが、私個人としては改めて多様性の重要さ、同じ発想をしない人の集まりだからこそ組織として価値を生み出せるのだということを感じまして、色んな人が気軽に訪れてくれる研究室でありたいなーと思いました。あと利益を目的としない組織のゴールの設定の仕方なども学ばせていただきました。これは私含め、現在進行形のチャレンジです。



他にも8月のオープン・キャンパス等いろいろと仕込んでいるものがあるのですが、これらの根底にある私個人の問題意識は、学部教育に携わる前に、企業の人材育成の現場で「今の若い子はチャレンジをしない」という声を頻繁に耳にしたことです。リスクを取らない、指示したことしかしない、すぐ凹むので叱ることができない、等の話をたくさん聞きましたが、なぜ若い子はチャレンジをしないのか、どんな構造的な要因があるのか、各所にヒアリングしたところ、彼ら彼女らは、“チャレンジのポジティブなイメージが無い”からチャレンジをしないのだということが分かってきました。小さな頃から親が先回りして危なそうな場所には近寄らせてもらえなかったり、そもそも周りの大人が人生においてチャレンジしていなかったり、等の理由から、チャレンジした結果、失敗して怒られたり笑われたりというマイナスのイメージは出来るんですが、結果的に予想以上の成果が出たときの快感や喜びみたいなプラスのものはイメージ出来ないんだそうです。

それが分かった時、そりゃあチャレンジする気にならなくなるなあ、と思いました。そして、であれば、チャレンジと成功体験を味わう機会を提供すればいいのね、と思い、大学をそういう場として位置づけたいと考えました。大学ほど、チャレンジしやすい環境が整っているところはないと思います。失敗が許されるし、学生ということで大目に見てもらえることも多いし、背負っているものも少ない。一度社会に出たことのある身としては、大変羨ましい状況です。そもそも、人は年をとればとるほど変化に弱くなるし、意識していなけれは視野もどんどん狭くなる。だから、若いときにチャレンジしようとしない人が、歳をとってからするのは結構難しい。(結果として成功体験を得られるに越したことはないけど)例え成功しなくても「チャレンジをした」という経験はその後の人生の財産となるから、学生のうちにたくさんチャレンジをしてほしいし、そのための環境を提供したいと思うのです。


いい仲間がいると、チャレンジは楽しいよね!!

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2010年11月12日

静岡県立大学での日々

すっかりブログはご無沙汰しちゃってますが、たまには近況などを。

この4月に静岡県立大学に赴任しまして、初めての学部教育に試行錯誤の日々です。
教員や研究者としてはひよっこもいいところなのですが、静岡気質なんでしょうか、同僚の先生方や職員、学生には大変恵まれておりまして、未熟ながらも貴重な経験をさせていただいてます。

特に学生が素晴らしいんですよ。
赴任するまでは社会人教育ばかりやっていて、社会経験のない学部生と触れることがほとんど無かったこともあり、「今の若者」に対する世間のネガティブな情報を鵜呑みにしてたんですが、いやー、いい意味で大きく裏切られました。彼ら彼女らを見ていると、日本の将来に希望を持つことが出来ます。(赴任前にもこれくらい元気な学生に会ってはいましたが、マイノリティだと思っていたんですよね。全然違った。)

そんな学生たちの活動を少しご紹介します。

まず、ゼミ生S木くんが手掛けている、経営情報学部ゼミ活性化プロジェクト
「Party Lab.」
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私たち国保ゼミ生は、経営情報学部生がよりアクティブに研究に励んでほしいという思いから、7月7日に経営情報学部ゼミ活性化プロジェクト「Party lab.」を企画しました。プロジェクトの目的は、ゼミ内での議論を活発化させるために親睦を深めることと、それぞれの目標を伝え合い、共有することでした。プロジェクトの準備にあたって、経営情報学部のほぼすべての先生方の研究室に直接伺いし、ご意見をいただいたり、支援金をいただいたりしました。また、何人かの学生からヒアリングし、ニーズや現状の把握にも努めました。プロジェクトを企画する過程では、ただ闇雲に方法を議論するのではなく、今まで勉強してきたものを活かして経営学の理論に沿って考えました。プロジェクトのミッションは何か、顧客は誰か、顧客の価値は何か、私たちの成果は何かなど、常に自分自身に問いかけ、よりよい価値を提供できるように工夫を凝らしました。準備の途中、プロジェクトの方向性や提供できる価値の捉え方などで、難航した時もありましたが、国保先生の後押しのおかげで予定通りの実施ができました。(静県大広報誌より抜粋)

この活動の素晴らしいところは、ゼミ生のS木君が自分で問題を発見(自学部の活性度が低い、学生同士の情報共有が出来ていない)し、その対策を自分で考え、そして自分たちだけで実行に移したところです。このプロジェクトを実施するにあたって、S木君をリーダーとするゼミ生は、他ゼミの学生や当学部の全教員にアポを取ってニーズのヒアリングをしていました。その過程で、「活性化」と一言でいっても色々な価値観があることを学び、各教員がどのような想いでゼミを運営しているかを知り、支援金(教員からのカンパ)をもらうことの意味を考えたりしたようです。(ちなみに私は着任早々で先生方の顔と名前がまだ一致しない時期だったのですが、彼らからヒアリングの様子を聞いたことで、各先生のいいところを知ることが出来たのが収穫でした。)

次は「大学カイゼンプロジェクト」
もともとは、学生たちが「学生室が〜してくれない」だの「学食がまずい」だの「大学の規則が〜」だの大学に対する不平不満をもらしていたのを聞き、「文句言うなら、自分で行動してからにしなさい」と私が言い放ったのがきっかけでした。私は行動していない人の愚痴を聞くのがかなり嫌いなんですけど、それだけでなく、学生たちに自分の働きかけで周りが変わっていくことの楽しさを知って欲しいなと思いました。今振り返ると、学生たちにとっては「自分たちで環境に働きかけてもいいんだ」という気付きは大きかったのだと思います。最初は恐る恐るでしたが、幸い当学は職員も教員もすごーく学生に協力的でして、学生たちが自分で設定したカイゼンのテーマを追いかけることをとても温かく支援して下さり、今では自信を持ってガンガン進めています。

そんな中でW辺さんは「逆走問題解決プロジェクト」を、I川くんは「学食の満足度向上プロジェクト」を、S木くんは「学内携帯電波カイゼンプロジェクト」を手掛けています。

「逆走問題解決プロジェクト」は、大学内にある一方通行の道路を原付で逆走する学生が居るという問題にを扱うプロジェクトです。学生に対する意識調査(アンケート)を実施したうえで、W辺さんがとりうる対策を提案にまとめ、学生部や教職員との意見交換の場を10月に実施しました。そしてW辺さんの提案をたたき台に、「学生の問題認識が薄い一方で、学生部による周知活動の効果は見られるため、さらに徹底した告知活動が有効ではないか」などの意見交換が活発に行われました。
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W辺さんは最初はちょっと頼りなかったんですけど、このプロジェクトを通じて眼に見えて成長していきましたね〜。人の成長を見るのはとても楽しいです。また、このいち学生の発案で始まった意見交換の場に、教員や事務職員の方が総勢20人ほど来て下さったことに、私はとても感動しました。学生のことをしっかり考えている、いい大学だなあと思います。そんなところで働けて幸せ。

I川くんの「学食の満足度向上プロジェクト」は、学生や教員が英気を養う場である学食をよりよい場にすることで、よりよい研究教育活動に繋げていきたいという目的のプロジェクトです。学食に関するアンケート結果の分析、利用者の動線の分析などをやっています。たまたま大学が大学記念行事予算を募集していたので、カイゼンの予算を得るために提案書を申請しているところ。また、うちの学生だけでは専門知識がないことで限界を感じていたのですが、たまたまtwitterで知り合った静岡出身・名古屋在住の若い建築家集団 studio nagoya さんが協力を申し出てくれて(!)、現在コラボレーションしながら提案をまとめているところです。
IMG_0850.JPG ←打ち合わせw/Pizza。

studio nagoyaさんの素晴らしいところは、I川くんたちの目的を理解した上で、敢えて彼の希望とは違う、でもさらに目的達成度が高い提案を低コストで出してくるところ。言われて気付くのだけど、こちらとしては何か新しいものを作ることが目的なのではなく、現場で働く人や顧客をよりhappyにすることが目的なので、目的が達成できるならアプローチに拘る必要はないんですよ。そういうところまで、ちゃんとヒアリングして提案してくれるのはほんと有難いし、今年大学を卒業したばかりの人とは思えないプロ意識だなあと思っています。

S木くんは「学内携帯電波カイゼンプロジェクト」を。当大学は茶畑を開墾した丘の斜面に建っているため、携帯電話の電波状況が最悪でした。かろうじてドコモは入るけど、ソフトバンクとauは校舎内で使えなかったんですよ・・・。圏外ってすごーく不便です。これも最初はぶつぶつ文句を言っていただけだったのだけど、周りの大人や大学職員の方の力を借りてわいわい頑張った結果、この秋からソフトバンクの基地局が設置され、auも来春を目処に改善されるそうです。圏内が当たり前の人には分かんないかもですが、これはかなりの感動の瞬間です。

なお、ゼミ生がこれらのプロジェクトを進めて行く際には、要所要所でその道のプロを呼んでお話を伺う必要に迫られました。そして、せっかく人を呼ぶのにうちのゼミ生だけに聞かせるのは勿体ないよね〜、もっと広く他ゼミや地域の人も一緒に話を聞いちゃっていいんじゃない?減るもんじゃないし!くらいのノリで、ゼミ生が企画と運営を担い、公開でゼミをやる「オープンゼミ」というイベントを企画、実施しています(学生が仕切るので、私は後ろで見てるだけなんですが)。これまで4回を実施してきましたが、だんだんゼミ生が企画に熟練してきて、先日の第4回は大学内外から約50人がお越しいただけました。地域の人の中には、うちのゼミ生に会うことが楽しいと言って下さる方も少なくありません。
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ちなみに、これまでの企画。
第1回 「やりたい仕事を自分で創る!!」
    〜病児保育NPOを立ち上げたマーケッター岡本氏に学ぶ経営とキャリア〜
第2回 「問題の本質はココにある!!」
    〜カイゼンのプロフェッショナルに学ぶ着眼点と問題の整理方法〜
第3回 「ヒトが集まる“面白い”場所をつくるには?」
    〜“交流する飲食店”パクチーハウス東京の店長に学ぶ店づくり〜
第4回 「誰でも街は変えられる!!」
     〜NPO事務局長に学ぶ絶対成功するプロジェクトの作り方〜

詳細は国保ゼミブログ(学生が管理)にも載っておりますので、そちらもよろしければどうぞ〜。

しかし、学生、教員、職員、地域の人が一緒になって何かを学ぶ場というのは、とても刺激的。そして(私も人に言われるまで気付かなかったんですけど)そんな機会は他にあんまり無いようで、新聞記者さんが取材に来てくれたりしました。
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そんな感じで、うちのゼミ生はなかなか忙しくも楽しくやっているようです。
私としては、ゼミ生がどんどん成長してきて色々勝手に動いてくれてるので、自分の仕事がどんどん楽になっているのが有難いです(笑)。




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2010年04月07日

静岡県立大学に着任しました

いつもお世話になります。

このたび、長年所属した慶應ビジネススクールを離れ、静岡県立大学・経営情報学部助教となりました。学部生と修士課程学生を対象に、経営学を教えます。
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これまでは社会人学生相手のお仕事ばかりだったので、実は学部生さん相手というのは初めて。日本の将来を担う若者の教育ということで、これまで以上の責任に身の引き締まる思いをしています。でも同時にとっても楽しみ。若い彼ら彼女らの可能性を広げるお手伝いが、少しでも出来たら幸せだなあと思いますし、私自身もたくさん成長の機会をもらえることでしょう。

この着任に伴い、生活の拠点を静岡市内に移しました。ただ相方が東京勤務なので、基本的に週末は東京の家で過ごしています。4月5月は桜エビの季節なので、オットが静岡に遊びに来ることも多いかとは思いますが(笑)。

一方、KBSの学生さんとこういう活動も始めました。
Management Impact
自分の判断軸や経営哲学を形成するために、ビジネスリーダーとしてImpactをManagementする方法を考える場として、経営者やビジネスリーダーとのディスカッションセミナーを開催します。詳細や開催内容はリンク先に載せていますので、ご興味あるかたは是非いらしてください。これは個人的にはずっとやりたいなあと温めていた企画なのですが、今回同志を見つけたので実施に至りました。

ご報告が遅れまして申し訳ありませんでしたが、そんな感じのばたばた&わくわくで始まった新年度です。

皆さま、どうぞ今後ともご指導下さいませ!

国保祥子


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2010年03月18日

KBSでマザーハウス山崎副社長の講演会やりました

過去日日記になっちゃうのですが、3月8日に慶應ビジネススクールに、株式会社マザーハウス山崎大祐副社長をお招きし、「経済性と社会性を両立するマネジメント」というテーマでご講演いただきました。

DSC_7504.jpg 爽やかイケメン経営者ですよー

今回はKBSだけでなく、同じ建物内にあるシステムデザイン・マネジメント研究科(SDM)などにもお声掛けしてもらったのですが、開けてみるとSDMのほうが関心が高いくらいでしたね。

さて、今回の講演会の目的は、「経済性と社会性を両立させる経営とはどんなものか?」を知ることでした。マザーハウスさんは自分たちを「ソーシャルビジネスだ」とは位置付けていないけれど、その社会性は誰もが認めるところ。しかも高品質のバッグという経済性も達成している。これは、本来ならば全ての企業のあるべき姿なのではないのかとずっと感じていまして、それを具体的にどうやってやっているのか、自分も知りたいしKBSの人にも知ってもらいたい。そう思って企画しました。もうひとつ、個人的にはソーシャルビジネスを扱った記事や事例紹介は賞賛色が強すぎたり、ミッションにフォーカスがあたりすぎていて、経営主体としての本質を知るまでに至らないことを残念に思っていたので、山崎さんのご理解のもと、社会性があることは前提としてそれをどう事業性に結びつけているのか?というところを中心に話していただきました。

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私の力不足ゆえ、参加者の意思決定トレーニングとまでは残念ながら到達できなかったけれど、一見とてもビジョナリーでありつつも社会性とストーリー性がバイアスとならないよう客観的数値指標などを持って経営をしていたり、若くて意識の高いスタッフがたくさんいたり、「定年退職されると困る」ような高齢スタッフを抱えていたり、等々の話を聞くことは、大変勉強になりました。

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後日参加者の感想を伺ったのですが、ソーシャルビジネスに対して興味はなくても、普通にビジネスを営んでいる人にとって学べるところが多かったようだと感じています。私個人としても、イノベーションにつながるヒントがたくさんあるなあと感じながらお話を伺っていました。なんというか、ビジネスの本質をきちんとやっているという印象を受けます。そして、ソーシャルビジネスに限らず、経営者というのは人を幸せにするお仕事だと私は考えているのですが、マザーハウスさんを見ているとそれを実感しますね。

KBSの公式ホームページにもレポートが載ってます♪
今回、KBSの契約カメラマンが写真を撮って下さったのでキレイ!!

山崎さん、本当にありがとうございました。



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2010年03月07日

ソーシャルビジネス・経営スキルアップスクール終了しました

ソーシャルビジネス・経営スキルアップスクール、終了しました。

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反省点や細かい失敗はたくさんあったのですが、企画から実施までを独りでやっているいつものマネジメント研究会と異なり、今回はプロジェクトとして関わっていますので、トライアル後のフィードバックが量・質ともにものすごく濃い。トライアルで得られた情報をもとに検討を重ね、構造的なコンテンツを作り上げることが出来ましたし、ティーチング面でもたくさんの改善につなげることが出来ました。チームで研修を作り上げるというのは、すごい効果です。そして、本番前にこういったトライアルの場を作ることで、いかに教育品質が向上するかも改めて実感。

4年越しの文科省事業、そして今回の経産省事業をずっと一緒にやっている先輩はいつも「教育品質は教員や教材ではなく、構造で保持するのが一番簡単。だから研修はきちんと構造化をしなければならない」と言っています。というわけで、ただいませっせと構造を作りこんでいるところです。教育は良くも悪くも人の人生に影響を与える可能性があるので、品質に妥協してはいけないですもんね。

4月以降に第2回トライアルを開催いたしますので、興味のある方はご協力いただけますと嬉しいです。

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2010年02月16日

ソーシャルビジネス・経営スキルアップスクールのご案内

(2/17 15:15修正)

本日は、いつものマネジメント研究会とは別に現在私がKBSで担当しております、さらに本格的なビジネス研修のご案内となります。

現在慶應ビジネススクール(KBS)は、株式会社ソシオ・エンジン・アソシエイツ特定非営利活動法人Social Innovation Japan株式会社ベネッセコーポレーションとともに、経産省委託事業として、「ソーシャルビジネス人材育成プログラム開発プロジェクト」を手掛けております。

そしてその中で、ソーシャル・ビジネスの起業あるいは発展を考えている方向けに、KBSが培ったケースメソッドによるビジネス教育のノウハウを活かした経営スクール「経営スキルアップスクール(アドバンスドコース)」を開発しております。全体で4コマのカリキュラムなのですが、このたびそのうちの1コマをトライアルセッションとしてオープン開催することとなりました。

本スクールでは、社会的課題へのアプローチの巧拙よりも、ソーシャル・ビジネスを「いかにビジネスとして成り立たせるか」にフォーカスを置いています。そのため「ソーシャル色が強い事業プラン」という特徴以外は、基本的には経営や起業における普遍的な事象を扱います。

社会的課題を解決するためのビジネスを考え付いた起業家が事業を形にしてゆくプロセスの中で、目的を達成しつつも収益があがり、持続性のある事業プランを作るためには、どのようなことに配慮しなければならないかを考えます。(個人的には、構造的・心理的に向かない事業もあるので、全ての社会的事業は事業収入で運営すべき!という思想を持っているわけではないのですが、事業にしたいと思ったらどうしたらいいのか、という示唆を提示できればと考えています。)

このスクールは講師が成功メソッドを教えるというスタイルではなく、ある起業家のケースを題材に、事業を形にしてゆくプロセスにおいてどういうことが起こるかを疑似体験し、目的を達成しつつも収益のあがる事業にするためにはどう判断するべきなのかを皆で考えます。

今回は通常のディスカッション授業の後に、その授業をデザインした講師(私)およびKBSのケースメソッド教授法の講師によるケースメソッド勉強会がありますので、将来ケースメソッド勉強会を自分で企画・運営してみたい方にとっても、参考になる内容になっております。(これはけっこうオトクです)

<詳細>
日時:
  2010年2月23日(火)9:30〜13:00 
場所:
 慶應ビジネススクール協生館4階 階段教室4(東急東横線日吉徒歩1分)
ケース:
 「茂木氏のスクール事業(仮題)」
テーマ:
 ソーシャル・ビジネスの事業化とその維持
想定する参加者:
・新規事業としてソーシャルビジネスを考えている方
・起業・事業化のためにスキルアップしたい方
・自分が上記の立場であるという仮定で参加いただけるKBS生

毎度のことではありますが、予習をしていただくことが参加の条件となります。今回は開発中のケースにつき、教材費・参加費は無料です。

ご参加希望の方は、2月19日(金)17:00までに、 akiko_kokubo☆yahoo.co.jp (☆→@)宛てで、件名「経営スキルアップスクール参加希望」でご連絡下さい。その際に、お名前、ご所属、メールアドレス、電話番号、参加の動機をお知らせ下さいませ。折り返し、ケースをお送りさせていただきます。

なお今回の定員は20名です。参加多数の場合は、誠に勝手ながら抽選とさせていただきます。

お勤めの方には厳しい日時設定で、本当にごめんなさい。また、今回は都合につき参加が出来ないけれど、次回以降の案内をご希望される方は、件名「経営スキルアップスクール案内希望」でご連絡いただければお送りさせていただきます。

皆さまのご参加をお待ちしております。

雰囲気はこんな感じ↓。
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posted by Kokubo at 17:01| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育と研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月20日

地域起業家養成研修・終了

KBS初の起業家向け遠隔教育「地域起業家養成研修」の、最後の授業が終わりました。最後は、日吉のKBSでのスクーリングでした。第4クール生の修了式後の受講生各自の一言コメントは、ジーンとしてもらい泣きしそうでした。全国の仲間の存在が、今後の皆さんの支えになるといいな、と思います。

今回は、通常のスクーリング後にこれまでのOBを招いたOBセッションを開催。現役15名+OB8名+地域エージェント6名の、合計29名の方が全国から集まりました。これで本プロジェクトは、とりあえずひと段落。

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地方都市に、ITシステムで教育を届けるというこの助成金プロジェクト。せっかくならそのメリットを最大限活かしたいと思い、離島やら中山間地などの地域を選んで提供してきました。ITで複数地域を同時に繋いで双方向のディスカッション授業をするというのはけっこうおカネがかかるので、その妥当性は常にクリティカルに評価してきたのですが、修了生の皆さんを見ていると、十分妥当だったと言えるのではないかと思えます。日本の離れた地域の仲間に出会えて、東京品質の教育を受ける機会が地元にいながらにして与えられたということは、地域への愛着や感謝の気持ちにもつながるみたいです。「地元でこんな仲間やカリキュラムには、絶対出会えない」という声は度々耳にしました。生活環境は地方都市で、知的刺激は都会と同等というのは、けっこう私的にも理想の生活ですねえ。

営利活動であれば規模の経済を追求せざるを得ないので、おそらく小さな地方都市にこのような教育を届けるのは難しかったはず。でも教育は長期的に経済活動に影響を与えるので、市場原理に従っていたら地方と都市の格差はさらに大きくなるでしょう。そのような教育機会の偏在という社会問題に助成金を投入することは、助成金の本来の目的に沿うものであるし、教育を通じた地域の経済発展策としては悪くないのではないかと思いました(手前味噌ですみません)。教育は、時間もかかるし歩留まりも100%ではないですが、でもいつかきっと返ってくる。どうせ投資リスクを背負うなら、私は、モノよりヒトに賭けたいと思います。

個人的にも、コンセプト段階から作り上げたこのプロジェクトでの経験はとっても学びが大きかったです。最初の方の開催クールはカリキュラムを作りながらまわしていましたが、クールを重ねるごとにシステムが安定し、地域起業家という人たちの特性に関する理解も進み・・・というプロセスを経験したのも大変だったけど楽しかった。リーダーやスタッフにも恵まれた。プロ意識の高い人とする仕事は、いつもとても楽しく勉強になります。

これからも関係は続くだろうし、今後の展開とか、残務もたんまりあるので感傷に浸っている場合ではないのですが、とりあえずもう受講生の皆さんに毎週(画面越しに)会うことはないのだなと思うと、寂しいですねーーー。

>受講生の皆さま
どうぞ今後ともよろしくです。時々は近況を教えて下さいませね。




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2009年12月09日

ニッポン商店街

慶応ビジネススクール「地域起業家養成研修」の、修了生の事業紹介ページが出来ました♪
これはもう、全国規模のバーチャル商店街と言っていいレベルですよ!

修了生の事業紹介ページ
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(画像はリンク先から拝借)


こうやって一覧すると感慨深い・・・。日本全国に仲間がいるというのは、モチベーションがかなり上がります。これぞ遠隔授業の醍醐味です。また、これはツールとしてのIT戦略としては、かなり正しいのではないかと思っています。ITって、それ自体を目的にして導入するとだいたい失敗するんだけど、目的がはっきりしていて、そのためのツールとしてのITという位置づけが明確で、ユーザーにとってもITを使うことで明確なメリットがあると感じられれば上手くいきますもんね。

しかし、皆さん元気でやってらっしゃるかな〜。15地域中5地域は未踏なので、いつか訪問したいなあ。

今月の19日には、本プロジェクトの最終セッションと、プラスOBセッションが開催されます。そこで久しぶりの顔にお会いすることができるのが、とってもとっても楽しみです。



posted by Kokubo at 10:19| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育と研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする