2013年05月06日

書籍サマリー「リバース・イノベーション」

Govindajaran, V. and Trimble,C., (2012) “Reverse Innovation“
ビジャイ・ゴビンダラジャン, クリス・トリンブル(2012) 『リバース・イノベーション』

【要約】
リバース・イノベーションとは、新興国で最初に生まれたイノベーションを先進国に逆流させるという、従来の流れとは逆のコンセプトであり、時に大きな破壊力を持つ。新興国の経済成長スピードは目覚ましいため、新興国発のリバース・イノベーションは大きなビジネスチャンスを秘めている。但し、新興国のニーズは先進国のニーズとは別物であり、ビジネス上の課題も異なることから、先進国で開発されたグローバル商品の機能を落として低価格にしたモデルを新興国で販売するという考え方ではなく、新興国のニーズに合わせた商品開発を一から行う必要がある。本書では、リバース・イノベーションの具体的なプロセスについて8つの事例を紹介している。

リバース・イノベーションを実現するためには、1)成功体験を捨てる、2)5つのニーズのギャップに着目する、3)川上へ遡るパターンを理解する、ことが必要だと述べられている。まずリバース・イノベーションは過去の成功体験を捨てることから始まる。現在の新興国は“過去の”先進国とイコールではなく、顧客ニーズも社会環境も経済発展プロセスも全く異なるという前提のもとで開発を進めなくてはならないのである。またリバース・イノベーションのためには、先進国と新興国における性能・インフラ・持続可能性・規制・好みという5つのギャップに着目しなければならない。例えば新興国では、先進国の15%の価格で50%の機能で(性能)、不安定な電力供給環境での使用に耐えうる形で(インフラ)、深刻な大気汚染への配慮をしつつ(持続可能性)、現地政府の規制に則り(規制)、現地の文化的多様性を取り入れた(好み)製品が求められているのである。そして新興国で生まれたイノベーションが先進国へ遡るパターンとして、先進国だけの市場規模では投資が正当化されないほど小さな「取り残されたニッチ市場」向けであるか、あるいは徐々にニーズギャップが縮むことで主流市場となりつつある「明日の市場」向けであるか、の2つのケースがある。例えばGEヘルスケアは2010年に小型で携帯可能な超音波診断装置(Vscan)を開発したが、この製品は2002年に中国市場向けに超低価格・携帯性(中国農村地帯の患者は診察のために都市部まで出向くことができないため)・使いやすさ(中国農村地帯では専門医療よりなんでも屋が求められる)に配慮してリバース・イノベーションを行った結果誕生したものである。同商品はその後画質を改善し、先進国での顧客にも支持されるようになった。このような市場は先進国だけでは小さすぎたのであるが、その後のニーズギャップの縮小によって、先進国にもイノベーションをもたらしたのである。

リバース・イノベーションを実現するためには、企業はマインドセットを転換せねばならない。そのためには、@新興国市場に重心を移す、A新興国市場に関する知識と専門性を高める、Bはっきりと目立つ個人的な行動で雰囲気を変える、の3つのステップが必要である。またマネジメントモデルも変える必要がある。例えば、リバース・イノベーションを実現することを目的とした特別な組織単位「LGT(ローカル・グロース・チーム)をつくり、実践からの学習を蓄積させるべきである。また、グローバリゼーションとリバース・イノベーションは相反するものではないことにも留意する。多くの多国籍企業において、グローバリゼーションは今後も国際競争力の基盤となり続け、リバース・イノベーションはそれを補助する存在であるから、2つは両立し、かつ協力し合う必要がある。なお自社の既存製品とのカニバリゼーションについての懸念は妥当ではない。多くの場合、新製品は既存製品の機能を完全に代替するわけではなく、むしろ市場を刺激して全体のパイを大きくするという働きをするからである。そして、そもそも自社がやらなければ他者に出し抜かれる。
 
リバース・イノベーションに限らず、新規事業には多くの障壁が立ちはだかる。しかしリバース・イノベーションを手掛けるリーダーたちは、自分たちの技術が多くの人々の生活を向上する可能性に情熱を燃やしており、その情熱こそが障壁を克服する原動力になると著者は言う。先進国が費やした半分の時間で、新興国は発展するだろう。そのために必要なのは慈善事業ではなく、多国籍企業が本業において成功をもたらすために必要なことをやるという姿勢である。リバース・イノベーションは慈善事業ではなく、れっきとしたビジネスである。


【補足】
ゴビンダラジャンは、経営思想家ランキングThinkers50(2011年度)で「イノベーションのジレンマ」のクリステンセン、「ブルーオーシャン戦略」のキム&モボルニュに次ぐ第3位に選出されている。また彼の「The $300 house」のアイデアは同年のThe Breakthrough Idea Awardを受賞している。


【感想】
個人的にオーバースペックな商品に辟易としてきた消費者として、このリバース・イノベーションが作り出すであろう市場の存在は直観的に理解できますし、また今の大学生世代を見ていても、お金がないというより、その金額を出してまで欲しいと思えるものが少ないのだろうと感じています。こういった状況の中で、新興国の生活改善と先進国の市場活性化につながるリバース・イノベーションは理想的な解決策に見えますが、これまでの大量生産時代での成功体験に縛られている企業にとって、このマインドセットの転換がどれほど困難かということも想像がつきます。本書の中でも既存の大企業がリバース・イノベーションを実現するための対策をいくつか述べていますが、その中にある「外部人材を活用した柔軟なチームをつくる」の一環として、例えばうちのゼミ生がやっている大学のフューチャーセンターなどはいい補完関係になるのではないでしょうか。リバース・イノベーションを実現するためには、既存製品の引き算ではなく、最低限必要な機能は何かをゼロベースで考えることから始める必要がありますが、これは学生が非常に得意とする思考プロセスですので。

またこの本は、私が311後の東北にイノベーションの片鱗を探しに出かけた理由を説明してくれました。日本の産業は制度疲労を起こしているところが少なくないなーと思っていますが、東北では良くも悪くもゼロベースで打開策を考えねばならない状況に陥っており、これはリバース・イノベーションが生まれる土壌ができているということだと思いますし、実際に現地に足を運んだ後はその思いを強くしました。だから震災前に戻すという考えではなく、リバース・イノベーションのためのチャンスを活かすという考えで現地企業は活動をした方がいいと思うし、現地以外の企業は支援活動としてではなく研究開発あるいは人材育成の一環として、東北に行ったらいいのにと思います。なおこの本の著者も、日本語版への序文に東日本大震災後に言及しています。

Chikirinの日記」にもレビューがあるよ。



リバース・イノベーション / ビジャイ・ゴビンダラジャン, クリス・トリンブル (著); 小林 喜一郎(解説) (その他); 渡部 典子 (翻訳); ダイヤモンド社 (刊)

(解説がKBSの小林先生だったー・・・。)



posted by Kokubo at 14:58| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月31日

書籍サマリー「ワークシフト」

facebookの方に書いたらいっぱいコメントとシェアをしていただいたので、こちらにも載せておきます。ロンドン・ビジネススクール経営組織論の教授が書いた「ワークシフト」が面白かったので、ざっくりサマリーを書きました。

【サマリー】
多数のヒアリングをもとに2025年に訪れるであろう「働き方」を想定し、その中で生き残っていくためにはどうすべきかを論じた本。今世の中で起こっている変化の先には、毎日時間に追われ、人間関係が希薄になり、貧困層が広がる未来が広がっている。しかし、ただ漫然と過ごすのではなく、主体的に選択して未来を築くことでその貧困と孤独から逃れることができるが、そのためには、これまでの常識の延長ではなく、働き方に関する3つの意識改革(シフト)を行う必要がある。

シフトその1.
ゼネラリストであることを止め、「連続」スペシャリストへシフトする。ITの進化等で、ゼネラリストレベルのスキルはほとんど誰でもできるスキルになりつつあるので、より価値を生み・希少性が高く・模倣しにくいスキルに特化すべし。また専門性は1つではなく、深い1つをベースに複数持つことで独自性を築くことができる。

シフトその2.
孤独な競争から、「協力して起こす」イノベーションへシフトする。イノベーションは複雑化しており、もはや1人でなんとかできる知識レベルではないので、周りの力をうまく借りるスキルが必要となってくる。そのためには、次の必要な3つの人的ネットワークが必要である:小人数のとても頼りになる同志「ポッセ」、アイデアの源となる大勢の知り合い「ビッグアイデア・クラウド」、心の支えと安らぎをもたらす絆「自己再生のコミュニティ」。

シフトその3.
大量消費から、情熱を傾けられる経験に重きを置く価値観へシフトする。伝統的なキャリアと仕事の形態が崩れて行く中で、個人の選択肢は広がっていく。しかし選択肢の増加はプラス面だけではなく、受け身でいると悪い方に状況は転がっていく。選択肢が増えることによる恩恵を受けるためには、主体的に選択することが大事、とくにその選択によって何を得られて何を諦めることになるのかまでを見越して選択することが大事。

【感想】
まとめてみると、2013年1月に放送されたNHK「ニッポンのジレンマ」の議論とも共通するところが多いなあと思いました。2025年(12年後)と言えば、今年卒業する学生が34歳という働き盛りになっている頃であり、私にとってはとても現実味がある未来です。本の中にはこうなるであろうという未来の事例が(1990年の世界と対比して)いくつか載っているのですが、確かにこうなるだろうなーと思えるものが多くありました。特に「漫然と迎える未来」は、既にもうその兆しが見えている気がします。ある程度の世代より上の人にとっては「贅沢」に見える取捨選択が、若い世代にとっては生存のための戦略なんですよ。


ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 [ハードカバー] / リンダ・グラットン (著); 池村 千秋 (翻訳); プレジデント社 (刊)


posted by Kokubo at 10:20| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月03日

リーダーシップ本

最近、お勧めリーダーシップ本を尋ねられることが多いので、メモっておきます。



リーダーはかくあるべしというような押しつけがましいものは嫌いな私が、最も素直に耳を傾けることができた本。ハーバードビジネススクールの名物授業で、これからリーダーとなる学生たちに向けて教授が自分の経験をもとに語るリーダーシップ論です。面白いのは、読むたびにお気に入りの章が変わるということ。その時の自分の状態で、響くものが違うのですね。




人間関係に悩んでいたときに出会い、それ以来のバイブルです。人を動かしたいのであれば、自分が変わらなくてはいけないのだということを教えてくれた本。




意志の人・小倉さんは、マイヒーローです。理と情のバランスのお手本。一度だけお見かけしたことがありますが、足を悪くされて杖をついていたにも関わらず、すごい存在感だった。




リーダーシップの理論を概観するのにとっても便利。理論をいかに実践に落とすかは読者次第なので、ざーーっと目を通し、自分にフィットしそうなやり方を採用するというのが本書の正しい使い方です。


コッターとかドラッカーは押しつけがましくてどうも苦手・・・。出来るんだったらやってます、という気持ちになってしまう。なぜそう考えるかに至ったか、というのが分かる方が私は好きなんですよね。

posted by Kokubo at 14:26| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月09日

映画日記

最近は「これは資料として使えるだろうか?」という視点で映画を見るようになってます。趣味と仕事の境界が限りなく低いですな。

地域の活性化はすなわち組織の変革ですが、変革はその関係者が気付き、変わらなくては起こりえません。その気付きと変化の過程がきちんと描かれているのであれば、フィクションでも十分教材になりうると考えているからです。教育者としては「気付きの過程」を見せることで人に「気付いて」もらいたいし、実践者としても具体的な「気付かせ方」の参考になるからです。

そういう視点で見た映画、2本分まとめてレビュー。

Read more?
posted by Kokubo at 02:27| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月08日

藤本隆宏「能力構築競争」

本書は、日本のものつくりにおける競争力が正当に評価されていないとの危惧から、ものつくり現場の組織能力や競争力を説明できる固有のロジックを確立することを目的として書かれている。


Read more?
posted by Kokubo at 08:29| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月14日

SSIRより「Capitalizing on Convergence」

本日の読書日記はStanford Social Innovation Reviewの論文です。


Capitalizing on Convergence
by Austin, Gutierrez, Ogliastri, & Reficco
Stanford Social Innovation Review , Winter2007

【要約】
これまでNon-ProfitとProfitは別物だと思われていたが、世の中が変化するにつれ、両者の境界がどんどん消滅している。特に次の4つの領域では、著しくノンプロフィットとビジネスの統合が進んでいることが我々の研究で判明した。

1)Creating Value
2)Managing Stakeholders
3)Restructuring Organizations
4)Mobilizing Capital

ノンプロフィットとビジネス、そして社会全体においても、こうした複数セクターが融合することで機会は生まれる。但しその機会を活用するには、新たな経営上の考え方を持たなくてはならない。

Read more?
posted by Kokubo at 15:57| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月03日

「実践!日本型ケースメソッド教育」(高木晴夫,竹内伸一)

私の所属しているビジネススクールはケースメソッドを標榜しています。

ケースメソッドほど「百聞は一見にしかず」なものはない気がします。私自身も入学前は、所詮は机上の空論だろうと思ってたんですが、いい意味で大きく裏切られましたよ。学部時代は毎回毎回授業で寝ていた私が、全然眠くならない授業、それがケースメソッドでした。ケースメソッドは実践力を養うための教育法だと言われ、特にある程度自分の中に考え方の型みたいなものが出来ている人(通常は社会人)には、非常に効果的な学習法だと思います。

仕事上の修羅場経験が成長に繋がる、というのは社会経験のある人には実感できると思うのですが、この修羅場経験を疑似体験するのがケースメソッドです。所詮は疑似体験なので適当な意思決定をしたところで痛くもかゆくもないですが、ここで如何にリアリティを持って熟考できるかがそのまま自分の学びの深さになります。そしてその学びは、ディスカッションで他者の意見を聞くことで更に深まります。自分の視野が如何に狭いものだったか、ものごとの一面しか見ていなかったのかを気付かされる、それがケースメソッドです。

例えば「ストレスマネジメント」という授業の中で、うつになった部下の処遇に悩むマネージャーのケースをやったときには、「これまでが甘やかされすぎだったんだ」「支援するのが当然だろう」「その人のために発生する負担を周りが被るのは管理者としては認められない」「そんなのにいちいち対処してたらきりがない」「そういう人を切り捨てていたら現場はあっという間に人不足になるんだよ」「向いてないなら解雇するほうが優しさだ、若いうちなら次も見つかりやすい」「法的にどうするんだ」「個人では何とかしたいと思うのに、職務上実際にクビを言いわたさなくてはならない人事部の気持ちを考えたことがあるか?」「こういう痛みの分かる人は会社の資産である、教育係として活用すべきだ」等々、各自のこれまでの経験に基づいためちゃくちゃリアルなディスカッションが交わされ、大変勉強になりました。授業中なのにみんな真剣に悩みはじめたあの授業は、記憶に残る名ケースの1つですねえ。そして一度こういうディスカッションをしているからこそ、今後自分が実際にその立場(部下にしろマネージャーにしろ)に立ったときにも焦らないんだと思います。

とまあ、私は基本的にケースメソッドはすごくイイ!と思っておりまして、だからこそ博士課程にまで進んでしまったわけなのです。で、このケースメソッドが何たるかを説明する本が日本語ではあまり無かったのですが、わがビジネススクールの先生と先輩がついに書いてくれました。ケースメソッドを企業内研修として取り入れている事例を紹介しつつ、ケースメソッドに関するあらゆる疑問に応えてくれます。ケースメソッドって何?何がそれで学べるの?と考えている全ての人にお勧めです。

しかし、もう一回言います。ケースメソッドは「百聞は一見にしかず」です。
一度ご自分でも機会を見つけて、実際に体験してみることも、同時に強くお勧め致します。


[タイトル] 実践!日本型ケースメソッド教育
[著者]高木晴夫,竹内伸一
[出版社] ダイヤモンド社

posted by Kokubo at 20:57| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月02日

「概論 ソーシャル・ベンチャー」(神座保彦)

ビジネススクールの先輩である神座さんの2冊目の本。本書では、元凄腕ベンチャー・キャピタリストの目から見たソーシャル・ベンチャーが、鮮やかなロジックで説明されています。ソーシャル・ベンチャーを含め非営利組織のジャンルの本は、どうしても事例集や精神論が多く、常々フラストレーションを溜めていた私にとってはまさに「こういう本が欲しかった」(というか書きたかった!)という内容です。この本は、事例集とは一線を画すために、敢えて固有名詞は伏せてあります。事例集は読み物としてはいいけど、それ以上の何かがないと次の展開へと繋がらないと思うのですよね。だからこの本に関しては、(決して身内びいきではなく)手放しで天晴れと言いたいです。

非営利組織でのボランティア経験と、営利企業での社会人経験を踏まえた上で思うのは、社会貢献と利益追求は決して排他関係ではなく、むしろ補完関係であるということです。この社会貢献は社会性追求と言い換えてもいいでしょう。でも、非営利の世界ではカリスマリーダー論や精神論ばかりで、営利の世界にいる人間が理解できる言葉での説明がなされていないため、営利のロジックで生きている人間からは非営利組織は遠いもののように見えてしまう。特に組織内の結束が強ければ強いほど、組織外の人間は取っつきにくく思えますよね(今ではこの現象もソーシャル・キャピタル論で説明できますが)。営利のロジックで非営利組織を説明できるようにならなければ両者のブリッジングは出来ないと思ったからこそ、私はビジネススクールで非営利組織を研究しているわけですが。ドイツ語しか分からない人に、中国語で説明してもだめではないかと。

ちなみにこの本は、一貫して「営利から見た非営利」という視点で書かれているので、この本の内容を理解できない、もしくは反発する方というのは、(自覚が無くとも)非営利色がかなり強いのだろうと思います。当然ながら、どちらかがより優れているという議論ではありません。でも自分の立ち位置を意識し、違いは違いと認めた上で他者を受け入れるようにしなければ、この分野の研究は進まないのではないのだろうかということを危惧しているのです。目的は自己肯定ではなく、ソーシャル・ベンチャーの発展なのだと思うので。


[タイトル] 概論 ソーシャル・ベンチャー
[著者] 神座 保彦
[種類] 単行本
[発売日] 2006-12-09
[出版社] ファーストプレス

posted by Kokubo at 23:32| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月12日

「コーポレートガバナンスの評価に基づいた投資のすすめ」

久しぶりにまじめ読書日記。
ビジネススクールのゼミの先輩が書いた
「コーポレートガバナンスの評価に基づいた投資のすすめ―銘柄選択の新潮流」
です。

<要約>
山一証券、カネボウ、西武鉄道のような、投資家をはじめとするステークホルダーに多大な損害を与える不祥事に共通するものは、コーポレート・ガバナンスの不備であるという。そこで、近年のアメリカではコーポレート・ガバナンスを投資判断の際に考慮するようになってきている。本書はそのようなトレンドを紹介し、日本でのコーポレート・ガバナンスに対する意識改革を起こすことを目的としている。

コーポレート・ガバナンスは企業の業績と相関関係があるという。そこでよりよいコーポレート・ガバナンス機能をもつ企業に投資することで、安定的なリターンを得続けることができるし、一方ではコーポレート・ガバナンスが不備な会社に投資してガバナンスを改善することで、高いリターンを得ることもできる。

本書ではコーポレート・ガバナンスをを分析すべき分野として、1)社内構造、2)国のフレームワーク、3)社内文化を挙げており、これらの分析に基づいて次の6カテゴリーに分類して評価すると述べている。
@取締役会のアカウンタビリティ
A財務情報のディスクロージャーと内部統制機能
B株主の権利
C報酬
D企業支配権の市場
E企業行動

さらにはコーポレート・ガバナンスの仕組みの理論的な説明も添えることで、その本質を理解できるようにしている。

<感想>
本書はコーポレート・ガバナンスという、言葉は一般的になりつつもその実態がなかなか捉えづらい主体を包括的に説明している。今後日本の企業にとってコーポレート・ガバナンスの必要性が高まることは必須であり、しかも業績と相関するとなれば戦略的な管理が必要ともなろう。そんな状況下であるから、本書がこれからの日本のコーポレート・ガバナンスの隆盛に与得た貢献は大きい。更に理論的にも説明されていることで、より本質が理解できる、即ち時代やルールが変わっても適応可能になる。ただ批判としては、入門書であることの弊害でもあるが、評価方法の開設がやや粗すぎ、この程度でコーポレート・ガバナンスが本当に評価できるのだろうかという疑問は残る。またこれは本というよりコーポレート・ガバナンス自体に対する批判だが、当事者である企業から回収したアンケートを元にした評価が、どれほど実態を表しているものかは注意して見る必要がある。

とりあえず、コーポレート・ガバナンスって言葉は知ってるけどいったい何?と思っている人にはお勧めの一冊です。


コーポレートガバナンスの評価に基づいた投資のすすめ―銘柄選択の新潮流コーポレートガバナンスの評価に基づいた投資のすすめ―銘柄選択の新潮流
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] コーポレートガバナンスの評価に基づいた投資のすすめ―銘柄選択の新潮流
[著者] アレクサンダー・フラッチャー
[種..
>>Seesaa ショッピングで買う

posted by Kokubo at 14:18| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月08日

「のだめカンタービレ」に見るプロフェッショナルのパートナーシップ

読書日記、またもや漫画です。ゆるゆる生活続行中。えへ。

さて本日は先日のGREENと同じ作者の書いた「のだめカンタービレ」。今フジテレビでドラマ化もされてますね。前々から持っていたコレをもう一回頭から一気読みしたところ、前回とは違う感想を持ちました。

今回感じたのは、理想的なパートナーシップです。

アーティスト(プロフェッショナル)同士って、けっこう関係を築くのって難しいんじゃないだろうかと思います。自分よりあまりにも下手だとリスペクトできないし、かといって上手すぎても一緒にいると凹むし、消耗する関係になりやすいのではないでしょうか。千秋と最初の彼女・彩子との関係のように、好きなのに一緒にいると辛いと感じてしまう。

いっぽうで、千秋とのだめとの関係では、上手くお互いを高めあえています。相手の頑張りが刺激になるし、相手の成功は自分も嬉しい。特にいいなと思ったのは、のだめが留学先で優秀な学生に囲まれて初めて自信を喪失したときのエピソード。のだめが深く深く落ち込んでいるとき、千秋は「自分で立ち直るしかない」と突き放します。でも隣の部屋で千秋が練習している音が、のだめに届くんですね。すると、のだめは彼も頑張っているから私も頑張らなくてはと思い、自分で解決策を探して、そして立ち直っていく。そして自力で立ち直った経験があるからこそ、その後また落ち込んでしまったときにも彼女には立ち直る術が分かるわけです。もしあそこで千秋がのだめを受け入れたら、つまり自分自身を甘やかしているのだめを認めてしまったら、のだめの成長はそこで止まってしまい、プロとしてはダメになると思います。本当にのだめのことを考えているからこそ放置するのであるし、敢えてそういうことが出来る人って優しいなと思います。目の前に凹んでいる彼女がいたら、ついヨシヨシってしたくなってしまうだろうし、その方がいい人っぽい気持ちを味わえて楽だよねー。でもそれって結局はその人をスポイルしているわけで、長い目で見るとちっとも優しくない、と私は思います。

なぜそう思うかというと、他でもない私自身が昔のだめ状態になったことがあるからですねェ。深く落ち込んで心身共にボロボロのツマに、我がオットは「いい加減にしなさい。」と叱りました。さすがにその時は何て冷たい奴だ、もっと温かく受け止めてくれる夫にすれば良かったとか思ったんですが、今思うと、私はその言葉を聞いたからこそこのままではいけないと解決策を探し始めることができたように思います。そして底から自分ではい上がってきた経験があるからこそ、それ以降はストレスとの付き合い方が上手くなったのかなと。あそこでもし彼に甘えていたら、きっと私は今も自分に甘い人間だったと思うし、それは私の成長に蓋をしていたでしょうね。結局、自分の問題は自分で乗り越えるしかないということを真の意味で教えてくれたのは、彼のあの言葉だったなあ。

だからこそ、千秋の厳しさと、その厳しさをきちんと受け止めているのだめの関係はいいなと思います。彩子はその厳しさを受け止められなかったがために、千秋とのパートナーシップを築けなかったのかなと。

一方で千秋にとっては、ちょっと目を離した間に大きく成長してしまうのだめの存在が、いい緊張感をもたらしてくれています。うかうかしてると自分は置いて行かれてしまうぞ、そうならないためには努力しなくてはと思い、さらなる成長を目指します。そうやってお互いを高めていけるのって、プロフェッショナルにとっては公私ともに得るものの多い関係ですよね。

この漫画を読んでいると、「信頼」とは何かを考えさせられます。千秋にとってののだめ、のだめにとっての千秋、そして清良にとっての峰のように、「周りの評価はともかく、私はあなたの音楽がとても好きですよ」と言ってくれる存在がいるというのは、何かを極めようとしている人にとって何よりも心強いことではないでしょうか。

私もオットにとってそういう存在であり続けたいと思います。


のだめカンタービレ(1)のだめカンタービレ(1)
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] のだめカンタービレ(1)
[著者] 二ノ宮 知子
[種類] コミック
[発売日] 2002-01
[出版社] 講談社

>>Seesaa ショッピングで買う
posted by Kokubo at 22:25| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月04日

漫画「GREEN」に見る日本の農業の明るい未来

本日の「読書日記」は漫画です。

めでたく試験が終わり本当に久しぶりにのびのび過ごしているわたくし、ここぞとばかりにペンディングにしていた非お勉強本を読みあさります。小難しい本を読むといつも反動でユルい本が読みたくなるのよね。

そんなわたくしが選んだ本日の一冊は、ご存知「のだめカンタービレ」の作者である二ノ宮知子が2000年に書いたシリーズ「GREEN―農家のヨメになりたい」。全4巻大人買いです。

読んだ感想というか結論:
この漫画は、日本の農業を救う可能性を秘めている。(マジ)

私も地方出身だから分かるのですが、地方の農家は慢性的な嫁不足。「だって農家って仕事が大変そうだしー、近所づきあい面倒そうだしー、儲からなさそうだしー、虫キライだしー。そんなところに嫁ぐなんてまっぴら。」っていうのが、若い女性の農家に対するイメージではないでしょうか。

でもこの漫画は、そういう細かい疑問に応えつつ、かといって現実を必要以上に美化もせずに提示して、その上で余りある農業の素晴らしさを見せてくれます。農作業で筋肉痛になったり、苦手な虫に悩まされたり、付き合いで御輿担がされたり。農家の生活ではそういう地味でやっかいなことも多いんだけど、それでも植物が育っていくのを見るヨロコビ、自分の作った野菜が美味しいと言われるヨロコビ、愛する人と一緒に仕事が出来るヨロコビ、そういう色んなヨロコビも味わえるんだよということを教えてくれるんですね。

知らないことが多いと不安に繋がるし、いいことばっかり聞かされても胡散臭い。だからこそネガティブな面もポジティブな面もばーーんと見せる、しかも漫画でおもしろおかしく分かりやすく(コレ重要)。この漫画を読めば、農家に嫁ぐことがあまり不安じゃなくなります。寧ろ悪くないと思えると思う。のだめカンタービレだって、堅苦しくて小難しくてつまんなさそーというこれまでのクラシックのイメージを覆したでしょう?あれを見て「クラシックって気楽に聴くとけっこう楽しいじゃん」と気付いた人は多いだろうし、それがクラシック離れひいてはクラシック業界の復興に貢献したと思いませんか?見せ方が悪いだけで、けっしてコンテンツが悪いんじゃないんですよね。だったら見せ方を工夫すればいい。

私はこの漫画を、嫁不足に悩む農業都市の推薦図書にすべきと思いますね。お見合いツアーや都市と農村の交流ツアーを企画するのもいいけど、この漫画を日本中にばらまいたら、けっこう世の中変わると思う。どうでしょうかね、JAさんとか農林水産省さんとか。

あと、これは農家の人(つまり受入側)にも読ませるべきと思う。まずは自分たちの持っているものの豊かさを再認識し、自信を持って欲しい。自分のやっていることにプライドを持って邁進している人は、例え麦わら帽子に長靴でも魅力的ですよ。そういう農家さんが増えれば、きっと日本の農業はすごーく楽しくなる(実際仕事を通じて、そういう人が増えてきているのも感じるし)。そしてそんな人に大切に思われるのであれば、女性にとってもどんなに幸せなことか。ねぇ?

GREEN―農家のヨメになりたい (1)GREEN―農家のヨメになりたい (1)
販売元 : Amazon.co.jp 本
価格 :
[タイトル] GREEN―農家のヨメになりたい (1)
[著者] 二ノ宮 知子
[種類] コミック
[発売日] 2000-01
[出版社] 講談社

>>Seesaa ショッピングで買う

posted by Kokubo at 23:10| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月31日

ボランタリー組織の経営管理(田尾雅夫)

ボランタリー組織の経営管理
田尾雅夫 有斐閣 1999


ボランタリー組織の経営管理



Read more?
posted by Kokubo at 10:06| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月28日

競争的共創論(小川進)

「競争的共創論―革新参加社会の到来」
小川進, 白桃書房 2006年

競争的共創論―革新参加社会の到来


Read more?
posted by Kokubo at 22:12| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

現代企業の組織デザイン( ジョン・ロバーツ,2004)

「現代企業の組織デザイン 戦略経営の経済学」
ジョン・ロバーツ,谷口和弘(訳) NTT出版

現代企業の組織デザイン 戦略経営の経済学




Read more?
posted by Kokubo at 18:17| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月26日

非営利組織の経営(小島廣光)

「非営利組織の経営 −日本のボランティア−」
小島廣光 北海道大学図書刊行会

isbn4-8329-5921-2.jpg




Read more?
posted by Kokubo at 12:32| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月25日

プロフェッショナル・アントレプレナー

「プロフェッショナル・アントレプレナー
成長するビジネスチャンスの探求と事業の創造」

ウォートン経営戦略シリーズ
Scott Andrew Shane(著), スカイライト・コンサルティング(翻訳)
英治出版 2005年

4901234722.01.LZZZZZZZ.jpg


Read more?
posted by Kokubo at 08:14| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。