何回かリピートしているこの旅館は、いわゆるデザイナー旅館で内装が凝っているので、長期滞在して読書をするにはもってこい。加えて地元のいい素材を使った美味しいお料理と、源泉掛け流しのいいお湯が揃っていて、これはもう桃源郷です。
こちらに前回訪れたとき、エントランスにあった2mはあろうかという大きなフラワーアレンジメントが印象に残っており、今回もそれを楽しみにしていたのですが、今回は普通の(といってもかなり大きい)クリスマスリースが飾られていて、ちょっと残念に思っていました。
がっっ、ある日夜中にお風呂に行くためにエントランスを通りかかると、なにやら花ばさみっぽい音がする・・・。もしや!と思ってのぞきに行くと、フラワーアレンジメントの制作中だったのです。お花好き、プロフェッショナル好き、ものつくり現場好きのわたくし。思わずお願いしてそばで見学させてもらいましたが、アレンジメントを見られるだけでも嬉しいのに、ましてやアーティストさんにお会いできて作業を見せてもらえるなんて、ほんと感激。作業の邪魔にならないよう気をつけつつも、いろいろ話を伺ってしまいました。
この方は地元ではなく神奈川在住で、この旅館のリフォームをするときにプロジェクトチームとして関わったのがご縁で、かれこれ7年ほどお正月用アレンジメントを創りにはるばる来るそうです。なお思わず訊いてしまったのは、大きいアレンジメントを創るときは何から着想するか(私も現在博論という大物に取り組んでるところですので)。そのアーティストさんのお仕事を拝見すると、イメージの枠に花を当てはめていくというより、その花の個性を活かす方法を考えているような印象を受けるので、花材ありきなのかな〜と思ったのですが、必ずしもそうではないらしい。お題があって、それに合う素材を考えて、見る人の気持ちを想像して、場の雰囲気を考慮して・・・と行ったり来たりして考案していくのだそうです(なるほど、論文もそんな感じで進めればいいのか、とこっそり考える)。それにしてもプロフェッショナルの人の話って、信念に裏打ちされていて本当に面白い!
でも本当、エントランスに素敵なお花があるとホスト側のおもてなしの気持ちが感じられて、すごく印象的なんですよね。だからこそ私も、そこにアレンジメントがあったということを何年も覚えていたわけですしね。
こういう出会いがあるから旅って楽しいなあ。
お会いしたフラワーアーティストさん:
Chajinさん