2014年08月10日

【もしベビ】男性の育児参加と形式知化のススメ

先日、自治体が開催しているムスメの三ヶ月健診に行ってきました。私は食事をしに入った店でもオペレーションの改善余地を考えるのが好きですが、この健診のオペレーションは久しぶりに経験するレベルのカオスでした。医師や保健師といったプロフェッショナルが担当する領域(診察)はともかく、それ以外のところはボランティアの年配女性たちが仕切っていたのですが、ここのところがもう本当にカオス。ベビは思い通りにならないので生産性の追求に限界があるということは理解できますが、暑い夏の日に無駄に時間をかけられるのはベビがかわいそうなので、もうすこし洗練されたオペレーションを確立してくれるとありがたいなーというのが本音でした。ただ、このボランティア女性たちはとても人当たりがよく、子育て中のお母さんの力になりたいというオーラを全身から出しているので、もし私が育児に悩みを抱える母親だったらとても救われるだろうなとも思いました。(あ、もちろん私も悩みがないわけではないのですが、解決するべき課題というレベルにブレークダウンしてしまっているので話を聞いてもらうだけで解決するという類の悩みは抱えていないのです)

私はリーダーシップ研修をさせていただくことも多いのですが、リーダーシップとは組織の目的を達成するためにメンバーに与える影響力のことであると説明しています。そして下図のような2つの軸、すなわち@構造づくり軸(目的達成のためにすべきことを明確にする力)と、A人間関係軸(目的達成のために組織のメンバーの関係性に配慮する力)の複合的な力としてリーダーシップを捉えています。リーダーシップ理論はたくさんありますが、これに類似した2軸で説明されているものが多く、このあたりにご興味がある方は、ロビンスの「【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ」(ダイヤモンド社)をお読みください。
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で、男性vs女性というカテゴリーで話をするのは乱暴だということは十分認識しつつも、日々マネジメント人材の育成に携わっていて感じることとして、女性はこのリーダーシップの2軸のうち人間関係軸が優位で、構造づくり軸が弱い人が多いですね。ネットワークは形成しやすいし、男性だけの会議にありがちな非建設的なプライド合戦にならない等の強みはあるのですが、一方で現場の仲は良いけれどいつまでたっても仕事が進まなかったり、仕事が俗人的になりすぎてオペレーションの改善が進まなかったり、という特徴が女性の多い現場にはあるように感じます(あくまで印象論です)。そしてコソダテ現場では、そのデメリットに直面することが多いなーと思ったりします。コソダテの苦労に対する配慮や共感も大事だけど、構造づくりを疎かにするといつまでたってもオペレーションの生産性が低く、関係者を疲弊させてしまうYO!

野中郁次郎先生は経験や勘に基づく知識のことを「暗黙知」、それに対して文章や図表で表現できる知識のことを「形式知」と表現し、個人のもつ暗黙知を形式知に変換することで作業の効率化や新たな発見につながるというナレッジ・マネジメントを提唱しています。で、コソダテタスクは比較的形式知化が進んでおらず、暗黙知のカタマリになっていると感じます。妊娠・出産にまつわる一連のタスクを当事者として経験する女性と、妊娠出産を当事者としては経験できない男性とでは、情報や経験値の非対称が大きく、どうしても女性側にコソダテの暗黙知が集積してしまいます。なので、もし男性にもコソダテに参加してほしい、チームでのコソダテをやりたいと思ったら、女性側は暗黙知をひたすら形式知化する必要があるし、この作業をさぼると暗黙知の領域が広がり、男性が手を出しにくくなるということを分かっておいたほうがいいのかな、と思います。暗黙知をひたすら形式知化する作業は若干面倒ではありますが、男性は構造づくり軸が優位な人が多いので、形式知化されたタスクを改善してくれるので結果的に楽になったりします。

うちの夫婦は、一緒に育児をすることが前提だったので、出産前からコソダテタスクの形式知化を意識していました。産後生活をイメージしてタスクを整理し、主なボトルネックである私の身体はベビのお世話に集中させるとして、それ以外のタスク(主に家事全般)は夫が担当するということを決めました。そして夫は、共働きの3種の神器、ルンバ・全自動選択乾燥機・食洗機を活用し、近くに住む義母に定期的にお惣菜を差し入れてもらうように依頼し、Amazonファミリーをはじめとするネットショッピングを登録し、タスクリストをEvernoteで作って共有し・・など家事の機械化とアウトソースをがんがん進めました。結果的には利用しなかったのですが、いざというときに頼れるよう世の中にある子育てサービス(産後ドゥーラ、ファミリーサポート、育児支援ヘルパー事業、シルバー人材事業等々)も調べておきました。その結果、出産するころには私がまったく家事をしなくても回るようなしくみが出来上がっており、実際に私は産後1ヶ月間、家事を一切しませんでした。

出産後も、私が新たに得たコソダテに関する暗黙知を形式知化して伝えるところまでをがんばると、それを受けて夫がタスクとして整理し、我が家のオペレーションをどんどん改善してくれました。コソダテといいつつも実際には家事のウェイトがほとんどなので、育児タスク以上に家事タスクの効率化がコソダテを楽にするというのは、自分だけでは気付かなかったかもしれません。そして、夫がもたらしてくれた一番大きな気づきは、100%母乳の育児にこだわることの非合理性やリスクでした。

母乳については、いろんな根拠のない神話があります。病院や親には100%母乳で育てることを薦められることが多いですし、なんとなく母乳量が多いのがいい母親の証ではないかという妙な思考回路にもはまりがちです。ただ母乳は出産したら誰でもビュービュー出るというものではないので、多くの女性は母乳の生産量が少ないことに悩み、ストレスを募らせたりします。私も出産直後は母乳量が少なくてミルクを足していたのですが、早く100%母乳で育てられるように頑張らなきゃという(今考えると謎な)モードに陥り、母乳が少ないことにイライラを募らせていたのですが、「母乳がミルクに勝る科学的根拠は見当たらないし、ムスメを観察してるとミルクより母乳がいいというこだわりはなさそうだから、苦なく出るならともかく、ストレスためてまでは母乳を頑張る必要はないんじゃないの」と夫に指摘されて我に返りました。そして、母乳とミルクの混合で育てるという方針を決めました。

授乳って幸せな時間だし、ベビがママ(という母乳サプライヤー)に執着してくれるのも承認欲求が満たされて嬉しいですね。だから100%母乳をあきらめるということは母親としての特権を手放すような気がして感情的に抵抗があったんですが、それでも混合育児を決めたのは、私が母乳にこだわればこだわるほどこの幸せを夫とシェアすることが出来なくなるんだと気付いたこと、ムスメが母乳しか受け付けないようになってしまうことのリスクという、2つの理由からでした。100%母乳に伴うリスクは意外とみんな教えてくれませんが、母乳だけで育てていると、3ヶ月くらいするとベビが哺乳瓶を受け付けなくなることがあるのです。ミルクの味が嫌、哺乳瓶の感触が嫌などいろんな理由はあるようですが、こうなると夫にすらベビを預けることが出来なくなるので母子べったりライフを送らざるを得なくなるし、また震災などの強いストレスで母乳が急にでなくなることがあるそうで、そうなると哺乳瓶を使える使えないは死活問題です。だからなるべく母乳でがんばるにしても、ある程度はミルクや哺乳瓶に慣らしておいたほうがいいんですが、母乳がんばらなきゃモードになっているときにはなかなかそこまで頭が回らないですね。私の場合は100%母乳に伴うリスクを予め分かっていたわけではないけれど、たまたま夫と二人で育児をしていたことで100%母乳へのこだわりを早期に捨てていたので、結果的に助かりました。

自分の判断力や実行力が落ちているときに、客観的に分析して構造づくりを進めてくれる存在は非常にありがたいし、男性が育児に参加する意義というのはこういうところにあるんじゃないかなと思います。そして、その意義を最大限に発揮するためにも、女性はコソダテタスクの形式知化を怠ってはいけないと思います。

組織論の基本的思考に、生存し続ける組織とは、優秀な組織ではなく環境変化に適応できる組織であるという考え方がありますが、コソダテ組織も全く一緒だなあと思います。優秀な夫婦でなくても、変化に適応していれば家庭は回っていくのだろうし、そのためにもチームとして改善を進め、適応力を高めていきたいなと思います。

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パパとムスメのおそろいシマシマ。

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混合育児の強い味方、ピジョンの「母乳実感」。混合で行く場合はこちらを使っておくとニップル・コンフュージョンに陥りにくいようです。



posted by Kokubo at 11:19| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | もしベビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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