2011年04月06日

震災とフューチャーセンター

このたびは東日本大震災により被害を受けられた皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

奇しくも前回の記事をあげた直後に地震が発生しました。幸い、神奈川の自宅にいた私は大きな被害には遭っていませんが、生まれて初めての長時間の停電、続く余震、地震酔いなどを経験しました。都内で働いていた夫は、3時間をかけて歩いて帰ってきました。

携帯や電話は通じなくなり、停電のためテレビとインターネットも使えなくなり、情報の寸断でこれほどまで不安が募るのかということを実感しました。しかし、真夜中過ぎて電気が戻ったときにテレビで初めて見た東北の惨状は、次元の異なる状況で、絶句しました。

大切な方を亡くされた方の気持ちを思うと心が痛みますが、一方で、私は仮に自分がいなくなったとしても、自分の大切な人には元気でいて欲しいと思っています。なので、自分に何が出来るかを考えつつも、基本は自分の持ち場で元気で働くことがポリシーです。特に災害現場や計画停電の中で職務を全うしている消防・警察や自治体職員、自衛隊、インフラ関係者の方々のおかげで多くの人が助かっているという事実を目の当たりにし、そういった人々へは遠く及ばないものの、自分も少しでも見習いたいと思うのです。


静岡生活も1年が過ぎ、この愛すべき土地で自分がどうやって貢献出来るかを考えてきました。いくつか実践していることがあるのですが、今年は手段の1つとして、学生によるフューチャーセンターの立ち上げを考えています。有難いことに色んなご縁があり、ご支援くださる社会人や情熱をもってプロジェクトに取り組んでくれる学生にも恵まれました。私としては、社会に求められるものを形にしていくことは好きですし、比較的得意な方だと思います。なのでお話を持ちかけられたとき、完成後のイメージもなんとなく描けたので、やってみるかなあとなりました。

しかし、それでもわざわざ何か新しい「センター」的なものを創り出すことには、正直言って若干迷いがあったのです。活動という実態があれば十分ではないか、そこにハコモノを想定させるラベルをわざわざ貼る必要があるのか、と。そして、そもそもたかが一助教の研究室で「将来」を語ることに、どれほどの影響力があるのだろうかと。周りの経営者さんやゼミ生が興味を持ってくれたので、立ち上げに向けて動き出したものの、どちらかというと使命感を持ってやっていたというよりは、「皆の学びの機会になるなら」くらいの気持ちでした。


でも、今回の震災で考え方が変わりました。


震災発生後、続く余震と刻一刻と明らかになっていく危機的状況を見て、将来への不安が募っていきました。震災からの復興、放射能被害(風評含む)、電力不足、過剰な自粛モード等々、これから日本はどうなるんだろうかと。その中で人を助ける技術も持たず、微々たる額の寄付しかできない自分の無力感にも苛まれました。

でもそんなときに、定期的に開催していたオープンゼミを震災後に内容を変更して実施し、被災地でない静岡に住む私たちが、今、何ができるかを学生たちと一緒に考えました。詳細はこちらのゼミブログでご覧いただけますが、学生たちの通念にとらわれない自由な発想には、いつもながら刺激をもらいます。これまでの延長線上でものごとを考えていると、「どうやって元に戻すか」という発想になってしまうんですけど、学生と話していると「無くてもまあいいか、その中でどうするか」という方向にアタマを切り替えることが出来ます。これってすごいことだと思うんですよね。

262124414.jpg 第8回オープンゼミの様子


で、このときの様子を見ていて、社会に希望をもたらすのはこれから社会に羽ばたいていくこういう学生たちなのだなあと実感したのです。私はこのときに「こういう人達がこれから社会を担ってくれるなら日本は大丈夫かも」という希望をもらいました。そして、この希望をもっと広げていきたい、広げなければならない、と思ったのです。

で、広げるために自分が出来るのは、こういう希望をもたらせる人を一人でも多く育てること、そういう人が活躍できるような場をつくっておくこと、ではないかと思いました。そしてその場に「フューチャーセンター」というラベルを貼ることで、組織の内外に対して方向性を明確に示し、一人でも多く私のような気持ちを味わう人を増やしていきたいと考えるようになりました。

漠然と「フューチャー」を考える場というより、「フューチャー」を自ら切り拓いていこうとする人が次々に輩出される場、そんな人たちを全力で応援する人が集まる場。そんなフューチャーセンターを学生たちと一緒に創っていきたいと今は考えています。

とはいえ、このフューチャーセンターは、その原動力となる学生がいないと話になりません。私一人でフューチャーセンターを名乗ることは出来るけど、中身のない、とってもつまらないものにしかなりません。そういう意味では、私が創るというより、「学生が創るフューチャーセンター」ということになるのだろうと思います。私はその後方支援ですね。


自慢のゼミ生たち+支援してくださっている中村さん
RIMG0203.JPG IMG_1018.JPG


皆さまも、この「学生が創るフューチャーセンター」をご支援いただけますと幸甚です。



posted by Kokubo at 21:04| 神奈川 | Comment(0) | TrackBack(0) | 地域と大学(フューチャーセンター) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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