2009年06月22日

第5回COO向けマネジメント研究会・レポート

第5回研究会が終了しました。

ケースの完成がぎりぎりになり、参加者の手元に届くのが前日になるという、有償研修ではありえないサービスレベルの低さを広い心で受け止めてくださった参加者の皆様に、心から御礼申し上げます。ありがとうございました。

今回は21名にご参加いただきました。冒頭に、この日に限り私の目的関数として「いいケースづくり」を「参加者の満足感」に優先させていただきます、というdisclaimerは伝えたものの、ケース素材のリッチネスに完全に負けてしまい、私は自分のファシリテーション品質の低さを痛感いたしました。全然、議論し足りませんでしたよね〜。せっかくの高級食材なのに、シェフの腕が悪いせいで良さを完全に伝えられなかったんじゃなかろうか・・・。ううう残念、そして参加者のみなさんにゴメンナサイ。でも一回こういうトライアルの場を持つことが、ケース品質とファシリテーション品質を飛躍的に向上させるのです。おかげさまでこのケースを使うときのポイントは把握できました。ですので、今回参加いただいた皆様には、今後のケース&ファシリテーションの品質の向上でお返しさせていただきたいと思います。参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!! なお、本ケースは8月頃には発売開始になると思います。

今回の私のファシリテーションはかなりの低レベルでしたが、それでもアンケートを読むとなかなかいい気付きを持ち帰っていただけたようで、ケースとしての奥深さは伝わったのかな、と思います。改めて、フローレンスさんの 素材としての豪華さに感服いたしました。私は、「自分が手がける」ことにはあんまりこだわりがないのですが(でも必要だと思えば例え一人ででもやります)、研究者としてフローレンスさんのようなNPOのオペレーションの知見を後世に残さないのはいかん、と思っていますので、やっぱりケース作って良かった。フローレンス関係者の皆さま、そしてケース作成を手伝ってくれているT原さん、ありがとうございます。そしてあと少し、よろしくお願いいたします。

プラス、今回のアンケートを見て、ソーシャル・ベンチャーのケースはビジネスセクターのマネジメントにも参考になるのではないか、という私の仮説が少し検証できたように思います。NPOやソーシャルの土壌に立って営利企業を眺めると、また違う姿や可能性が見えるのですよね。海外に行くと日本の良さ(悪さも)が分かるのとおんなじです。当たり前だと思っていたことの本質が、シンプルに提示されるからでしょうか。

そして研究会のあと、家でたまたまテレビをつけたらやっていたNHK「未来への提言 グラミン銀行総裁 ムハマド・ユヌス」をぼーっと見ていたら、ついさっきまで一緒にいたフローレンスのS引さんが出てきてびっくりしました。さらに六本木ヒルズで開催されたユヌス氏の講演会のシーンで、会場の聴衆のショットでなんか見たことある人が映ってるな、と思ったら自分で、またびっくりしました。そういや研究会でお世話になっているK原さんに誘われて行ったんだよね。口開けて見てる時でなくて良かったわぁ。(←「熱心な聴衆」を見せたいときにそんなショット使うかよ、とオットツッコミ)

NHK「未来への提言」
グラミン銀行総裁 ムハマド・ユヌス 〜世界を救うソーシャル・ビジネス〜


そんな感じでフローレンスさんに染まった一日でした。S引さん、ありがとうございました〜。

次回は7/26(日)10:00〜13:00です。
ケースとテーマは、ただいま調整中です。開発中のもう一つのケースのトライアルの場にしたいなーとは思っていますが、その場合でも必ず7/18までにはケースがお手元に届くように致します。トライアルでない場合は、「事業の成長とニューカマーの組織社会化」(ベンチャー創業当時を知らない人が入ってくることで組織に生じる問題)にしようかなーと思っています。

ちなみにケースは使いませんが、ワークショップ的なネタとしては「助成金申請を通して考える中期戦略」(「通る申請書の書き方」ではないことに注意。ゴールは戦略策定です)もできますけど、こういうテクニカルなテーマって現場のニーズはあるのでしょうか??

*いつもの通り、追記は参加者からのフィードバックです。

1.本日のテーマ「ソーシャル・ベンチャーのイノベーションと成長プロセス」は役に立ちましたか?
・実際にケースに接してみて、ソーシャル・ベンチャーを取り巻く視点の広さに感心するとともに、イノベーションを幅広い視点でディスカッションするにはソーシャル・ベンチャーのケースが適しているのかなと思いました(SVP東京・金井さん)
・ソーシャル・イノベーションを今後拡大していくときに、ミッション/ビジョンをどう固持していくか、拡大手法としてどう周りを巻き込んでいくかが、いかに難しいかを知ることができて勉強になりました。(企業勤務・Tさん)
・大変勉強になりました。途中にNPOであることの優位性やメリットデメリットの話がありましたが、基本的にはソーシャル・ベンチャーも普通のベンチャーも「社会に価値を提供しつつ利益を上げる」という点において(バランス、優先順位の差はあれ)普通だと思うので、今回のテーマは普通のベンチャー経営にも参考になると思います。(KBS・平田さん)
・フローレンスが素晴らしいケーススタディになってびっくりしました。盛りだくさんで時間が足りなかったことが残念。(日興アセットマネジメント・池永さん)
・フローレンスという分かりやすいケースが参考になった。(株式会社エコブランド・東さん)
・本職にもNPOにも参考になりました。(アイシーネット梶E本村さん)
・事業型NPOとしての成功例をケースで学べて、大変有意義に感じました。事業型NPOの強みとは何かを深く考える機会が得られ、役に立ちました。(企業勤務・Kさん)
・ソーシャル・ベンチャーの成長って何なのか考えさせられました。社会問題の解決を目指す場合は、特に問題の穴埋め的存在でいいのかという気もします。(慶應SDM・Oさん)
・正直、私にはちょっとレベル高でした。(Mさん)
・様々なバックグラウンドを持った方々と論じられたことが楽しかった。金融畑で働いている自分の思考が偏っていることにも気がついた。(Tさん)
・フローレンスさんと自分たちの事業に似たところがあるということに驚きがあります。ケースがうまくまとまっていないとは言ってましたが、内容が読みやすく、順に起ったことが書いてあるので読みやすかったです。(フォレスト・菊池さん)
・役に立ちました。ちょうど今BOPの研究を行っており、そこでは営利企業と現地のNGO/NPOとの連携が必要となります。その際にビジネスモデルのイノベーションが必要になるといわれており、その参考になりました。(KBS・尾形さん)

2.本日のWrap-up「ソーシャル・ベンチャーとイノベーション」は役に立ちましたか?
・上記と同じ理由で、法人形態問わず役に立つレクチャーでした。イノベーションというテーマで言うと、イノベーションのタネとなる事業アイデアやニーズをいかに発掘するかも起業家志望の方の気になるポイントかと思います。また、よりソーシャル・ベンチャーならではの論点を設定するならばそのイノベーション(事業・サービス)の社会性をどう評価するのか、全社としての成長の指標をどこに置くのかなども伺ってみたいです(KBS・平田さん)
・自分たちの事業の課題が多いに含まれているので、持ち帰ってじっくり考えたいと思います。「母親支援」だけじゃないということを発言しそびれたので、最後に仰っていただけたのが嬉しかったです。(マドレボニータ・高橋さん)
・ミッション、ドメインの定義。ベンチャーに内部崩壊の方が問題という視点。(日興アセットマネジメント・池永さん)
・「いいね〜」からお金を出させるサービスにする部分は、常に考えていかなければいけないと思った。(株式会社エコブランド・東さん)
・理論的に整理されていて良かったです。出典も書いていただいたほうが良いかと。(KBS・栗原さん)
・イノベーションとは何か、支えるオペレーションとは何かについて、解説いただきありがとうございました。(Kさん)
・自NPOに絡めると、事業拡大をしていった先の大きな組織のあり方、という面でとても考えさせられるところがいくつもありました。スタッフの質をキープする、バックサポートをマニュアル化してしっかりするあたりも参考になりました。(NPO・Aさん)
・存在意義とドメイン設定はなるほどと思いました。(慶應SDM・Oさん)
・後でゆっくり振り返りもしたいと思います。(インパクト東京・三宅さん)
・役に立ちました。特に、イノベーションを支えるオペレーションという部分で、事業を支える小さな工夫の積み重ねが模倣困難な参入障壁となる事、ソーシャルベンチャーはニーズやシーズベースではなくミッションベースで立ち上がる事が多いという点は共感出来ました。前者は、最近いくつかの講演会等で感じ始めた事で、強く納得しています。これはソーシャルベンチャーに限らず、大規模な営利企業にも共通のロジックだと感じています。(KBS・尾形さん)

3.フローレンスのケースから学んだことを教えてください
・需要と供給のバランス、妥協とあくなき追求が見事かと思っています。ミッションに応じてしつこく追及するのは民間企業でもきつい仕事ですが、個人的には病児保育事業のあくなき追求、最適化に興味があります。(SVP東京・金井さん)
・「病児保育」という社会問題を顕在化し、人々が求めるサービスの事業化を実現させたところがすごいなと思いました。しかしながら今後少子化で子供の数がシュリンクしていく中でフローレンス事業の拡大をしていく方向性をどう設定していくかが難しいと感じました。(企業勤務・Tさん)
・草の根的にNPOや社会起業として活動している人は全国に様々たくさんいると思うのですが、やはりフローレンスさんの場合は、これまで社会にありそうでなかった新しいビジネスモデルで、市場の顕在ニーズ充足&潜在ニーズ喚起に成功し、圧倒的な注目を集めたということが大きな違いかと思います。誰も気づかなかった問題に気づき、解決しようとしたというところがポイントでしょうか。(KBS・平田さん)
・本部の強化(整備)が重要なことを痛感しました。病児保育事業あってこそのソーシャル・プロモーションなどなど、近いところがあるだけに自分たちの事業を客観的に見る機会になりました。(マドレボニータ・高橋さん)
・ブランディングをかなり綿密に行われている印象。「病児保育」という言葉を一般化して、社会問題としての認知度を上げていくプロセスが、非常にうまいと感じた。(株式会社エコブランド・東さん)
・ソーシャル・ベンチャーを行う上での規模感と時間軸の再認識。(社団法人・Kさん)
・構想力と実行力、これらをいかに外部の力も借りながら高めていくか。そのために必要な理念。(アイシーネット梶E本村さん)
・提供する価値がだれにとってのものか、という視点。(KBS・栗原さん)
・サービス提供の価値をどう金銭的対価として回収できるか、その仕組みを学べた。(Kさん)
・「病児保育」という仕組みだけでこれほど大変なことだと分かったこと。(慶應SDM・Oさん)
・社会起業は自分の一生を超えた事業というが、確かに先は果てしない。今自分ができることをきっちりやることが、大前提だと改めて自分を戒めた。(インパクト東京・森山さん)
・ミッションを事業に、システムに落とし込むことが必須だということ。(インパクト東京・三宅さん)
・(強み+存在意義)→今後の成長イメージ戦略 のモデル思考について(Komposition・寺井さん)
・外向け活動や組織、ミッション形式などなど、面白かったです。品質維持と同時に早い展開も並行して行う。実際に成立していたことに驚きです。(フォレスト・菊池さん)
・議論にも取り上げられたNPOと営利企業は何が異なって何が同じなのか、という点。法人税率が同じというのは研究会で私も知りました。従って経営面ではどちらも変わらないが、資金調達の方法や社会の受け止め方が異なってくるという事は重要だと思いました。これは自分を含め、将来何らかの経営に携わる人は良く理解しておくべき内容だと感じました。(KBS・尾形さん)

4.フローレンスのケースを使って扱って欲しい、他のテーマがあれば教えてください。
・行政との軋轢。病児保育という新たなビジネス創出をしたフローレンスと参入企業の動向について。議論にもあったように、収益源を優先とするのか?社会的課題を優先とするのか。(企業勤務・Tさん)
・カリスマ経営者と組織の問題、人材の定着やカリスマ以外のリーダー育成含めて。(KBS・平田さん)
・どのように内部を固めていったのか。(日興アセットマネジメント・池永さん)
・現場のオペレーションレベルからのフローレンスの視点。(社団法人・Kさん)
・COOの役割、直面する問題、対策。(アイシーネット梶E本村さん)
・行政との関係や既存の仕組みとの関係を取り上げて欲しいです。特に軋轢があったようなニュアンスがあったので。(慶應SDM・Oさん)
・行政との巧い付き合い方とか、Z区での挫折の話とか。(インパクト東京・三宅さん)
・組織のオペレーティング
・外部のチームがいかに集まり、どう機能しているか。ミッションをいかに作ったか。内部組織がいかに作られてきたか。(フォレスト・菊池さん)
・他のテーマではありませんが、なぜフローレンスがこれだけ他社と比較して競争優位を実現出来たのか、なにが強みなのか、また、それは例えば地域を変えて、事業内容を変えて展開出来るのか、という点をもっと深掘りして話してみたかったです。クラスでは色々と意見が出ましたが、私の印象では個々の細かな強みが有機的に繋がって事業を運営しているところにその競争優位の源泉があるのだと思いました。(KBS・尾形さん)



posted by Kokubo at 17:44| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 研究と実践 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも研究会でお世話になっています。K貝です。
気になる記載があったので、初コメントさせていただきます。

ワークショップ的なネタとして、「助成金申請を通して考える中期戦略」は現場のニーズはあると思います。 (関わっているNPOでいくつか書いた経験から、そう思っていました。以下、その前提で。)

なお、特に、立ち上げ期またはステップアップ期のような、事業を見直し、かつ、追加投資の原資が必要なときに有効だと思いますので、一石二鳥的な価値あるワークになると思います。

助成金申請書類作成時には、団体が「最終的に何をめざしていて」、「これから具体的に何をどうやっていく」から、「お金がこれだけ必要」です、と書くわけですから、客観的に分かるように、ビジョンと具体的な戦略・戦術?(マーケとオペレーションの2つのレベルで)の確認を行うことになります。

その団体について、あまり知らない人が入って、行うことで、第三者的な視点が入り、新たな展開が見込める可能性もあります。


ちょっと観点が変わりますが、PR、特に新聞などメディアへのニュースリリースを行うことも同等の価値があると思います(従来どおり、新聞メディアが、サービスの受益者に価値がある活動か、興味がある分野かを測る役割を果たせているのであれば)。 
団体およびその活動が、客観的に価値があるかを問う場にもなると思います。(単に価値がある/ないを問うものではなく、どのように上げていくかを内省する場・優先順位を付ける場と捉える)


※NPOの中間支援団体で、これをやってくれるサービスがあったらいいのに、と思ってました。ないなら、ビジネスになるかも!と、S○Sの有志メンバーで成功報酬型でやろうとも考えてましたが、現状ではスキルと稼動不足でやりきれてませんが。。。
Posted by K貝 at 2009年07月07日 20:20
自分の実感として、戦略を大上段に語られても、実務に引きつけて考えないと理解できないんですよねー。一方で戦略的思考で申請書を書ける=申請書が通るとも限らないので、そこは最初に切り分けが必要かも。(通る可能性は上がるはずですが、その他の出す側の好み等の要因も影響しますからね)

でも、通るか通らないかはおいておいても、書く作業と第三者視点が入ることは間違いなくプラスなので、いつかやりたいなあと思います。

あ、K貝さん以外の方にも賛同の声をいただきましたー。


Posted by こくぼ at 2009年07月13日 23:16
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