さて、「国保」を証明する唯一の公的書類が結婚前に取得した10年パスポートだったんですが、それが今年期限切れとなり、困ったなあと思っておりました。特に海外では唯一のIDであるパスポートに名前が載らないとなると、いろいろ面倒。でも今回の上海行きでパスポートが必要となり、先輩研究者の方に旧姓を併記したパスポートの取り方を教わりましたので、ここに載せておきたいと思います。いただいた知識はちゃんと次に申し送りするのが、教えてくださった方への礼儀かな〜と。
これは「正当な理由とそれを裏付ける証拠があれば、パスポートのローマ字記載部分に旧姓を併記してもいい」という特例処置なので、旧姓だけの記載ではなく「AKIKO 戸籍名(KOKUBO)」と書かれることになります。そして入出国は、データ上は「AKIKO 戸籍名」で処理されますのでご注意を。航空券は戸籍名で注文しなければなりません。
でも、最近こういう公的機関や官公省・地方自治体とやりとりすることが多いけど、つくづくこうやって地道な処理をしてくれる人がいるおかげで私は安心して生活できているのだな〜と思う。面倒なこともあるけど、それ以上に恩恵を受けていること(そしてそれはうまく機能していればいるほど実感しにくいということ)に、感謝の気持ちを忘れてはいけないよね。
具体的な取得方法は追記にて。
旧姓併記パスポートの取得に必要なのは、@旧姓を証明する書類、A旧姓併記が必要である正当な理由、Bその証拠の提示、そしてC根性です。
以下、その手順とポイントです。
@旧姓を証明する書類
これらは基本的な必要書類なので、旧姓併記を希望していなくても提出しなければいけないんですけど、ポイントとしては;
・戸籍謄本(旧姓と新姓の紐付けを証明する資料となる)
・古いパスポート(たとえ期限切れでも、旧姓を証明する資料となる)
です。
A旧姓併記が必要である正当な理由
「事情説明書」という書類に、旧姓併記が必要な理由を書きます。私の場合はこんな感じで書きました。「現在、大学院での研究・教育活動を旧姓で行っており、今後もこれらの活動では引き続き旧姓を使用する予定である。これから、これらの活動を海外へ広げる予定であり、そのために旧姓の併記をお願いしたく存じます」。“お願い”というフレーズは必須ではないと思うけど、これ読む人も人間だしね〜ということで書いてみました。効果のほどは分かりませんが。
Bその証拠の提示
理由を裏付けるため、旧姓で活動している証拠をできるだけたくさん持って行って渡す。私は論文(掲載されたものではなく投稿中の英語のダイジェスト&参考文献リスト付きワード文書でもOKでした)、KBSオフィシャルロゴ入りケース教材、助教の仕事としてやっているプロジェクトのチラシ(教育陣のところに名前が載っているので)を証拠書類として渡してきました。若干ネックだったのは、「現在海外で活動中」であることの証拠書類がないこと。私の場合、海外の学会活動はこれからなので、今現在活動しているというエビデンス(完全英語論文、海外学会の招待状など)を添えられませんでしたが、それは「これからやる予定なので、それに先立ってパスポートを申請したいのです」という説明をしました。あと、私は身分が半分大学院生だったせいか、勤務先が記入する「旧姓使用証明書」は無しで通りましたが、場合によっては必要かもしれません。これは雇用者が記入するものなので、書類がWEB上に載っている東京都以外では書類をピックアップにいく手間がかかるかも。
C根性
先輩に聞いていたネックの1つは、「面倒くさがりやの担当者が却下する可能性がある」というもの。前例は確実にあるので、
・拒否されても食い下がること
・担当者の経験が豊富な大きな事務所に行くこと
・1回では終わらない可能性があるので、時間的な余裕をもって行動すること
が重要とのこと。あと、あんまり混んでいないときに行くっていうのもマナーかもしれませぬ。
というわけで、神奈川県民の私は、一番大きい横浜のパスポートセンターに行きましたが、びっくりするくらいあっさりと処理が進みましたよ!必要書類を予め全て揃えていたことに加え、あたった窓口の方が研修中だったので、彼女に経験豊富な指導者がついていた(研修中なのでプロパーな処理を教えざるを得ない+研修生はやる気まんまん)、という状況だったというのがラッキーだったのかも。その場で「旧姓併記を拒否する理由がない」(←つまりこういうロジックが成り立つようにする必要があるということですね)という判断が下り、通常の処理と同様の最短スケジュールでの発行が決まりました。素晴らしい!
* * * * * * *
ちなみに東京だとWEB上に手続きも記載されているし、事情説明書や旧姓使用証明書といった必要書類もダウンロードできます。
それにしても、私が今回ほとんど問題なく突破できたのは、これまで多くの先人の苦労の賜物だとつくづくと感じます。同じことを10年前や5年前にやろうとしたら、比較にならないくらい大変だったはず。多くの先輩方の功績を無駄にしないためにも、今回の情報と経験を後輩に申し送らねばと思い、ささやかな影響力ではありますがこの場に載せておくことにします。少しでも後に続く方のご参考になれば幸いです。