2009年04月02日

大学生の移住に関する意識調査

先日は、不思議なご縁で、国土交通省の「島づくり地方再生勉強会」にて少し話をしてきました。県庁所在地のない離島が国土交通省の管轄であること、ゆえに島の地域活性化は国土交通省が担当するということを、私は初めて知りましたよ(これ常識?)。

地域活性化の取り組みに関しての話をしてほしいということだったので、離島ではないけど(陸の孤島には近いけど)上勝町の事例を紹介するとともに、参考情報として学部生さん(18〜22歳)に答えてもらったアンケートの結果を発表してきました。このアンケートは、1月に慶應SFCで「社会的組織の経営(ヒューマンセキュリティ)」という授業の1コマで「株式会社いろどり」のケースディスカッションを担当させていただいたときに回答してもらったものです。たまたまその数日前に横石さんにお会いした折、「若者を上勝町に呼ぶにはどうすればいいか」ということを考えていらっしゃったので、この機会を活かしてまさにその"若者"である18〜22歳の学生さんたちに、「若者を上勝町に呼ぶにはどうすればよいか?」を授業後にレポートとして提出していただいたのです。もちろん横石さんにも渡したのですが、今回上記の勉強会で発表するにあたってちょっと資料としてまとめましたので、こちらに載せておきますー。折角の情報を眠らせておいてももったいないもんね。

まずはざっくり結果をビジュアルで(クリックで拡大)。自由記述回答方式・複数回答です。
questionnaire-2.jpg

そして追記にて、カテゴリー別に面白かったコメントを。
なおコメントは読みやすさを考えて編集を加えてあります。


@環境
・若い人たちは「雇用」を中心に、自分の居住地を選択するので、上勝町にも若い人を引き付ける雇用の供給が必要。
・必要最低限の生活(生活できる賃金が稼げて娯楽施設などが完備されている等)ができると感じられなければなかなか行けない。
・生活するための金銭的な支援、格安の土地と家への支援、新たな雇用に対しての支援が提供されているようであれば、移住を積極的に考えると思います。
・大きな問題は過疎の地域特有に入りにくさ。すでに出来上がってしまっているコミュニティへ新しく入ることは大変勇気がいるし、内輪で完結しているのではという悪いイメージが存在してしまっている。そのイメージを払拭することが出来れば人材は流入するのでは。
・イベントなどで地域の交流を深め、親密なコミュニティが形成されれば都心との差別化をになるし上勝町への愛着が生まれる。
・地方には@魅力的な仕事が少ない。A人や情報が集まりにくい。B自分の能力を育てる機会が少ない、というイメージがある。だから若者を呼ぶには、「そこにいても情報が手にはいって、教育や仕事ができ、創造的または刺激的な産業(仕事)に従事できる環境を整える。
・若者を呼び込むには、そこに「住む」ことの社会的意味や共同体意識を与えるべきだと思う。例えば、積極的に住民・行政が革新的な試みを行っている地域共同体は魅力的だし、そこに住むことを楽しめると思う。

A情報
・メディア(テレビ・ブログ・インターネット等)、合同会社説明会を使って情報を発信する
・アニメ・映画・漫画・ドラマ・ゲームなどで取り上げる、芸能人による宣伝広告(例えば一日村長)で知名度を上げる
・話題性のある場所でもない限り、あえて行こうとは思わないが、テレビで紹介されたり映画の舞台になった場所は行きたいと思う。
・全国から写真家やデザイナーの卵などを募集、雑誌やWEBを作るようなワークショップを開催する。若い人の目を通しての上勝町を発信するシステムを作る
・生活費(住居費、食費など)はどのくらい必要なのか、仕事はどのようなものがあるのか、月収はどのくらいになるのか、などが分からなければその土地に住むことは考えられません。
・観光ガイドはたくさんあっても、生活について書かれている本やネット情報は少ない。物価はどの程度なのか、学校はどのくらいあるのか、どういった所で遊ぶのか、スーパーの数といった生活の基本情報を知ることができたら、暮らしのイメージが明確になり、移住を人生設計上の選択肢の一つにできる。
・ほとんど知らない町に住むということなので、その町に暮らす人たちの様子や、病院やスーパーなど生活に必要な施設の地図を知りたい。そのため、@ホームページに移住情報を載せる(足を運ばなくてもインターネットである程度の情報収集が出来るように)、A田舎生活体験を企画する(農業体験、いろどりの葉の収集体験など)、B移住体験・案内(若者たちをターゲットに、町の人に案内してもらうことで、住んでいる人にしかわからない情報や人々の雰囲気に触れ、田舎ならではの人とのつながりなどをアピール)

B体験
・体験という形でツマモノ事業に携わってもらう。ツマモノ事業に携わっている高齢者と交流を深めることで、上勝町に何度でも来たくなるような環境を作る。
・両親の親が早くに亡くなっているので、おじいちゃんやおばあちゃんとの思い出が少なく、田舎での思い出も全くと言って良いほどない私は、田舎やおじいちゃん、おばあちゃんという存在に強い憧れを持っている。そんな人を上勝町に招き、「擬似田舎」体験をする。2泊3日ほどのホームステイをして、ツアー終了後は、個人的に連絡を取り合ってもらう。
・とにかく一度上勝町へ訪れるきっかけを作れば、今後足を運びやすくなる。上勝町の様々なスポットに連れて行ってもらったり、民家でのんびりと時を過ごしたり、裁縫を教えてもらったり。都会でお金を使って遊ぶより、心の充実を得ることができるのではないだろうか。一度そこでできた関係をしっかりと繋ぎ、週末に遊びに行くということが可能になれば、新しい故郷ができることになる。
・私は田舎暮らしに憧れがあるけれど、周囲からは「都会の便利さを知っているあなたは耐えられなくなる」との否定的な意見を受けることも多い。地元の人とうまくやっていけるのかという不安もある。しかし町が仮住居を提供し、町外の若者が3カ月〜1年間程、上勝町での生活を体験できるような制度があれば、若者がより気軽に上勝町に足を運ぶし、向き不向きを判断でき、結果的に移住に踏み切る若者も生まれるであろう。

C魅力
・上勝町でしか叶えられない夢があるなら行くと思う。そのためには、上勝町に行ったらどんな夢が叶えられるかを考えていく必要がある。上勝町をどんな町にしていきたいかが最も重要な部分で、それによって集まってくる若者も変わってくるだろう。
・旅行をするなら、まず「自分にとってどんなメリットがあるか?」「その旅先は自分にどういう経験を与えてくれるのか?」ということを考えるので、自分と言う人間を評価してくれ、「こういう経験値がつくんだ」というのが明確な土地は魅力に映る。
・若者が上勝町に集まれば、街は元気になるのだろうか?経済的な効果ばかりを強調されると、若者と呼ばれる世代にあたる私個人としては、「結局私たちは労働力であり、お金なのか」と悲しい気持ちになる。私は、若者に来てもらうためには、「若者に来て何をしてほしいのか」が重要なのではないかと思う。例えば、「コンクリートジャングルから離れて、新しい自分を発見してください」、「あなたの第二の故郷であなたの夢を叶えてください」など。「何故、何を」をなしに、「どうやって」を考えることはできないと思う。
・私が上勝町に求めるものは普段の生活とは違う異空間体験である。我々は一生時間に追いかけられ、追い詰められて生きており、そんな時間から逃れられたらどんなに幸せかと思う。「癒しの空間」「癒しの時間」プラス、「上勝町だけで参加できる事」に目を付けるべきだと思う。例えば自然豊かな中での渓流下りやグライダー、ゆこう作りの体験やボランティアによるハイキングコース巡り等、お年寄りと話す機会を設ける事で「出会いの感動」を残すべきであると思う。

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若い人の感覚って、やっぱり実際に聞いてみないと分からないこと多いですねー。「癒し」が学生さんにも必要だなんて、ちょっと意外。でもそれこそ、自分の視点でしか見えていないってことなのでしょうねえ。



posted by Kokubo at 21:53| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 教育と研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ごぶさたしてます。

ついこないだまで「田舎」に住んでいて(とはいえ特例市ですが)、
現在「都会」に住んでいる身としましては、
学生さんの意見に首肯するところが多いです。

「地方に若者を」議論に抜けているのは、
「何人の若者に来て欲しいのか」ということではないかと、
以前から市の関係者と話をしているときなどに感じます
(「何人の若者に残って欲しいのか」という方がより現実的なテーマです)。
それによって、住環境をどこまで整えればいいのか、
どのような雇用があり、どのような夢を若者に提示することができるのか、
そしてそれをどのような方法で潜在的対象者に働きかけるのか、
これらの質や量が変わってくると思うからです。

理想論というか、マクロの議論として、理解できないわけではないですが、
高齢世帯が多くなってきているから福祉人材として活躍してくれる
(そして、結果的に、税収増に繋がる)ような若者に来て欲しいというのでは、
余りにCS発想に欠けるのではないかと考えます。

直感レベルでは、先生ご専門の「日本的経営」の良い面 and/or 悪い面と繋げて、
なにかしらの議論できそうな気がしますが、
起き抜けのまわっていないアタマではこれが限界です(苦笑)。
Posted by sscraper at 2009年04月05日 09:08
こちらこそごぶさたです。新天地はいかがでしょうか?

私も、自治体側の理屈はよく分かっていたのですが、今回このアンケートをしてみて、その理屈では若い人は動かないのだなということをつくづく感じました。win-winには遠いです。

担当者さんが、Iターン者数ではなく、Iターン者のCS度で評価されるようになれば、「結果的に」うまくいくのかもしれませんねえ。

この学生ではないのですが、あるIターン者と話していた時に気づいたのは、Iターンの人って、いくつかの候補地域からIターン先を選んでいるわけではなく、たまたま出会った土地で縁を感じて移住する、というパターンが多いということです。比較プロセスが無いんですよ。結局、「Iターンがしたい」のではなく、「○○に住みたい」でしかありえないのかなと思います。
(書いてみると至極当たり前だなあー。)

Posted by こくぼ at 2009年04月07日 18:25
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