2008年05月23日

奄美大島訪問!

お仕事で奄美大島へ。最南訪問地の更新です。
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仕事の打ち合わせが目的ですが、なかなか行けるところではないので、ついでに私の研究テーマを絡めて現場を視察することに。一人旅は慣れてるので自分でレンタカーを借りて回るつもりだったのですが、結局ホスピタリティ溢れる奄美の皆さんに案内していただいちゃいました。でも現地の方に案内していただくと、効率と理解の深さが全然違います!自分一人じゃ行かないようなところも訪れられて、すっごく有意義でした。関係者の皆様、本当にありがとうございました。その節は遅くまでお付き合いありがとうございました。

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鶏飯(ケイハン)。割いた鶏肉に具と鳥スープをかけて食す。うま〜い!!

初めて訪れた奄美でしたが、自分が奄美に関する知識がほとんどなかったことにびっくり。例えば、
  ・東京から直行便でたった2時間で行ける
  ・黒糖焼酎は奄美でしか作られていない
  ・産地価格の大島紬はめっちゃ安い!
  ・大島紬は奄美産と鹿児島産でついているマークが違う
  ・マングローブ原生林がある  etc.
とにかく奄美ならではのことが多く、地域資源の多いハイポテンシャルな土地だなーーと感じました。

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黒糖焼酎にハマる。「龍宮」もオススメ。

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奄美市役所のみなさんが歌っている「カンモーレ市場のうた」が私のツボにクリティカルヒット。私も「じゃが、じゃが」コーラスやりたい〜。左は株式会社アマミファッション研究所でいただいた化粧品サンプル。黒糖もろみエキスがメラニンの生成を抑えるとかで、期待を込めて試用中。

色んな大切な出会いをいただいた奄美訪問でしたが、特に今回は最初から伝統産業活性化の事例として、大島紬の現場はしっかり見てこようと決めていたので、大島紬村というガイド付きで製造工程が見られる展示場(?)、町の呉服屋さん、現地の若い人へのヒアリング等々、思いっきりやってきました。得たものは大きく、考えたことを少し書き留めておきたいと思います。

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地球印と泥染め印。鹿児島市と奄美市の認定された織り手さんが織ったもののみが、大島紬という呼称を許されます。この地球印は奄美で織られたものである証。ちなみに鹿児島産の大島には旗印がつきます。

長いので追記にて。

まず生産サイドの理屈として大島紬が高価格になるのは仕方ないし、高価なものとして市場に受け止めてももらいたいと考えている点。確かに、大島紬は完成デザインに沿って糸を染めてから織り上げるという、大変緻密で手間のかかる作業であるため、高い技術と時間が必要でしかも歩留まりが低い、だから高価になる、という理屈はよーく分かります。分かるんだけど、でも紬は所詮紬なので、着物を買う3大きっかけ(と私が考えている)である成人式・結婚式・お茶会には着られないわけですよ。色も地味だし。だから価格が同等であれば、より汎用性のある絹ものを買ってしまう(5万円のワンピースと5万円のジーンズだったら、やっぱり多くの人は着る場所を選ばないワンピースを買うよね?)。私は着物大好き、紬大好きなんですけど、それでも結婚式などの必要性に迫られやすい染めの着物に対して、織りの着物は買う決め手に欠ける。そんなものを同じ価格で並べちゃったら絶対に不利だろうと思うので、もっと安いエントリーモデルを作ることが必要なのではないかなあと。絹の着物と競合すると負けるけど、でも冬物のコートと競合するくらいの価格であれば負けないかもしれないと思うのです。そうやってまずは裾野を広げて、その中で消費者の選択眼を育てたり、大島紬ファンを育てたりすることが、上位モデルを含めた産業全体を活性化するために大切なのではないかということを考えながら、大島紬村を後にしました。そこで見た白大島がかわいいんだけど高いなー、と思いながら。

しかし、現地の方に聞くところによると、町中ではもっと安く買えるらしい。その話を検証すべく、今度は呉服屋さんめぐりをする。すると本当に安い!最初はいちいち値段を訊き返しちゃったくらい安い。生産者からの直接買い付けをしていたり、機械織りだったりで、反物価格で10万円を切るものも珍しくなく、そのうち呉服屋さんに入っては「10万円以下のを見せてください」というお願いをするようになる。

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左2つが10万円以下のモデルです。でもこうやって並べると目が肥えてくるので、右の上位モデルの価値もよく分かりますよね。

色々見て回って分かってきたのは、奄美は消費地から遠いからか、流通コストがすごく嵩んでいるということ。生産者は卸が提示してきたパターンで反物を織って納品するのですが、在庫を抱えるリスクを負った卸は無難な柄を指定しがちだし、その分商品に上乗せするから末端価格が高くなる。無難な柄なのに高いって、そりゃ売れないでしょう・・・。それに奄美から遥々運ぶ分利幅も確保したいから、あまり下位モデルは扱わない。この辺は私の故郷の松坂牛と構造が似ていて、東京にいるとA級霜降り松坂牛しか手に入れられないけど、地元だとB級品が出回るのでそれこそ松坂牛のひき肉とかがある(そして安旨)っていう状況と一緒かと。でもいつもしゃぶしゃぶを食べてるわけでもない消費者にとっては、松坂牛のひき肉も魅力的だよね?というわけで、私としてはひき肉に筆頭する大島があったらいいのになあと思いつつ、呉服屋さんを見て回っていたわけです。

そしたら、最後の最後に行った呉服屋さんでありましたよー。龍郷町の興紬商店さん。エントランスに飾られている元ちとせが天皇陛下を迎えた時に着たという大島の振袖にまずは目を奪われる。モノトーンなのに、デザイン次第でこんなに華やかになるんだーというのはびっくりでした。写真なくて悔しいですが、これなら結婚式に着られますってくらい華やかでかわいい。すごいなーと思いながら商品を見せてもらいながらご主人に話を聞くと、毎年デザインコンクールに出展したり、ご自分で東京で展覧会を開いていたりと消費者のニーズ調査には投資しているらしい。その効果は明らかに感じられますし、実際「本場奄美大島紬グランプリ」の審査会で最優秀賞に選ばれたりしているらしいですし、品揃えを見ても、欲しいなあと思えるデザインが多い。それまでに回った呉服屋さんとは全く傾向が異なり、価格設定も含めて市場をよく分かってるなあ(not生産者視点)と思いました。

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これが受賞作品。さりげなく高い織りの技術も伝えつつ、デザインといい色づかいといい大島のイメージを覆すハイクオリティな1枚。すっごいかわいいーー。消費者は、高くてもこういうのを買いたいんです!

また興紬さんは分業が進んでいる着物産業において、販売以外の部分はほとんど自前でやっているらしい。マーケティング活動で消費者動向をつかみ、京都からパターンデザインを買付け(自前もあるのかも)、生産者に織りに出し、東京の小売店に持っていくという一連の工程をやっているというのは、資金力が必要だけど、市場動向は分かるし柔軟性が増すしで大きな強みともなりますよね。このご主人みたいな人があと10人いたら、大島紬業界は変わるだろうと思えました。

で、私もいくつか見せてもらったりあててもらったりしたのですが、実際目の前で素敵なデザインの上位モデルを何枚も見せれられると、いつかはああいうのも欲しいな〜と思うようになるし、10万モデルもとても安く見えてくる。そうこうしているうちに、すごーーく私好みの夏大島を見つけたので、悩んだ末に買ってしまいました。その代り今夏はスーツを諦めましたよー(要はそこが競合するくらいの価格で買えるのです)。ただいま仕立て上がり待ちですが、すっごくわくわくーー。今年の夏はなるべく着物でお出かけしようっと。普段のお出かけに着物!着物でランチとか、着物で居酒屋とか素敵!!




という、ミイラ取りが見事にミイラになりましたというのが本日のオチでした。
現地でお世話になった皆様、本当にありがとうございました。
奄美、ものすごーく気に入りました。また行きます!

奄美での戦利品は、アマミノクロウサギとサツマイモキティ!
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posted by Kokubo at 23:47| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育と研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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