2014年12月21日

【もしベビ】定時に帰るためのロジックツリーとフリーライダー脱却のススメ

出産後は、19時までに帰宅できるように仕事をしてます。足りない部分は早朝にムスメが起きる前の時間にこなしていますので、具体的には5:00-7:00と8:30-18:30が基本のワーキングアワーです。早起きだねって言われるけど、ムスメと一緒に21:00に寝ているので8時間睡眠です。

出産前は仕事が楽しくて時間がある限り仕事をするような生活だったのですが、復帰してからはコソダテタスクがあるため、ワーキングアワーに制約を受けるようになりました。その制約条件の中でこれまで通りの仕事量をこなせるのか復帰直後はとても不安だったのですが、一方でその制約を受け入れると覚悟を決めた瞬間から「制約の中でどう成果を出すか」という思考に切り替わりまして、そういう頭の使い方をするようになったら意外とできることが見つけられるようになりました。営業ウーマンのママ友が「時間に制約があることで戦略的に動くようになったので、出産前より営業成績が上がった」と話しており、へええーと思っていたのですが、これ、十分ありえる話だと思います。

ちなみに言語化しておくと、私の場合はその理由は次の3点だと感じています。
1) 勤務時間内のアイドリング時間が一切なくなったこと
2) 最初に効率的なタスクの進め方を考えることに時間を使うようになったこと
そして意外と大きいのが 3) 完璧主義をやめたこと、です。

3つ目について補足すると、これは今までならすべてのタスクで100%の完成度を目指す働き方をしていたのを、最終的な成果に影響する部分以外(たとえば内部ミーティング資料の図表の美しさとか)は80%くらいの出来でOKとしてタスクを進めるようになりました。0%を80%にするのと、80%のものを100%にするのとでは、後者は必要な労力のわりに成果に与える影響が小さいということを知ってはいましたが、時間があるときはどうしても100%を目指してしまうんですよねえー。しかし時間的な制約を前提としたことで、完璧さより「タスクを先に進めること」を優先するようになりまして、これが大きく生産性をあげる要因となっているように感じています。

ただ、タスクを若干荒い状態であげるので、小さなミスや配慮不足が多くなったのも事実です。ですが、一緒に働く人たちが指摘やフォローをしてくれるので何とかやっていけており、感謝しきりです。これ、関係性が悪いとミスを指摘してもらえなかったり責められたりで、組織としての生産性が下がると思うんですね。でも関係性がいいと、非難することなく必要なフォローをしてくれるので組織としては成果につながります(非難は真摯に受け止めますが、そのために非生産的な時間が費やされることは避けたいです)。労働時間に制約があるとついついコミュニケーションの時間を削ってしまいがちなのですが、これを実感してから、制約がある身だからこそチームとして働くということを意識し、戦略的にコミュニケーションの時間を作らないとだめだなと思いました。また、必然的にまわりに助けてもらうことが多くなるのですが、助けてもらってばかりだとフリーライダー(社会的ぶらさがり)になってしまい組織成員のモチベーションを低下させます。なので、どうやってそのお返しをするか、制約の中でもどうしたら組織に貢献できるかを考えることに頭を使うようになりました。

ところで、子育て中の社員が定時退社するために必要なことは何か?をロジックツリーを使って考えてみました。
ロジックツリー.jpg


このテーマで1回ディスカッションをしたのですが、定時内で仕事を終わらせることと、定時外の突発事項対策をすることまでは思いつくのだけど、「定時に帰ることの正当性を確立すること」を皆あんまり考えないのだということに気づきまして。定時に帰りたい人の多くは「時短制度勤務者だから」を正当性の根拠にしますが、(本人はおそらくそういうつもりではないのですが)これは当事者が言うと権利主張系コミュニケーションに見えやすいのです。一方で組織をマネジメントする側の視点で考えると、子育て中の社員が定時に帰ること自体は構わないし残業代払わなくていい分助かるのですが、その人が定時に帰ることで他の人の仕事が明らかに増えたり、組織の中に不公平感が漂ってモチベーションが下がったり、となるのは非常に困る。こういう嬉しくない組織の状況を招いている張本人から「自分の権利ですのでお先に失礼」とか言われたら、まあ頭では理解するけどムッとするよね、と。だから、時間が限られているからこそ、その限られた時間の中で組織に貢献する方法を考えたほうが、定時退社をやりやすくなるんじゃないかと思うのです。

じゃあ勤務制度以外に、どうすれば定時に帰ることの正当性を確立出来るのか?で私が考えたのが上図のDEFGです。

まず、D成果をあげるのは大事ですね。定時内できちんとやることをやって組織の成果に貢献している人に、人はあんまり文句を言わないと思います。Fは定時退社する人のせいで組織の仕事が増えないようにするための工夫で、これも回りへのマナーですね。で、けっこう大事なのに見落とされているんじゃないかと思うのが、Eのできるときに周りを助ける・育てるです。というのも、労働時間に制約がある人は余裕がないのでなかなか自分の担当範囲を超えてまで誰かを助けるということをしないのですが(気持ちはよくわかる)、自分が危機の時に助けてくれない人を、助けようと人は思わないですよね。逆に普段から助けてくれている人だからこそ、その人が困っているときは手を差し伸べると思います。そして、人は自分を育ててくれたり助けてくれた人の恩は忘れないし、恩返しができる機会があったら返そうと思うはず。だから周りを助けるという行為は、利他的行動に見えて実は自分のセーフティネットへの先行投資になっており、この投資をしていないと自分が大変な時に頼れるものがなくなるという状態に陥るのかな、と思いました。さらに、そのおかげで結果的にG他の人も定時に帰れるようになれば、もっと堂々と定時退社できるようになりますね。

というわけで、定時に帰りたい人こそ、「制約の中でどうしたら組織に貢献できるか」を考える、つまりフリーライダーから脱却するべきだと思います。そのためにも制約の中でも自分がどれくらいできるのかを正確に把握し、自分にとって負荷はそれほど大きくないけど周りには喜んでもらえる貢献の方法を見出しておくことをおすすめしたいです。(なんて言ってますが、私もまだまだですー)


IMG_2274.JPG
いつもいつも助けてくれるゼミの学生たち。なかなかちゃんとお礼を言う機会がないので、ここでこっそり感謝しておこうっと。このチームがいなければ、私の両立ライフはもっともっと大変だと思っています。ありがと!!!

チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ -
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チームに関するお勧め本。成功するチーミングには「素直に意見を言う」「協働する」「試みる」「省察する」という行動がみられるそうです。



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2014年12月08日

【もしベビ】コソダテとキャリアの両立を阻む問題構造

SNSで大変話題になっているサイボウズのCM。

サイボウズ ワークスタイルムービー「大丈夫」
http://cybozu.co.jp/company/workstyle/mama/

いろんな感想があると思いますが、ワーキングマザー当事者であり経営学研究者としての私の感想は次の4つでした。

1)この女性は、プロジェクト・マネジメントをはじめとするマネジメント思考をもう少し身に着けることで、両立が楽になる。
2)この女性が働く会社(部署)の中間管理職は、チーミングをはじめとするマネジメントスキルをもう少し身に着けることで、部下の離職を防げる。
3)具体的な解決策の提案がない当事者の訴えはただの権利主張にしか見えないが、これはサイボウズという女性色が薄い組織が、解決策としてサイボウズのソフトウェアを提案していることで(CM単体ではわからないのが難点だけど)、権利主張ではなく問題解決に見える。
4)この働く母親のネガティブイメージを見せられた次世代の女性は、「コソダテかキャリアか」という選択をしなくてはならないと思うだろう。

このCM、いい問題提起だとは思うけど、最後のコピーだけがいけてない。
私は「よりそう」よりも、「この状況を変えよう」であって欲しかったと思いますねえ。だってこれ、女性だけの問題じゃないもの。

プレジデントオンラインにも取り上げられた育休中に友達と始めた勉強会授乳しながら学べる「育休MBA」)の教材を作るために、自由研究としてコソダテとキャリアの両立に関する問題を調べていたのですが、そこでわかったこととして、両立を妨げる要因(コソダテ女性が離職に至る要因)は、@女性個人の課題とA企業側の経営課題とに大別されます。なお本来@は女性に限らず子育て中の社員すべてが該当することでもありますが、ここではその多くを占めるのが女性であることから、女性の課題として話します。

@女性個人の課題としては、仕事タスクや家事育児タスクを抱え込む傾向があり、自分が頑張ることで何とかしようという思考が強いこと、“組織で”成果を出すという思考とスキルが欠如していること、が大きいです。コドモが生まれる前は仕事タスクが多くても長時間労働でカバーできるのですが、これがコドモが生まれてコソダテラッシュアワー前に退社するライフスタイルになると一気に回らなくなりますし、普段一人で仕事することに慣れているとタスクを形式知化しないので、緊急時に別の人が引き継ぎにくい、負荷が集中したときに周りがサポートしにくい仕事の仕方をしていたりします。つまり一人で頑張ろうとするがゆえに破綻する、という構造があるように思います。家事育児タスクも、任せられないという事情があるのかもしれませんが、自分が動かなくても回るようにするにはどうするかを考えておく、つまり「他者を使ってものごとを成し遂げること」と定義されるマネジャー視点(中原,2014)で脳みそを使えるか否かは大きいのではないかと思います。

A企業側の経営課題としては、恒常的な残業があることが大きいです。残業しないワークスタイルであれば、コソダテとキャリアの両立はそれほど難しいものではないと考えています。残業が発生する理由は、戦略上避けられない結果である場合(普通の人の3倍働く人が集まっているコンサルティングファームとか)を除き、長時間労働をよしとする組織文化がはびこっていることと、プレイングマネージャーが多くマネジメント業務がおろそかになり組織の生産性が低くなっていること、だと思っています。組織文化は成員の行動を規定しますから、時間をかけることを評価する文化である限り残業はなくならないです。また、組織の文化は意思決定サイドがつくるので、現場の社員やコソダテ当事者だけではなく、意思決定者(経営者や管理職)が考え方を変えないと、この残業文化は変わらないと思います。中間管理職が機能しない組織がカオスに陥ることは、説明するまでもないですね。

で、この@とAが合わさり、企業側は任せられない、女性側は引き受けられないという状況になり、ただでさえ低い組織の生産性はさらに低下し、そのうえで短い時間の中で業務をこなすコソダテ女性はコミュニケーションに割く時間を削りがちなためにコミュニケーション不足に陥って状況は悪化。最終的にはコソダテ女性を頭数に数えない業務フローが出来上がり、コソダテ中の男性を含む男性が残業させられ、そして夫が長時間労働をせざるをえないために家事育児タスクが妻だけにのしかかり、さらに仕事をしづらくなる・・・という構造になっているなーと感じています。

こうして、サイボウズCMがあぶりだしている状況は出来上がっています。
社会問題は構造問題であるということをしみじみと実感します。

では、どこでこの不幸なループを断てるのか?

@については、女性はもっと組織やチームで成果を出すための働き方を学ぶ機会があってもいいかなと思います。つまりマネージャー視点を持つためのトレーニングが有効なのではないかと。Aについては、管理職に労務管理だけでなく組織を動かすための知識やノウハウを学ぶ機会があってもいいかなと思います。つまりこちらも、マネージャー視点を持つためのトレーニングが有効なのではないかと。あと、労働時間で評価しない人事制度や組織文化が必要ですね。

もちろんこれだけでは根本解決にはならないけれど、とりあえず今の自分は、そういうトレーニング機会を作るということは出来る。ならば作ろう、と。私は、自分たち世代のうしろ姿を見ている次世代の女性たちが、コソダテとキャリアのどちらかを諦めずに済むような社会を作っていきたい。選ばないのは個人の自由だけど、諦めざるを得ないという状況はなんとかしたい。たとえ地味で小さな一歩でも、この社会問題の解決策の1つになればいいな、せめて対症療法になればいいなという想いで、私は育休プチMBA勉強会をやっているんだなという結論に至りました。

勉強会の参考書。
駆け出しマネジャーの成長論 - 7つの挑戦課題を「科学」する (中公新書ラクレ) -
駆け出しマネジャーの成長論 - 7つの挑戦課題を「科学」する (中公新書ラクレ) -





posted by Kokubo at 06:34| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | もしベビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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